ドローンの活躍がもたらす価値を誰もが享受できるドローン前提社会を実現するには、イノベーションが生まれやすい社会であることが望ましい。しかし日本は世界に比べて後れていると指摘される。そこで、イノベーション、国家戦略特区、クールジャパンなど新たな価値を生み出す取り組みに奔走している平将明元内閣府副大臣に、その背景や対応法についてインタビューを実施した。平氏は、日本でイノベーションが生まれにくい背景に「法体系」が関わっていると分析し、四つソリューションを提示した。インタビューには、高橋伸太郎氏(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任講師)が同席した。
――日本のイノベーションについて、現状認識を
ドローンや自動走行は以前から注目されていました。私が地方創生担当の副大臣だった頃(2014年9月~2015年9月)、国家戦略特区の担当でもあって、自動走行やドローン、遠隔医療にフォーカスしてベストプラクティスを作り出したいということで、「近未来技術実証特区」を私の発案で創設した経緯があります。でも世界のスピードはもっともっと早くて、ドローンにしても自動走行にしても、遅れ気味の現状があると思っています。
(参考:https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/wg/kaikaku/dai3/siryou9.pdf)。
問題は、規制の体系にあります。DXを進めている国の規制環境を見ると、いくつかに分類できます。中国のように政府主導で物事が決まる国家、英米法を採用するアメリカ、イギリス、イスラエル、シンガポールなどの国家。日本は、カッチリと法体系ができていて 規制が隅々まで整備される大陸法の国です。最近のイノベーションの潮流を見ると、速度としては中国が一番早いですよね。リーダーが決めれば進められる。データ・ドリブン・エコノミーの観点からも、個人情報と紐づけが容易です。そして次に早いのが英米法の国。シリコンバレーのアメリカがそうです。ベンチャー企業を多く輩出しているイスラエルでは、FinTechの導入も、ワクチン接種も対応が早かったですね。
私は大陸法の国が後れを取っていると分析しています。日本やドイツがそうです。これらの国はついこの間まで工業製品では世界を席巻していました。工業機械とか、自動車とか。ところがイノベーションの速い流れの中で、ドイツも日本も乗り遅れ、取り残されつつあります。ドイツはそれに気が付いてインダストリー4.0(製造業のオートメーション化、データ化、コンピュータ化を目指す技術コンセプト。ドイツ工学アカデミーと連邦教育科学省が2011年に発表した)を始めました。日本はものづくりの現場のみならず社会全体ということでソサエティ5.0(Society 5.0。日本が提唱する未来社会のコンセプト)と言い出しましたが、やはり規制の仕組みにぶつかっています。
――大陸法国家である日本で、イノベーションがぶつかっていることとは
英米法はネガティブリスト方式のルールです。何かを始めようとしたときに法律に禁止、と明記されていなければやれます。もしもやってみて問題が起きれば、そこでやり方を考える。または解決をする。
日本はポジティブリスト方式です。原則としてすべて禁止で、やっていいことがリスト化される。何かをやろうと思って法律を見に行くと、何をやっていい、それをやっていい、と書いてあるわけです。
ところが新しいことをやろうとしても、想定していないものは書いていない。書いていなければどうしていいか分からない。その時にどうするかというと、法律そのものを作るところから始めるのです。既存の法律に当てはめようとすることもありますが、無理やり当てはめるとグレーゾーンになってしまう。グレーゾーンになると、進まないのです。日本を代表するような大企業がイノベーションの先頭を走ればよいと思いますが、一方で、大企業はコンプライアンスに注意を払っています。グレーゾ―ンには踏み込めません。従ってそこでフリーズしてしまいます。
だからといって日本の法体系を全部、英米法に置き換えるわけにはいかない。部分的には可能でも、全部を置き換えることは現実的ではありません。中国やロシアのように政府主導でイノベーションを進める国や、英米法の国に比べ、日本はハンディキャップを抱えているということです。
ただ、それを嘆いていてもしょうがないわけです。
――考えられるソリューションは
一つは国家戦略特区です。TRONプロジェクトを進めた東大の坂村健先生(東京大学名誉教授)は、国家戦略特区について、大陸法というOSで動いている日本に英米法というアプリケーションを入れる作業だ、という話をしました。国家戦略特区を使って実験的にトライアンドエラーができるように、レギュレーションもデザインしやすくするようにして、ドローンや自動走行を実装してみる方法です。成長戦略としても、イノベーションを促進する観点からも重要な政策だったのですが、加計学園など政治の問題で止まってしまいました。これが残念で仕方がありません。
なにしろ、改革を進めるのはものすごく大変なのです。既得権との戦いですから。ドローンも一見、既得権と干渉しないように見えますが、そうではありません。例えばドローンを活用して遠隔医療を完結させるためには、遠隔での服薬指導を解禁しないといけない。そうでないと離島にドローンで薬を運べない。その、解禁させることがすごく大変な作業なのです。自民党はいろいろな団体、いろいろな人たちの利益を守る集合体です。改革のためには、国民、世論の後押し、マスコミの応援がないと戦い切れない。改革派の議員が動けるためにも、私は国家戦略特区を再起動させるべきだと思っています。
――国家戦略特区で現状打破を図ろうとする考えですね
