無人モビリティ事業を手掛ける株式会社セキド(東京)は1月17日、春日部市(埼玉県)で、DJIが1月10日に日本を含めた世界市場での発売を発表したばかりの FlyCart30 の説明会「DJI FlyCart 30の魅力全部ご紹介セミナー in 春日部」を開催し、参加者の前で25㎏の荷物をウインチシステムで吊り下げて運ぶデモンストレーションを実施した。発表から間もない説明会だったため、この日はテストファームの状況での実演となった。説明を担当したセキドの糸野隆雄氏は「(説明会6日前の)木曜日(11日)にデモ機にはじめて触れ、検証すればするほどめちゃめちゃいいと実感した。しっかり実装されれば一斗缶をかついで山をのぼる作業は不要になるのではないか。クレーンの入れない場所、災害現場で使える」と期待を込めた
セミナーはセキド春日部事業所が入る「春日部みどりのPARK」の施設の前庭で開催された。セキドの糸野氏が機体を前に概要を説明した。ベースが2024夏にも発売が予定されている農業機DJI AgrasT50であることや、荷物の配送方法は70Lケースを取り付けて運ぶ方法と、ウインチシステムでつり御下げて運ぶ方法の2モードから選べることなどが紹介された。ウインチの荷物の切り離しは、ウインチにつりさげている荷物が地面におろされると、とめてある金具がはずれリ沒がリリースされる仕掛けになっていることが説明された。
説明をしたあと、機体を離陸地まで2人で運び、20㎏の荷物と5㎏のかご、あわせて25㎏の荷物をくくりつけた。このさい、ロープがたるまないような工夫をほどこすことが大切で、この日は、軽めのおもりでロープがたるまないようにした。
起動させると、重低音でプロペラがまわると機体はスっと安定して離陸。ロープにくくりつけられた荷物は、ロープがのびきる高さまで機体が浮上するとともに、負荷を感じる挙動をっみせることなくつりさがった。機体はそのまま、会場の施設屋上におろした。また、機体がホバリングしたままおろした荷物を再度ウインチにとりつけ、離陸地点に帰還した。
ウインチシステムで荷物が吊り下げているさい、荷物の揺れによって機体がひっぱられても安定して飛行し続けることや、荷物の揺れに応じて機体が反応し、揺れを抑えるように飛行することも実演した。また、画面の様子も説明した。
セキドは今回、中国本社と直接の折衝のうえ、説明会の開催を実現させた。販売情報が固まっていない。講習料金、パーツの供給の有無などは今後、決定して公表する見込みだ。
説明会には多くの愛好家、事業者が参加し、デモンストレーションのあとも問い合わせが続いた。
DJI FlyCart 30はDJIが1月10日に、グローバル市場での販売を発表した。機体は8枚のプロペラを4軸に配置したマルチローター構成だ。デュアルバッテリーの場合、最大積載量30 kg、最大航続距離16 kmを可能にする。パラシュートも搭載している。DJI O3映像伝送システムで、ドローンと送信機の接続を最大20 km まで確保する。新開発のソフトウェアDJI DeliveryHubで体系的にタスク管理をする。
DJIは、1月10日、物流専用機DJI FlyCart 30のグローバル市場での販売を発表した。8枚のプロペラを4軸に配置したマルチローター構成で、デュアルバッテリーの場合、最大積載量30 kg、最大航続距離16 kmを可能にする。緊急時などシングルバッテリーで運用するさいには最大積載量は40 kgで、最大8 km飛ばせる。DJI O3映像伝送システムで、ドローンと送信機の接続を最大20 km まで確保する。新開発のソフトウェアDJI DeliveryHubで体系的にタスク管理をする。
DJI JAPANの発表は以下の通りだ。
この配送用ドローンは、大容量の積載、長距離輸送、高い信頼性、インテリジェント機能に対応し、配送業界が抱える課題の解決に貢献します。このドローンにより、山岳エリアや海上での輸送、または、救急救助活動における輸送などを、より効率的かつ柔軟に行うことができます。
「農業や建設業における管理や測量などにおいて、DJIの業務用ドローンは、従業員の安全性や業務の生産性を向上し、業界の業務品質の刷新に貢献してきました。私達は、FlyCart 30がドローンによる配送のソリューションとして高い信頼を獲得し、複雑な地形や配送先への輸送に関する課題を、効率的かつ経済的、そして何よりも安全に解決できると信じています。」と、DJI コーポレート ストラテジー シニア ディレクターのChristina Zhangは述べています。
