「ドローン」に雄バチの意味があることと直接の関係はないらしいが、スマート化支援事業などを手がける株式会社ワイズ技研(東京)が5月24日、ドローン事業で培ったデータ収集や解析などの技術をミツバチの行動解析に生かす「Y’sSmartBee」プロジェクトを開始したと発表した。埼玉県立羽生実業高校(埼玉県)を会場に学校に養蜂箱を設置し、農業経済科の生徒と授業を通じて実証実験を進める。取り組みは4月から1年間。この間にハチミツの生産に影響を及ぼす「分蜂」と呼ばれる行動の予測や、ミツバチの体調管理へのデータ解析の有効性を確認する。効果が確認できれば「Y’sSmartBee」プロジェクトを、養蜂家の負担軽減や養蜂産業の活性化に向けたサービス事業などとして提供する方針だ。物理的な密の回避が叫ばれる中、ワイズ技研は地元や高校生との「連携」を密に、ミツのプロジェクトに取り組む。
ワイズ技研の養蜂プロジェクト「Y’sSmartBee」は、養蜂事業のスマート化を推進する一連の取り組みだ。今回はじめたのは実証実験で、羽生実業高校に協力を依頼し、敷地にセンサーを取り付けた養蜂箱を設置し、気温、湿度などの環境データ、ミツバチの行動データを収集する。収集したデータはAIで解析し、結果を養蜂家に通知する。主に疫病、分蜂の兆候である行動を見つけられるかどうかが実験のポイントになる。
ミツバチの生産では、巣箱の中のミツバチの疫病や、女王蜂がオス蜂や働きバチを引き連れて巣を飛び出し、別のコロニーを形成する「分蜂」と呼ばれる行動が、生産量に影響を与える。分蜂が起きると、巣内の労働力が減ることがあり、その場合は、分蜂が起きないよう対策を取らなければならない。ミツバチの行動を観察したり、女王蜂が産卵をするための場所となる王台とよばれる塊の建設が巣内で進んでいるかどうかを確認したりするために、巣枠を一枚一枚確認する「内検業務」と呼ばれる目視確認が欠かせない。内検は生産量への影響を避けるあめの重要な作業である一方、養蜂家の負担が大きく、生産規模の拡大をためらわえる大きな要因にもなっている。
ワイズ技研は養蜂家の作業負担軽減に、同社がこれまで進めてきたドローンの技術が転用できる可能性があることに着眼。データ収集、解析などのスマート化で養蜂業の産業活性化を支援するため「Y’sSmartBee」プロジェクトを構想し、その有効性を実験で確認することにした。
実験地域である埼玉県羽生市では、⼀般社団法⼈⽻⽣市観光協会(埼⽟県⽻⽣市)が管理する全国まちづくり交流協会(埼⽟県⽻⽣市)を通じ、⽻⽣市の新たな特産品としてのハチミツを開発する方針を打ち出している。ワイズの実験は「Y’sSmartBee」でこれを支えることを目指す。事業には神奈川県で養蜂家として活躍している⾕⼝侑太⽒、学校法⼈東京農業⼤学厚⽊ミツバチ研究部の岸村和真部長に監修のサポートを受ける。産学官の連携でミツバチを育て、特産品の開発をし、養蜂⼈材の育成も進める。
ワイズ技研の北⽥諭史代表は「スマート化で、管理業務の⼈的負担軽減と、飼育可能数の拡大を通じ、国産はちみつの⾷品⾃給率向上や養蜂業界の収益化を⽬指したいそのためにはスマート化の有効性を確認し、Y’sSmartBeeをサービス事業として構築したい」と話している。