それと、ベンチャーの人、アカデミアの人たちは、もっと我々のようなローメーカーとコミュニケーションをとるべきだ、というのが私の持論です。
全く新しい発想で、新しいサービスを社会実装させようとすると、それを想定していない時代に作られた法律や条例には書いてありませんからできないことになります。だからといって役人に話をしてもできるものではありません。彼らの仕事は現状のルールの通りにすることですから。ルールを変えないとできないことであれば、それは我々、ローメーカーの仕事です。ローメーカーである我々と意見交換をよくすれば、法律も作れるし、運用の方法をアドバイスすることもできます。法律を作る場合も、閣法(内閣提出法律案)で行くのか議員立法で行くのか、などオプションが多くあります。特に日本の勝ち筋となるような 技術力を持つ有望なベンチャーは、できるだけローメーカーや、政策を作る人たちと密にコミュニケーションをとる必要があると思います。
ただ、国会議員と話をしようとする人はなかなかいない。実際、旧来型の国会議員の所に行くと旧来型の陳情になりかねない。そうではなく、一緒に、実現させるためにどういうパスがあるかを考える。どういう風にレギュレーションを変えるのかを考える。そこから先は、通常国会なのか、臨時国会なのか、または野党も巻き込んで議員立法なのか。1回、党から出して閣法で出させるのか。そこが政治家のプロの仕事というわけです。
京都に株式会社メガカリオン(京都市下京区)という、iPS細胞を使って血小板を作る技術を持つベンチャー企業があります。メガカリオンが活躍すれば安全な血小板を世界中にデリバーできる。しかし、原料に血液を使うことが、日本の法律にひっかかりました。日本では献血で血液を集めることになっています。その血液は治療か研究開発にしか使えない。原材料としては使えないわけです。そこで私が副大臣のときに問題提起を行い、その地域を国家戦略特区として認めた経緯があります(2014年5月に京都府、大阪府、兵庫県を国家戦略特区に指定)。
よく日本のイノベーションが遅い理由について、「日本にはアニマルスピリットがない」とか、「日本人の元気がない」とか言う方がいらっしゃいますが、それは間違いです。もっと本質的な問題です。新しいアイディアとレギュレーションのデザインと、その両方の歩調を合わせて行かないといけない。それは法体系の問題だと思っています。嘆いてみても物事は進まないので、それを背負いながら前に進める方法を政治家として考えて、今のようなソリューションを出したわけです。
ほかに、立法事実問題があります。その解消が3つ目のソリューションです。
宇宙で資源開発をすることについて認定を受けた企業が、宇宙で資源開発をした時には、その資源に対する所有権を認める、という法律があります(「宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動の促進に関する法律」。2021年6月に成立)。これがなぜ必要か。
現在、世界中で宇宙開発が進んでいます。ベンチャーを含めいろいろな企業が宇宙に出て行こうとしています。企業が拠点を置く場所を考えるときに、法律が整備されている場所が選ばれます。たとえば月で資源開発をして他国と揉めたとすると、管轄裁判所をどこに設置するか、という話になります。その場合も、法律のある国に作りましょうということになりえます。国際ルールを作る時にも、法律のある国の発言権が強くなります。反対に法律がないと発言権が弱い。
日本でも宇宙開発ベンチャーが頑張っています。しかし放っておくと、他の国に成果を取られてしまう事態になりかねない。それでこれを作ろうとしたわけです。
しかし閣法で出せません(注:国会では閣法を議員立法に優先して審議する)。なぜかと言うと「立法事実がない」と言われるからです。立法事実とは、たとえば「この人たちは公害で大変な被害を受けているから救済しましょう」といった立法の必要性や正当性の根拠となる事実です。国会では野党が「それは立法事実がないではないか」などとよく言います。
宇宙資源開発でいうと、確かに現時点で、宇宙で資源開発をしている会社はないわけです。だから立法事実がない、と言われることになる。でもこれをやらないとイノベーションが遅れる。そこで「将来こうなるから、こういう法律を作っておきましょう」ということになります。大陸法の国でも、先に法律を作っておけばいいのです。ドローンでも、自動走行でも、遠隔医療でも、「将来はこうなりますね」と見据える。将来を展望できるのであれば、現時点でサービスが始まっていなくても法律を作ればいい。ただ、それをしようとすると「立法事実がない」という指摘にぶつかるので、将来を見据えた展望を立法事実とすることができれば、対応しやすくなります。立法事実問題を解消したいというのはそのためです。
なお、宇宙資源開発法は議員立法で出さざるを得ませんでした。成立はしましたけれども。
――展望を立法の根拠として認めるという話ですね
そうです。将来を見据えて法律を作ることをローメーカー自身も自覚しないと日本のイノベーションは進まない。自民党にもそのようなローメーカーが出始めています。日本の活力を取り戻すためにどういうレギュレーションの変更が必要なのかを未来志向で考えるローメーカー。これは明るい兆しです。
もうひとつ、「首相のフルコミット」があります。私が3年かかると思っていたデジタル関連法案は1年でできました。デジタル庁も1年でできました。「10兆円ファンド」も今度できます。東大とか京大とかの研究者をしっかり支援をするために、年間3000億円ぐらい新規に出す事業で、私が副大臣の時にこれをやると言い出しました。これも1年です。財務省は大反対。ようやく話がつきました。首相のフルコミットは大きいと実感しています。この4つが、私が考えるソリューションです。