重量貨物を長距離輸送可能
FlyCart 30は、8枚のカーボンファイバー製プロペラを4軸に同軸配置したマルチローター構成を採用し、最大飛行速度20 m/sを実現します[1]。デュアルバッテリー使用中は、最大積載量30 kg [2]、最大航続距離16 km [3]を実現。緊急時にシングルバッテリーで運用する場合、最大積載量は40 kg [4]に増加し、最大8 kmの航続距離に対応します。DJI O3映像伝送システムにより、ドローンと送信機の安定した接続を最大20 km [5]の距離で実現します。デュアル操作モードにより、簡単な操作をするだけで、異なる場所にいる2人のパイロット間で制御権限を相互に移譲することが可能です。
様々な環境に対応
FlyCart 30は、過酷な気象や地形条件下でも、優れた性能や安全性を発揮します。FlyCart 30は、保護等級IP55を誇り、 -20~ 45℃の環境温度範囲で動作でき、最大12 m/sの風圧環境下でも飛行することができます[6]。標準プロペラは、最大飛行高度6000 mに対応できるように最適化され、30 kgのペイロード積載時でも高度3000 mまで飛行することができます。低温環境下でも、自己発熱機能対応のバッテリーが最適な性能を発揮し続けます。
運用時の安全性を向上
FlyCart 30は、冗長システムとスマートな安全機能を備え、運用時の安全性を確保します。離陸前に、環境条件をもとに、飛行ルートが利用可能かを判断し、音と光による警告やプロペラの回転開始時の6秒遅延などを使い、安全性を確保することが可能です。飛行中は、搭載された前方・後方のアクティブフェーズドアレイレーダーとデュアルビジョンシステムにより、如何なる気候や時間帯でも、多方向での障害物検知を実現します [7]。また、有人航空機が付近を飛行している場合、内蔵のADS-Bレシーバーが速やかに警告を発します。緊急時には、機体に内蔵されたパラシュートが低高度で開くことにより、機体を安定して着陸させることができ、周囲の人々や設備の安全性を確保できます [8]。
様々な配送シナリオに柔軟に対応
FlyCart 30は、機体を折りたたむことにより、普通自動車に乗せて運搬することができます。
貨物モードでは、70Lケースにペイロードを収納できます[9]。ケースには、重量と重心を検出するセンサーが搭載され、貨物のバランスを保ち、優れた安全性を確保します。
ウインチモードでは、ウインチシステムを使用してペイロードを吊り下げ、着陸しにくいエリアへの配送を可能にします。ウインチシステムは、20 mのケーブルを用いて、手動または自動で速度0.8 m/sの巻き上げ/下げを行うことが可能で、最大40 kgのペイロードを輸送することができます。APプロジェクションは、目的の着陸地点を送信機画面に投影表示することで、正確なペイロードの降下をサポートします。飛行中、FlyCart 30はスマートに姿勢を調整し、吊り下げているペイロードの揺れを自動で軽減します。
専用ソフトウェアで、ドローンによる配送をさらに円滑化
DJI DeliveryHubは、タスク計画、運用ステータスのモニタリング、チームリソースの集中管理、データの収集と分析に対応し、FlyCart 30による配送を体系的に管理します。FlyCart 30に搭載された高解像度FPVジンバルカメラを通して、ライブビューを確認することもできます。
DJI Pilot 2は、手動・自動飛行に対応するとともに、飛行ステータスやペイロードの状態などをリアルタイムに表示し、安全で効率的な運用を可能にします。また、異常気象やその他の異常事態が発生した場合、DJI Pilot 2は、オペレーターにリスクを警告し、代替着陸地点の管理をサポートします。
DJI DeliveryHubとFlyCart 30は、外部クラウドプラットフォームまたは外部ペイロードと併用することが可能なため、様々な業界に特有のシナリオに適応することができます。
DJI FlyCart30 のサイト
DJI DeliveryHubのサイト
