一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA、東京)の会員登録件数が1万件(個人・法人を含む)を突破する勢いだ。2019年6月末時点での登録件数は9359件。1年前に5000件突破を報告したばかりで、この1年でほぼ倍増の勢いだ。2014年7月に創設してから5周年の節目を迎える中、JUIDAは大台突破を土台に、次の展開を模索する。
JUIDAは2014年7月にドローン産業の振興を掲げて旗揚げ。翌2015年10月に操縦士、安全運航管理者養成スクールの認定制度をスタートさせた。認定スクールでの講習を修了し、申請した修了生には「操縦技能証明」と「安全運航管理者証明」を交付している。認定スクールは全国に拡大し、現在213校。秋に開催している「スクールフェスタ」には、全国から多くの認定スクールが参加している。
認定スクールの増加に伴い、会員数も拡大していて、昨年、登録件数が5000を突破した。それから1年で1万を伺う状勢となっている。
JUIDAがスクールを拡大させたのは、ドローン産業を日本に根付くために担い手の育成が不可欠と考えたためだ。ドローンに対する期待は年々高まっており、JUIDAは今後も人材育成の充実に力を注ぐことになる。またこの取り組みには海外からも問い合わせが相次いでおり、特に1万人を伺う勢いの会員には高い関心が寄せられている。ドローンの担い手の育成については、標準化を検討する国際会議でもJUIDAが議論のリード役を期待されていてる。
一方、会員の増加に伴い、会員の活躍の場となるマーケットの拡大を求める声も増加している。今後はドローンの担い手の育成とともに、ビジネス環境を整える活動にも力を入れることになりそうだ。
ドローンで撮影した写真をもとに、3Dプリンターで立体模型を作るための講習会がこのほど開かれました。以下は、合弁事業を構成する4社のうちの1社、UAV環境調査研究所代表の前場洋人さんが寄せてくれた現場報告です。これを読めば、作りたいものが次から次へと頭に浮かんでくるかもしれません。(DroneTribune編集長 村山繁)
みなさんはドローンで撮影した画像をどのように活用しておられるだろうか。ドローンスクールを卒業し事業を始めたものの、なかなか受注に結び付かず苦戦しておられないだろうか。また、ドローンで映像を撮りさえすれば顧客に満足頂けることは、平成とともに終わったのではないだろうか。
そのような状況を踏まえ、ドローン運用事業者や愛好家を対象に、ドローンで撮影した写真を元に3Dモデルを作製するという講習会が開催された。
令和元年5月8日、気持ちよく晴れ渡った空の下、千葉県君津市にあるDDFF(Dream Drone Flying Field)に受講生30有余名が集まった。SNS等での受講者募集したところ、撮影手法から3Dモデル作製までが安価で学べるとあり(しかも名物弁当付き)、30名の定員に対しキャンセル待ちが出るほどの盛況ぶりであった。これは「ドローン×3Dプリンター」という付加価値への期待感の高さによるものと思われる。
前半では、3Dモデル作製に適した自動航行アプリの設定方法、格安3Dプリンターの紹介(本講座でも同機種を使用)、撮影データの加工方法や3Dプリンターで扱えるようにSTLデータに変換するソフトウェアの操作方法等の講習が行われた。後半は、出力した3Dモデルの着色方法の講習だ。下地処理から塗料の選定や使用する道具の解説、さらには作業工程がわかりやすいように、会場内で実際に塗装のデモンストレーションも行われた。着色工程は、ソフトウェアの操作や3Dプリンターの調整とは異なるノウハウの詰まった作業であり、多くの質問が相次いだ。
ドローン業界において、3Dプリンターで製作された物というと、サードパーティー製の固定具などのカスタムパーツ製品などが挙げられるが、それらは自分で作らなくとも、ネットで簡単に入手することができてしまうものがほとんどだ。
しかし、自身で撮影した画像から地形や建物の立体模型が出来るとしたらどうだろう。
今までは画像や紙でしか提出できなかった成果物が、3Dモデルで納品することが出来れば顧客の評価はかなりアップすることだろう。平面的なものを眺めて想像するよりも、実際に触れて凹凸を感じることで得られる情報量は格段に多い。撮影から3Dモデルの作製までワンストップでサービスを提供できれば、アイディア次第でさらに受注を増やすことも可能だろう。
この講習会を企画・開催した「DJUS航空技術研究所」は、ドローンスクールのDアカデミー、ドローン運用事業者のJINSOKUTSU、UAV環境調査研究所、藤沢航空撮影隊(下田商会)の4社で組織された合弁事業者である。
今回、この4社が手を携えたのは、「ドローンってこの程度なのか」と思っている顧客やドローンスクール卒業者が少なからず存在することを危惧したからだ。「令和はドローンにとって成長期だ」というのは業界の共通認識である。