――今のままでは大変という話がありました
既得権と戦わざるをえないので大変なのです。政策立案をしてから何かに取り組もうと思うと、始めるまでにだいたい2年かかります。まずは自民党内を通さなければいけない。ここで問われるのが通す力です。政治家の評価として、政策立案ができるとか、切れ味がいいとかありますが、本当の専門性は通す力だと思います。自民党で言うと政調審議会があって、その上に自民党の総務会があります。この二つを通さないと法律案はできない。
さきほど国家戦略特区をソリューションとしてあげましたが、これがいい理由のひとつに「特区限定です」と言えるという側面があります。一律でひっくり返すことが難しいものでも「特区限定」であれば認められやすい。反対に特区がなければ多分、動かないです。
――本当なら一律でひっくり返したいところです
本当は、そうです。ただし特区で認めると、一律でひっくり返ることがあります。それは、今のレギュレーションが、体系としてはよくできていることと関係があります。もちろん時代に合っているかどうか、とか、ユーザーにとって良いかどうか、という話とは別ですが、体系として美しいわけです。
特区は、その“美しい”体系を崩すことになるわけです。役所の立場としては、体系に特区で穴を開けられることは屈辱的です。だから徹底的に抵抗する。一方で特区ができそうだ、となると「全体を変えます」ということがありえます。安倍晋三元首相がダボス会議で、岩盤規制に自分がドリルの刃先となって穴を開ける、と言いましたが、そんな意味があったのです(注:2014年1月22日、当時の安倍晋三首相がダボス会議で講演して言及)。
――イノベーションを進める体制として望ましい体制とは
内閣でいえば、若手の登用は大事ですが、一番大事なのはリーダー層の若返りです。トップがDXの感覚を持っていることが大事なのです。
デジタルを使いこなしている人は、デジタルで何ができ、何ができないかを分かっています。一方、デジタルが得意でない人は2種類に分かれます。一つは、デジタルが怖くて、とりあえずやめておこうと思っている人。もう一つは、デジタルで何でもできると思っている人。実際はどちらでもないわけです。さらに、デジタルと言っても、なんでもデジタルで進めるわけではない。アナログとデジタルと両方を組み合わせて生態系をぐるぐる回すわけです。リーダー層にはその感覚を持っていてほしいのです。
政治の場合、選挙などを通じて入れ替えが可能です。アナログのチューナーをデジタルの受信ができるチューナーに入れ替えればいい。すべてに精通している必要があるということではなく、感性さえあればいいのです。DXは経済、外交、内政など政策のすべてに関わります。DXの感性がないリーダーだと、すべての指示のピントが微妙にずれる恐れがあります。
――多様性のある社会モデルの重要性について
多様性の中でいろいろな価値観がぶつかり合って全く新しい価値が生み出されることには合意ができます。イスタンブールという都市は、ヨーロッパとアジアの結節点で、多様な人々が混ざり合って活気を生み出しているわけですが、私は「アナログとデジタルのイスタンブール状態」をつくりたいと思っています。それはなぜか。日本のアナログの価値は、世界一だと思っているからです。
アナログの価値が高いことは、日本でデジタルの浸透が遅れた理由にも関わります。わざわざ標準化しなくても、日本の人々はみんな仕事にプライドや誇りを持っている。だから、ちゃんと仕事をする。海外にはそうはいかない国もあります。リーダーシップ層はモラルが高いけれど、従業員はそれほどでもないといったことがあります。標準化をしないと仕事にならないから、標準化の必要があるのです。日本はみんな仕事をするから、あえて標準をしなくても済んできた。デジタル化が進んでこなかった理由のひとつがこれです。
一方で芸術、観光、豊かな自然、食文化、伝統文化、サブカルなど、日本はアナログの宝庫です。こうしたアナログの価値はデジタルで生かせます。
デジタルの美術品をノンファンジブルトークンで本物であることを示してオークションにかけると、ものすごく高額が付くことがあります。アニメでもそうです。アナログの価値はデジタルで最大化できます。アナログの素材を日本はふんだんに持っているわけですから、 DXはアナログ大国の日本にこそチャンスなのです。アナログとデジタルのイスタンブール状態をつくることが、日本の勝ち筋だと、私は思っています。なんとなく思っている日本人は多いと思いますよ。アナログなら日本は負けないと。
――アカデミアと政治家の関係性について
アカデミアの方々と話をしていておもしろいと思ったことがあります。それは、政治家同士で話をしている中での一番の悪口は「お前、学者みたいだな」ということ。でも学者同士で話をしていると一番の悪口は「お前、政治家みたいだな」なのだそうです。日本ではアカデミアと政治は、相性が悪いです。しかし、わが国のリソースは限られています。中国と比べてもはるかに少ない。だからこそ、もっとコミュニケーションを取っていきたいと思っているのです。
毎月、いろいろな意見交換をしています。それを政府の仕組みに落とし込むのが大事です。今は有志で行っていますが、硬直化しないように政府の仕組みに落とし込むことができればいいと思っています。こういうことを通じて、イノベーションを前に進めることができる体制を作っていきたいと思っています。
平 将明(たいら まさあき) 元内閣府副大臣、自由民主党内閣第2部会長。イノベーション、デジタル改革、IT政策、クールジャパン戦略、宇宙政策などを担当。経済産業大臣政務官兼内閣府大臣政務官、自民党副幹事長、衆議院環境委員長を歴任。家業である大田青果市場の仲卸会社の3代目社長。1967年2月21日生まれ。東京都出身。