探求教育に力を入れる日本大学豊山女子高等学校(東京都板橋区)は8月10日、探求教育の一環でドローンを学ぶ生徒がドローンの操作に初挑戦する様子をメディアに公開した。講習はドローンの指導やソリューション開発を手掛けるブルーイノベーション株式会社(東京)が担い、指導役オペレーター6人を含む10人以上のスタッフがサポートした。講習に臨んだ生徒たちはゲームのジョイスティックの操作性との違いを短時間でのみこみ、「楽しい」、「もっと飛ばしたい」を連発。2時間ほどの実践で機体先頭のカメラを円の中心に向けたまま周回させるノーズインサークルのコツをつかむ生徒もいた。生徒たちは今後、課題の解決に結びつけるなど実践の局面に進む。
ドローン操作に臨んだのは、ドローン部に所属する25人のうち、夏休みでも参加ができた18人。生徒たちが3人ずつ6班に分かれると、各班に配属されたブルーイノベーションの講師の指導に耳を傾け、電源を入れ、ひとりずつ操縦に挑戦した。
スティックの動かし方を学び、浮上、ホバリング、着陸を一巡したのち、前進と後退、左右移動、左右回転などをおりまぜて、四角形の4辺を進行方向に機体のアタマを向けながら移動させた。エルロンではゲームのコントローラーの勢いで舵を切り、機体が急に動くことを実感し「そっと、そっと動かさないといけないんですね」と目を輝かせた。
1年生のはまじんさん、たいにーさん、れんさんは、ドローンに触れたのは今回が初めてだったがみるみるコツをマスター。最初に操作をしたはまじんさんがいち早く四角形の周回をこなすと、それを見ていたたいにーさんが「もっとゆっくり動かしたほうがなめらかに動くかなと思って」とさらになめらかな動きを実践。すると、ふだんゲームでスティック操作に慣れているれんさんは「ぴったり90度に曲がることが簡単ではなくて、もっと練習が必要だと思いました」と精度を高める意欲を見せた。
ひととおりの課題をこなすと、3人とも「もっと飛ばしたい」と残り時間も積極的に操作。たいにーさんは、横移動と回転を同時にかけて、機体の鼻先を円の中心に向けたまま移動させるノーズインサークルの方法についててほどきを受けてさっそく実践すると、講師や関係者も「素質ありすぎじゃない」と驚くほどの初心者離れした操作をみせた。
操作の様子は、柳澤一恵校長や、探求教育の導入に尽力した黛俊行教頭も視察。柳澤校長は「生徒たちにはいろいろな経験をしてほしいと思ってこの取り組みをしました。経験が気づきを生み、社会にも還元できると思いますし、自身の人生を豊かにするとも思います。ドローンは社会に欠かせないものになると思います。社会に出る前にこの経験をしたことが、どんなふうに生きるか楽しみです」と目を細めた。
ドローン部はすでにドローンの特性や、地元である板橋区の社会課題などを学んでおり、今後、防災、防犯、地域の魅力化などのテーマごとに、ドローンの活用を検討する。
学校現場ではドローンの導入が広がっている。福島県立船引高校(福島県田村市)では、2016年12月以降、ドローン研究に力を入れる慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム(古谷知之代表)によるドローン講習が続けられている。今年度は「プログラミング×AI×ドローン」が展開されている。湘南白百合学園中学・高等学校(神奈川県藤沢市)、聖光学院中学校・高等学校(横浜市)は、著名アーティストのライブの映像撮影実績を持つ船津宏樹氏がCEOとして率いるfly株式会社(東京)のてほどきで、STEAM教育の一環としてドローン講習を行った。徳島県立那賀高等学校も森林クリエイト科で2017年度からドローンのカリキュラムを取り入れており、学校でのドローン導入が加速しそうだ。
DJI JAPAN株式会社(東京)の呉韜代表取締役は5月26日、千葉・幕張メッセで開催された「第5回建設・測量生産性向上展」(CSPI-EXPO 2023)の「出展者による製品・技術PRセミナー」に登壇し、発表したばかりの空撮用ドローンのInspire3、産業機のMatrice350RTKなどを紹介した。呉代表がドローン経験者に挙手を求めたところほぼ全員の手が挙がって驚く場面もあった。セミナーは盛況で、会場に用意された座席数をはるかに上回る参加者が聴講し、座席の後ろなどのスペースには立ち見の聴講者があふれた。