ドローンも3Dプリンターも単なる道具にすぎない。それらを上手く組み合わせ、いかに有効活用させるかがカギであり、あなたのアイディア次第で、夢は必ず形になるはずだ。(UAV環境調査研究所代表・前場洋人)
DJUS航空技術研究所では、より具体的な3Dモデル作製の講習をおこなっています。今回の講習会では紹介できなかった導入方法やノウハウを細かく丁寧にお教え致します。※先着10名様に今回使用したものと同型の3Dプリンタープレゼントキャンペーン中!また、弊社にて撮影から3Dモデルの作製もお受け致します。(データのお持込みも可能です)
詳しくは下記まで
DJUS航空技術研究所 営業部 montan@ozzio.jp
TEL 045-884-1271(保土ヶ谷ドローンフィールドHSK内)担当:ミナミ
ドローン研究に力を入れる慶應義塾大学で、単位認定外の自主活動ドロゼミが5月15日の定例活動を開催し、指導役の南政樹ドローン社会共創コンソーシアム副代表が、「静止推力」とプロペラの関係について説明した。6月以降、製作に取り組むさいの基礎知識のひとつとなる。
静止推力は、機体が重力に対抗するさいに必要となる力で、回転翼を持つドローンを作るときなどにこの理屈を踏まえることになる。ドロゼミでは6月以降、独自ドローンを製作するため、今後、必要な知識を蓄えていく。この日はプロペラとの関係について、風を切る角度(ピッチ)、プロペラの直径、プロペラの回転数がどう関係するか、すでにある理論を概観した。
この中で、「推力はプロペラ直径の3乗に比例し、回転数の2乗に比例し、ピッチに比例する」という理論を学習。これを前提に「重さが2倍のものを持ち上げなければいけないときにすべきことは?」などの問いにプロペラ角度を変える場合や、直径をかえる場合などで試算した。一方、実際には反トルクなど理論の実現を妨げるさまざまな力が働くため、理論通りにはいかないことも説明。「そこをどうするか、を次に考える」と、学生の好奇心をあおった。
ドロゼミではこのあと、小型ドローンをつかって教室内で操縦体験の練習を実施。2機で対戦遊びができるドローンを用いるなどして、操縦に慣れさせた。
ドロゼミは慶大SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアムの南政樹副代表が中心になって運営している活動で、飛ばし方の練習、理論の研究のほか、ドローンの力が役立ちそうな現場に出向いて測量、空撮、農業利用など幅広い活動をしている。活動はドロゼミから掛け合うこともあれば、自治体や企業から持ち込まれることもある。ドロゼミの活動は自主活動にあたり、参加学生に対して大学としては単位を認定していない。このため参加者の卒業要件には原則として組み込まれないが、幅広い活動が学生の好奇心を魅了し、多くの学生が参加している。
一般社団法人ドローン撮影クリエイターズ協会(DPCA)の独自技能認証「DPCA DRONEフライトオペレーター操縦技能証明証」の講習がこのほど、埼玉県嵐山町で開催された。経験あるインストラクターが知識、技能の基本を丁寧に教えていた様子を見学した。
講習が行われた会場は、埼玉県嵐山町にある広大な敷地を誇る国立女性教育会館。センター合宿、セミナー、トレーニングなど幅広い用途に対応する設備が整っていて、フライトオペレーター操縦技能講習は研修棟の教室で座学、体育館で実技が、2日間の日程で行われた。座学は上原陽一DPCA代表理事が直接担当。実技はDPCA認定インストラクターの森英昭さん、中島尚子さんが担当した。
講習を受けたのは男性3人。初日の座学でドローンが飛ぶ仕組みやルールなどの基本が伝えられたあと、同日午後3時過ぎに体育館に移動し、実機をつかって電源の入れ方、プロペラの取り付け方、確認の仕方、タブレットでGPS信号が十分に届いているかどうかの確認、などが基本作業についてを手際よく、丁寧に伝えられた。
ドローン事業を手掛けるアイエイチプランニング(東京)の代表として、空撮や橋梁点検、ソーラーパネル点検など数多くの実績がある森さんは講習の間に、「バッテリーは余裕をもっておくことが重要。100メートルの高さから着陸させるのに10%消費することも覚えておく必要がある。自分が運用するときには、バッテリー残量が40%を切ったら機体を地面に降ろすことにしている」などと、経験をふまえた実践的なアドバイスもしていて、参加者の興味をかきたてていたようだ。
受講生3人に対し、3人の講師がつきっきりで指導するぜいたくな態勢で、受講生は疑問がわいたらその場ですぐに質問ができる環境の中、カリキュラムをこなしていた。
DPCAは今後も各地で講習を実施。5月16、17日(残り僅か)、6月16、17日の京都、6月27、28日の大阪、6月24、25日の埼玉での講習について、現在受講生を募集している。