高橋 伸太郎(たかはし しんたろう) 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任講師。DRONE FUND最高公共政策責任者。ドローン、次世代エアモビリティ、海洋モビリティ分野の産業構想に関する研究や政策提言を推進。
精密切削加工の株式会社共和製作所(碧南市<愛知県>)は、モーターの振動を吸収する新開発の複合材サンドイッチプレート試作部品を、6月5~7日に千葉・幕張メッセで開かれるドローンの大規模展示会「Japan Drone 2024」で展示すると発表した。複合材サンドイッチプレートはCFRP(炭素繊維強化プラスチック)の間にNFRP(天然繊維強化プラスチック)をはさんで成形した素材で、ドローンに搭載することで振動がフライトコントローラー(FC)やアンテナに与える影響を抑える。
複合材サンドイッチプレートのほか、CFRPやNFRPの部品も展示する。株式会社リベラウェア(千葉市)の超狭小空間点検ドローン「IBIS2」のCFRP製サイドフレームをNFRPに換装したモデルも展示する。NFRPそのものが高い振動減衰性を持っているため、静音性や安定性の向上も期待されるという。
共和製作所の発表は以下の通り
・振動吸収に特化した新素材「複合材サンドイッチプレート」の試作部品を開発 ドローン展示会「Japan Drone 2024」にて初公開
株式会社共和製作所(本社:愛知県碧南市、代表取締役社長 河口 治也 以下、共和製作所)は、2024年6月5日(水)~7日(金)に幕張メッセで開催されるドローン展示会「Japan Drone 2024」に出展いたします。
本展示会では、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)やNFRP(天然繊維強化プラスチック)の空飛ぶクルマやドローンの部品を展示いたします。また、新たに複合材サンドイッチプレートの試作部品も展示予定です。
ドローンモーター専用のNFRPスペーサー
CFRPのフレームにドローンモーターを設置すると、機体が共振を起こすことがあります。そこで、このNFRPのスペーサーを間に挟むことにより、NFRPが異なる共振周波数を持つため、共振の発生を抑制します。また、NFRP自体が高い振動減衰性を持つため、フライトコントローラー(FC)やアンテナへの振動による影響を大幅に低減します。
NFRP(天然繊維強化プラスチック)とは、植物由来の繊維でプラスチックを強化した素材です。軽量で強度があり、CFRPよりも振動減衰性が高いのが特徴です。また、環境負荷が少なく、CO2排出量削減にも貢献するエコな素材です。
小型ドローンのNFRP試作部品
リベラウェア社製の超狭小空間点検ドローン「IBIS2」に使用されているCFRPサイドフレーム部品をNFRPで製作しました。NFRPにすることで、従来のCFRPよりも振動減衰性と静音性に優れ、機体の安定性と操縦性を向上させる効果が見込まれます。
クローラーの複合材サンドイッチプレート試作部品
災害用遠隔操作クローラーのメインプレートをCFRPから複合材サンドイッチプレートに換装しました。 これにより、荒れ地を走行するタフさを維持しつつ、メインプレート上部に設置されているCPUや通信機、カメラなどの精密機器への振動を大幅に低減します。
複合材サンドイッチプレートとは、2層のCFRPの間にNFRPを挟み込んで成形した特殊な多層複合材です。表面はCFRP、中間層はNFRPという形状で、CFRPの持つ高強度高弾性に加えて、NFRPの高い振動減衰性を併せることで、従来の材料をはるかに超える性能を発揮します。
空飛ぶクルマ・ドローンへの取り組み
共和製作所は、1962年創業の精密切削加工会社です。2016年にCFRP(炭素繊維強化プラスチック)の切削加工を開始したのを機に、2017年からはCFRPと相性の良いドローン分野に参入。以降、CFRPの空飛ぶクルマやドローンの部品を多数製作してきました。
現在はCFRPだけでなく、NFRP(天然繊維強化プラスチック)や複合材サンドイッチプレートなどを用いた部品の試作も進行中です。これらの複合材は、従来の金属部品よりも軽量かつ高強度であり、空飛ぶクルマやドローンの性能向上に貢献します。
共和製作所の強み
共和製作所の空飛ぶクルマ・ドローン事業における強みは、以下の3つになります。
1. 複合材の精密・微細切削加工技術
共和製作所は、CFRPをはじめとする複合材の精密切削加工と微細切削加工を得意としています。特に小型ドローンやマイクロドローン向けの精密小型部品の製作において、高い技術力と豊富な経験を有しています。
2017年から様々な空飛ぶクルマやドローンの部品を製作してきた実績を持ち、生産体制も構築しています。また、複合材に関する深い知見を活かして、協力会社と共同で「ドローン専用の電源ケーブル入り強化アラミド繊維ロープ」の開発にも成功しています。
部品製作にとどまらず、操縦技術や関連する知識の習得、機体の構造まで幅広く学ぶことで、空飛ぶクルマ・ドローンへの深い理解を培ってきました。さらに、深圳で開催される世界最大のドローン展示会視察や新スポーツ「ドローンサッカー」への参加など、常に最新技術と市場動向を把握し、情熱を持って事業に取り組んでいます。
[空飛ぶクルマ・ドローンに関連する保有資格]第1級陸上特殊無線技士
第2級海上特殊無線技士
無人航空従事者試験1級
DPAドローン操縦士回転翼3級
第3種電気主任技術者(電験3種)
第2種電気工事士
■株式会社共和製作所について