DJI JAPANの呉代表が登壇したのは、「現場で活躍する最新の産業用ドローンの現状」の演題で開かれたセミナーの最初の10分間。後半では、同社のソリューションエンジニア、木田雄貴氏が登壇し、DJI機の具体的な活用例を紹介した。
呉代表は冒頭に来場者に向けて「ドローンを活用している、という方、ぜひ挙手してい頂きたいと思います」と呼びかけた。会場では一斉に手が挙がると呉代表は「うわ。え。ほぼ100%じゃないですか」と目を丸くし、「数年前に同じ質問をしたところ1割もいない状況でした。短期間でここまで利用して頂けて嬉しいです」と感謝を述べた。
呉代表はDJIが2006年、日本支社が2013年に設立されたなどの歴史や、日本のスタッフは200人であり、研究買発、販売、生産まで担う、深圳の本社以外で世界最大のオフィスであることなどを説明した。また生産買発について、①個人向けのコンシューマ②Inspire3ほか映画、放送などプロフェッシショナル③農薬散布や直播、リモートセンシングなどの農業分野④産業ドローンの4つのラインナップで行われていることを紹介。産業分野で使われてる用途は53%と半分以上が土木・建設、測量であることを伝えた。
また産業機として5月18日にリリ-スされたMatrice350RTKを紹介。継続飛行は55分で、DJI JAPAN設立当初に主力機体だったPhantomが10分未満であったことと比べて、バッテリーなどの技術が進化したことなどをアピールした。このほか通信、衝突防止システムなどの機体の特徴や、サードパーティーを含めたペイロードの選択肢の豊富さを紹介したうえで、PR動画を投影した。
その後は、木田氏が活用事例として中電技術コンサルタント株式会社(広島市)と共同で実施した活火山である桜島(鹿児島県)の火山活動に伴う状況把握、地形変動量調査、土砂移動機構のメカニズム解明などの調査や、豊橋市(愛知県)の防災対策などが紹介され、来場者は しきりにメモを取っていた。
建設機械、測量機器の大規模展示会「第5回建設・測量生産性向上展 (CSPI-EXPO 2023、建設・測量生産性向上展実行委員会主催)が5月24日、千葉市の大型展示会場幕張メッセで開幕し、会場にはDJI JAPAN、アミューズワンセルフ、スペースワン、ジュンテクノサービス、セキド、エアロセンス、みるくる、ルーチェサーチなどのドローン、水中ドローンや関連技術が大量出展されている。DJIはドローンを格納するDJI Dockや、今月18日に発表されたばかりの産業機Matrice 350 RTKを初公開。ほかにも多くがこの日にあわせたコンテンツを披露している。開会前に行われたオープングセレモニーでは、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の鈴木真二理事長がテープカットに加わり、ドローンが建設測量分野で欠かせない技術であることを物語る中、ドローン関係事業者の熱の入った展示は5月26日まで続く。
にぎわいは開場前、会場外ですでに出来上がっていた。
会場である幕張メッセの玄関口前には、株式会社アミューズワンセルフのハイブリッドドローン「GLOW」を描いた巨大案内板が登場し、来場者は会場に入る前にドローンを目にすることになる。また24日午前10時の開場前に、会場ホール入場口前で行われたオープニングセレモニーでも、にぎやかさをアピールするかのように、テープカット用のテープが前後2列にはられ、主催者、業界代表ら33人がズラリとはさみを持って並んだ。JUIDAの鈴木理事長もその一人として加わった。谷鉄也実行委員長は「400社を超える出展企業で開催できた」とにぎわいを総括してあいさつしたほか、来賓として登壇した国土交通省のイノベーション担当の森下博之大臣官房参事官は「注力しているBIM/CIM、ICT施工、遠隔化・自動化などにとって、建設機械、測量機器、ドローン、AI、センサーなどは欠くことのできない主要な技術」と述べた。
展示でもドローンは主役である建設機械とともに彩を添えている。