共和製作所では 「“技術力”と“行動力”でモノづくりに貢献する」 の理念を元に、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)やNFRP(天然繊維強化プラスチック)などの複合材の切削加工を行っております。
また、複合材の可能性に着目し、様々な工業製品(部品)を製作・導入することで、日本全体の労働生産性を向上し、世界に負けない日本の製造業と成れるよう尽力して参ります。
株式会社共和製作所(キョウワセイサクショ)
代表取締役社長:河口 治也
所在地:〒447-0857 愛知県碧南市大浜上町二丁目35番地2
電話番号:0566-70-8481
創業:1962年1月
設立:1973年12月
資本金:1000万円
従業員数:4名
事業概要:カーボン(CFRP)商品の製造・加工・販売
会社ホームページ: https://www.kyowa-tokai.com/
材料販売サイト : https://cfrp-plate.com/
ブルーイノベーション株式会社(東京)は4月9日、球体点検ドローンELIOS3にとりつけて使う新たな検査装置「UT検査ペイロード(UT Payload)」を5月7日にリリースすると発表した。同日に運用サービスを始め、7月には販売も始める方針だ。詳細は今後調整する。UT検査ペイロードには人の耳でとらえられる可聴域を超えた高い周波数の超音波を発生させるプローブと呼ばれる端子が備わり、検査対象の壁にくっついて超音波を発生させ壁の厚さを測定したり内部の空洞の有無などを検査したりする。ELIOS3に搭載することで、足場を組まずに高所壁面の検査が可能になる。橋梁などの定期点検では詳細点検の必要性を判断するための一次点検に限らず、より詳細な二次点検にも対応可能という。インフラの維持管理の重要性が高まる中、非破壊検査の効率化に貢献しそうだ。4月10~12日に東京ビッグサイトで開催される展示会でデモンストレーションを実施する。
4月9日にブルーイノベーションの本社で行われた発表会では、UT検査ペイロードを搭載したELIOS3が展示され、熊田貴之社長、田中健郎取締役が機能や動作を説明したほか、ELIOSの本体容器に張り付けた小さな鉄製プレートの厚さを実際にUT検査ペイロードで検査する様子を実演した。熊田社長は、「ELIOSはELIOS3以降、センサー類の搭載が可能になり拡張性が広がっています。放射線量測定のRADペイロード、レーザー照射量が2倍の130万発となった測量ペイロードに続く今回は『診る』という新しい機能を搭載しました。これまでのドローンによる点検は簡易的な一次点検を担ってきましたが、今回はより詳細な二次点検ができることが大きなポイントです」と説明した。
UT検査ペイロードは、超音波の送受信をするプローブヘッド(探触子、トランスデューサー)、プローブを対象物に接触させる飛行の妨げにならないよう工夫されたプローブアーム、探触子と測定物の間の空気層をなくし超音波を測定物に伝えるためのジェル、カプラント(接触媒質)と、作業中に適量を供給するディスペンサー、点検の妨げになる表面のほこりを払う清掃モジュールなどで構成される。超音波測定機器大手、英シグナス・インスツルメンツ社(Cygnus Instruments)が、ELIOSを開発したスイスのフライアビリティ(Flyability)社と共同開発した。測定結果はリアルタイムでA-Scan表示される。ELIOS3専用ソフトで測定位置を3D表示できる。
デモンストレーションでは、パイロットがFPVでUT検査ペイロード搭載のELIOS3を飛行させた。会場にはあらかじめ本体容器の壁面に5cm四方程度の小さな鉄製のプレートをはりつけてあり、プレートの厚さの測定がミッションだ。ELIOS3がアーム先端を前に、チョウチンアンコウのように進みながら検査対象の鉄板に近づく。接近すると期待がレーザーポインタを照射してプローブの設置点を確認しながら、機体位置を細かく調整して接触させる。接触すると、操縦者の手元のコントローラー画面にA-Scanの波形や、測定されたプレートの厚さなどが数字で表示される様子が、モニターにうつしだされた。
UT測定は、超音波を照射した時間と反射した音波の受信した時間から肉厚を測定する。測定対象の材質が変わると音波の一部が反射する特性から、内部の腐食やキズなどによる空洞の有無も判定できる。ELIOS3は3Dモデリングでできるため、測定した素材の厚さを3Dモデル上に表示させることもできる。
熊田社長は「圧倒的なパフォーマンスを発揮できるようになったと思います」と期待をのぞかせた。
ブルーイノベーションは10~12日に東京・臨海副都心の東京ビッグサイトで開催される国愛海事展SeaJapan2024にFlyability社とともに実機を展示し、デモンストレーションも行う。
同社が発表したリリースは以下の通りだ
ブルーイノベーション株式会社
ドローンで非破壊検査(UT 検査|超音波厚さ測定)が可能
屋内点検・測量ドローン「ELIOS 3 用 UT 検査ペイロード」、5月 7 日リリース
ELIOS 3・UT 検査ペイロードを用いた運用サービス提供開始
4 月 10 日から開催 Sea Japan(東京ビッグサイト)にてデモンストレーションを披露
ブルーイノベーション株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:熊田 貴之)(以下、ブルーイノベーション)は、この度、屋内点検・測量ドローン「ELIOS 3」※1に着脱可能な専用ペイロードシリーズの新製品として、ドローンによる遠隔かつ安全な超音波厚さ測定を可能にする「UT 検査ペイロード」(以下、UT検査ペイロード)をリリースし、運用サービスは5月7日より、販売サービスは 7 月(予定)より開始します。
なお、UT検査ペイロードは、4月10日から東京ビッグサイトにて開催される Sea Japan のブルーイノベーション / Flyability 共同ブース(ブースNo. 1A-12)において、ELIOS 3 と共に実機展示ならびにデモンストレーションを実施します。
UT 検査ペイロードは、ELIOS 3 の開発メーカーである Flyability 社※2が、超音波厚さ計の世界的トップメーカーである Cygnus Instruments 社※3 と連携して開発した、ELIOS 3 に最適化されたUT 検査用デバイスです。
UT 検査ペイロードを搭載した ELIOS 3 を用いることで、プラント施設やインフラ施設(道路橋、トンネル、下水道など)、自動車や航空機の工場、船舶ドックなど、従来は足場や特殊な機材等を要した点検対象箇所において、遠隔で安全に、かつ効率的・低コストでドローンを用いた超音波厚さ測定が可能になります。
さらに、高精度な点群データを短時間で取得可能な「測量ペイロード」※4(2024 年 1 月販売開始)とUT検査ペイロードを併用することで、従来はそれぞれのチームで行っていた外観目視検査や測量、厚さ測定といった複数の点検作業が ELIOS 3 のみで実施可能(パイロットチーム2名)となり、点検業務における作業効率を飛躍的に向上させます。
【【ご参考事例】※5
5 年ごとの定期検査が義務図けられている船舶において、足場が必要となる大型船舶のバラストタンクの厚さを測定する場合、UT 検査ペイロードを導入することで足場設置などが不要となり、15,000 時間の作業を削減しました。また、測量ペイロードと組み合わせることで、従来 16 名以上で行っていた点検作業を 2名で行うなど、効率化・省人化を実現しています】
※1 ELIOS 3:https://blue-i.co.jp/elios3/
※2 Flyability 社:https://www.flyability.com/
※3 Cygnus Instruments 社:https://cygnus-instruments.com/
※4 測量ペイロード:https://www.blue-i.co.jp/news/release/20240118.html
※5 参考事例:https://www.flyability.com/casestudies/drone-elios-3-ut-ship-hull-inspection
■UT 検査ペイロード|機能
①プローブヘッド
超音波を発信するプローブ(探触子、接触する部分)は点検対象に応じて、2MHz、5MHz、7.5MHzから選択できます。また、プローブを覆うフードには強力な磁石があり、点検時の安定性を向上させます。
2MHz | コーティングなどの減衰材料 |
5MHz | 汎用、深刻な孔食または腐食のある壁 |
7.5MHz | ボイラーチューブなどの小径パイプ、腐食した薄板 |
②プローブアーム
プローブヘッドと ELIOS 3 のガード部分を接続します。プローブアームは、狭いマンホールの通過時や、複雑な空間内で飛行の妨げにならないよう、機体本体側に折りたためるように設計されています。
③カプラントディスペンサー(塗布装置)
プローブと点検対象の間には、プローブから発信される超音波を点検対象に伝達するのにゲル状のカプラント(接触媒質)が介在している必要があります。このカプラントディスペンサーは、必要量のカプラントをプローブヘッドに供給し、点検に最適な状態を保ちます。
UT 検査ペイロードは、プローブヘッドからレーザーポインタが照射されており、パイロットは照準を定めて対象を測定することが可能です。測定結果は、リアルタイムで表示されるほか、ELIOS 3 の飛行位置情報と共に記録され、飛行後の解析時に位置特定が可能です。
■UT 検査ペイロード 主な特長とメリット
【取付位置が自在なプローブアーム】
プローブアームは、ドローンの上部や前面、または下部に取り付け可能です。点検対象の位置に合わせて変更可能なため、幅広いシーンで測定できます。
【カプラント(接触媒質)残量表示】
カプラントの残量をリアルタイムに把握することができ、カプラントが不足した場合は、ディスペンサーのシリンジを補充または交換できます。
【清掃用モジュール】
点検対象物表面の付着物などにより測定が困難な場合、プローブヘッドを清掃用モジュールに交換し、対象を清掃することができます。清掃後、その位置を位置特定機能でマークできるため、一度機体を戻してからプローブヘッドを交換、再測定時にもパイロットは迷うことなく同じ位置で測定を行うことができます。
【リアルタイム A-Scan(測定結果の波形)表示】
UT 検 査 ペ イ ロ ー ド の 測 定 結 果 は 、 操 縦 専 用 ア プ リ「Cockpit」に A-Scan 結果をリアルタイムに表示されるため、使用するプローブヘッドの選択や清掃用モジュールの必要性など、その場で判断できます。
【測定結果の位置特定】
専用の解析ソフトウェア「Inspector」により、飛行中に記録した位置が 3D モデル上に表示されます。A-Scan 結果の同時表示も可能なため、結果を確認して再測
定の必要性など確認できます
■補足資料:A-Scan について
超音波による測定結果は、波形によって表されます。測定結果の表示の仕方によって名称が変わり、A-Scan、B-Scan、C-Scan などがあります。A-Scan は最も基本的な表示です。プローブ(探触子)からパルス波(連続波ではない波)で発信された超音波が、測定物の反対面で反射し、再度プローブに戻ってくるまで時間(伝播時間)を測定し、厚さを算出します。式で表すと、 [材質の中での音速]×[伝搬時間]÷2=[厚さ] となります。測定の結果は A-Scan の場合、図-1 のように表示されます。もし材質の中に空洞(内部きず)がある場合、図-2 のように伝搬時間が短くなり本来の材質の厚さよりも小さい数値が表示されます。
大阪・関西万博でいわゆる空飛ぶクルマの運航を目指している大阪府は3月28日に、空飛ぶクルマの運用が地域や日本にもたらすビジネスチャンスなどについて解き明かす「空飛ぶクルマビジネスセミナー~大阪・関西におけるビジネス展開の可能性~」を大阪で開催する。東京大学大学院特任研究員の中村裕子氏、株式会社日本政策投資銀行調査役の岩本学氏が登壇する。会場参加、オンライン参加のいずれも可能で参加は無料だ。
空飛ぶクルマビジネスセミナーは3月28日、15時30分から16時50分までで、東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻特任研究員の中村裕子氏は「空飛ぶクルマの現在地、実装の課題と世界の取り組みについて」、株式会社日本政策投資銀行産業調査部兼航空宇宙室調査役の岩本学氏は「空飛ぶクルマのビジネスチャンス~万博後に登場する新産業~」の演題でそれぞれ講演する。会場は大阪・難波の産業経済新聞社大阪本社会議室でオンライン参加も可能だ。講演終了後の名刺交換などを目的とする交流会が催される予定で、会場参加の場合は交流会にも参加が可能だ。
参加は申し込みフォームから。締め切りは3月27日午前11時。
会場参加の申し込みはこちら
オンライン参加の申し込みはこちら
開催概要に関する大阪府の発表は以下の通りだ(以下、引用)
大阪府では、府内における空飛ぶクルマの社会実装に向けて、認知度の向上や有用性の理解促進等を図るため、「空飛ぶクルマ社会受容性向上事業」を実施しています。このたび、空飛ぶクルマの現在地、経済的なポテンシャルやビジネス展開の可能性について解説するセミナーを開催しますので、ぜひご参加ください。
【セミナー概要】
1.日時
令和6年3月28日(木曜日)午後3時30分から午後4時50分まで
2.開催方法
会場とオンラインの同時開催
会場:株式会社 産業経済新聞社 大阪本社 会議室(大阪市浪速区湊町2丁目1番57号)
3.定員(申込先着順)
会場:100名
オンライン:500名
4.参加費
無料
5.内容
(1)基調講演1 空飛ぶクルマの現在地、実装の課題と世界の取り組みについて
講師:中村 裕子氏(東京大学 大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻 特任研究員)
(2)基調講演2 空飛ぶクルマのビジネスチャンス~万博後に登場する新産業~
講師:岩本 学氏(株式会社日本政策投資銀行 産業調査部兼航空宇宙室 調査役)
セミナー終了後、30分程度参加者交流会(名刺交換や情報交換)を行う予定です。
6.申込方法
関連ホームページ「空飛ぶクルマホームページ」https://soratobu-kuruma.jp/
の申請フォームよりお申し込みください。
7.申請期限
令和6年3月27日(水曜日)11時まで
株式会社ACSL(東京)の株価が引き続き堅調だ。3月25日午前の東京証券市場では株価は1100円から1200円圏で推移した。一時、年明けからの高値となる1290円を付け、2月15日の安値585円から2.2倍の水準で取引された。同社は3月21日、同日の取引終了後に同社製ドローンの航空自衛隊による空撮機としての採用を発表したあとに買いが集まりやすくなっており、市場では引き続き材料視されている。また3月25日は、3月14日に発表した株式会社りそな銀行を相手先とする相対型コミットメントラインの契約締結予定日となっていて、市場がACSLの財務基盤の改善と経営の機動性が高まる期待も好感したとみられる。同社は日本郵便株式会社(東京)と共同開発した物流ドローン「JP2」を3月4日から22日にかけて兵庫県豊岡市で飛行施行を実施しており、今後への期待が高まっている。
ACSL株3月12日に防衛装備庁による同社製品の3億7000万円の受注を発表すると、発表翌日の3月13日には買いが殺到しストップ高となった。3月21日には取引終了後に航空自衛隊による同社製ドローンの採用を発表し、再びストップ高となった。それまで市場環境や販売不振などから株価は低下傾向だったが、市場の見方に変化の兆しが表れた。
ACSLはこれまでも同社の市場へのアプローチについて情報を発信してきたが、市場は今回の情報を、大規模な取引の成立と、今後の取引の展望期待を含むと受け止め、買いが入りやすい状況となっている。
加えてりそな銀行との間で、期間を設定したうえ、限度額の範囲で自由に融資を受けられるコミットメントラインを締結する方針を3月14日に発表しており、3月25日がその契約締結日であることから、経営体制の自由度への期待を集めやすくなっている。なおACSLのコミットメトライン契約の限度額は10億円で、期間は3月25日から7か月間だ。
ACSL株は昨年(2023年)1月3日に最近の高値1811円をつけている。厳しい市場環境などもあり漸減傾向だったが、今回の政府調達と一連のその具体的な採用情報が、同社製品への見直しを強く促しそうだ。
また一連の政府調達とは別に、日本郵便と開発した物流ドローンを3月4日から22日にかけて、兵庫県豊岡市で飛行させた。今後、生活圏上空での飛行が可能になる型式の取得も視野に入れていて同社への期待をけん引することになりそうだ。
株式会社ACSL(東京)の株価が800円台に戻して推移している。東京証券市場グロース市場の同社株は3月14日の午前の取引は、前日3月13日の取引でストップ高のまま終えた857円から7円下げた850円で初値をつけた。その後も800円近辺での取引が続いている。背景には前々日の3月12日の取引終了後に発表した、防衛装備庁からの3億7000万円の受注発表がある。発表翌日の3月13日には買いが集中し、値幅制限いっぱいの150円高でも取引が成立しなかった。14日午前もその勢いを維持した展開だ。受注は2月に発表した2024年12月通期業績予想に織り込み済みだが、市場関係者からは今回の大型受注に対し政府調達の呼び水期待が寄せられている。
同社が受注したのは高セキュリティ型の空撮用ドローン「SOTEN」(蒼天)」で、今年(2024年)12月の納入予定2月を予定している。ドローンで収集した情報の漏洩を防ぐ工夫が凝らされた機体で、秘匿性の高いインフラの点検などへの活用が期待されている。
2月14日の決算発表では、前期業績の悪化要因にSOTENの販売減を挙げていたが、今回の大型受注で不振からの脱出に期待が集まる。同社は今回の受注はすでに通期業績に織り込み済みとしている。同社が発表している2024年12月の通期業績予想は、売上高が33億4千万円、営業損益、経常損益はそれぞれ赤字を見込んでいる。
大型受注の発表は3月12日の取引終了後に行われた。これを受けて翌3月13日の東京株式市場では、午前9時の取引開始直後から買いが殺到して。値幅制限いっぱいの857円のストップ高となって推移し、結局同日は取引が成立しないままとなった。3月14日も800円台を維持した取引で始まっており、2月16日つけた上場来安値の585円からの底割れを回避した水準の取引が続いている。。
ACSLが2月14日に発表した23年12月期連結決算では、売上高が前期比45.2%減の8億円9600万円と大幅に減少した。業績のけん引役と期待された高セキュリティ型の小型空撮ドローン「SOTEN」の販売台数が伸び悩んだことが響いたと分析するととともに、20.7億円の受注残があることも明らかにしていた。
ブルーイノベーション株式会社(東京都)は3月11日、能登半島地震で被災した輪島市(石川県)で、決壊の危険性が指摘される土砂ダムを定期的に自動で点検する河川監視活動を実施したと報告した。土砂崩れにより道路がふさがり作業員が現地に近づけない中、ブルーイノベーションが開発したドローンの自動離発着システム「BEPポート」を適切な場所に設置し、ドローンが自動離陸することで点検を遂行した。点検は1月31日から2月6日にかけて行われ、五光物流株式会社(筑西市<茨城県>)、VFR株式会社(名古屋市<愛知県>)が協力した。
河川監視活動の対象となったのは輪島市内を流れる牛尾川につみあがった土砂が河川の水をせきとめている土砂ダムで、1月31日から2月6日にかけて、輪島市の要請を受け、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)が統括して行われた。監視活動ではBEPポートに待機したドローンが、定期的に自動で離陸し、往復約3㎞を飛行して状況把握に必要な情報を収集した。ブルーイノベーションのドローンポートシステムは東日本大震災で被災した仙台市<宮城県>が設置している。災害支援活動として活用されるのは今回が初めてとなる。
発表内容は以下の通り
ブルーイノベーション株式会社
五光物流株式会社
VFR 株式会社
令和 6 年能登半島地震 二次災害に備え、ドローンポートシステムを活用
した自動監視システムを国内ではじめて実災害現場に導入・社会実装
ドローンポートから自動離発着するドローンにより、
河川上流の土砂ダム決壊の危険性を定期監視
この度の能登半島地震の影響により、被災された方々やご家族の皆様に、心よりお見舞い申し
上げると共に、皆様の安全と一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
ブルーイノベーション株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:熊田 貴之、以下 ブルーイノベーション)は、五光物流株式会社(本社:茨城県筑西市 代表取締役社長:小林 章三郎、以下五光物流)、VFR 株式会社(本社:愛知県名古屋市、代表取締役社長 蓬田 和平、以下 VFR)と、石川県輪島市からの要請を受け、ドローンの業界団体である一般社団法人日本 UAS 産業振興協議会(JUIDA)の指揮の元、ドローンポートシステムを活用した河川監視活動を実施しました。
本取り組みは、輪島市内を流れる牛尾川(鈴屋川の支流)に出来た土砂ダムの状況を、ブルーイノベーションが開発したドローンポートシステム「BEP ポート」を活用し、自動かつ定期的に離発着するドローンにより土砂ダムを撮影・監視し、決壊の危険性有無を常時把握することで、二次災害による被害を未然に防ぐことを目的としています。
なお、実災害現場でのドローンポートシステムの社会実装は国内初となります。
■BEP ポートを活用した災害支援活動内容
・巡回点検実施日:2024年 1 月 31 日(水)~ 2 月 6 日(火)
・場所:石川県輪島市町野町
・活動内容:
輪島市を流れる牛尾川(鈴屋川の支流)では、土砂災害による河口閉塞が数か所発生したため、道路も寸断され、人が近づくことが困難な状況でした。輪島市から JUIDA に、ドローンによる二次災害予防のための巡回点検要請があり、JUIDA指揮の元、ブルーイノベーションが開発したBEP ポートからドローンが自動で離発着し、牛尾川の上流往復約 3km を飛行。土砂ダムの状況を上空から定期的に監視を実施しました。
<鈴屋川の経時変化(同一地点)>
定点観測による撮影画像の比較から、河口閉塞による溜まり場の大きさに大きな変化がないことを確認することができました。
・使用機材
■協力