DJI JAPAN株式会社はドローンの格納、充電、離着陸場となるDJI Dockを初出展した。手元のスマホで開閉する様子を実演し、その様子に多くの来場者の足をとめていた。機体を格納するときには離着陸台の左右から箱型の覆いが機体をつつむようせり出して閉じる。機体のプロペラは自動で向きが整えられDockに収まる態勢になる。またDockの周辺環境を監視するカメラも備わり、機体が離着陸するときの安全を確認する。早ければ6月中にも発売となる見込みだ。このほか1週間前に発表されたばかりのMatrice 350 RTKも展示されている。
同社のブースには、株式会社テクノシステム、株式会社kiipl&napなど関係の深い企業がそれぞれの技術をブース内ブースのような形式で展示している。たとえばテクノシステムはUAV支援システム「ランドステーソンUAV」を紹介。ドローンで取得したデータをもとに、作業規定準則などに定めるフォーマットにそった帳票を作成することができ、入力作業を軽減する。
ドローンの販売や人材育成などを手掛ける株式会社セキドは、中国CZIのドローン用のミッションペイロードを紹介している。音声を届けるためのスピーカーなどデジタルボイスブロードキャスティングシステムやライトなどが来場者の興味を引いていた。
NORTEKジャパン合同会社は、手のひらサイズの高精度水中ナビゲーションセンサパッケージ、Nucleus1000を紹介している。音波を出して距離を測る音波発受信部を持ち、圧力計、水温計、超音波式距離計やAHRSセンサーを備え、深度、水底や壁面などまでの距離、姿勢、方位、対地速度などを割り出す水中ドローン向けのアプリケーションだ。油田開発に用いる探査ロボットなどに使われてきたが、ドローンに使えるように応用、調整した。
株式会社スペースワン、ジュンテクノサービスも水槽を用意し水中ドローンを中心に展示している。スペースワンはCHASNGの「CHASING M2 S」を日本で初めて公開した。またジュンテクノは水中ドローンの活用事例を紹介したり、ポータブル電源を開発する中国、エコフローテクノロジー社のポータブル電源や、12分あれば18個の氷が作れるポータブル冷蔵庫GLACIERなどを紹介したりしていて、いずれも多くの来場者でにぎわっていた。
ドローンを使った構造物の高密度測量で知られるルーチェサーチ株式会社は、既存構造物の点群から3DCADに変換するソフトウェア「PINO」を展示している。点群をモデル化するさい、最前面でない点群をつかみ、ゆがんだモデルになってしまう事態を避けるため、簡単な作業で奥の点をつかまずに済むよう工夫してある。同社の尾原保弘技術営業部長は「図面のない構造物が多くあり、その現状を再現することに貢献したい」と話す。
また古河産業株式会社は、最大49㎏までの重量物を運べ、飛行中につり荷の横揺れを防ぐ機能を搭載した「EAGLE 49」を展示。株式会社FLIGHTSは高性能でありながらリーズナブルな次世代いLiDAR「FLIGHTS SCAN」を紹介している。株式会社カナモトはレンタルや運用サービスで活用しているFreeflySystems社製マルチコプターALTA X(アルタエックス)を展示し、都心部での送電線作業をこの機体で遂行している様子を動画で紹介している。エアロセンス株式会社は、200haを30分でレーザー計測できる、YellowScanのLiDARを搭載したVTOL機「エアロボウイング」をアピールしている。NTTコミュニケーションズ株式会社もAIドローン開発で知られる米Skydio社の機体やソリューションを紹介している。
ほかにも株式会社みるくる、株式会社テラドローンなど多くのドローン関連企業が、建設機械メーカーなどとともに会場を盛り上げていた。25日にはJUIDAの鈴木理事長が「ドローン、空飛ぶクルマが拓く未来」の演題で「特別セミナー」での登壇を予定してる。26日にはDJI JAPANの呉韜代表取締役が「現場で活躍する最新の産業用ドローンの現状」について、製品・技術PRセミナーとして講演することになっているなど、ドローンの存在感が高い3日間となりそうだ。
KDDIスマートドローン株式会社(東京都)などは2月3日、東京・北区と足立区の間を流れる荒川下流で2機のドローンを同時に自律飛行させる実験を1月に実施したと発表した。機体には株式会社プロドローンの「PD6B-Type3」を物流機として、DJIの「Matrice 300 RTK」を河川巡視機として使った。それぞれのドローンにはKDDIスマートドローンが開発したドローン専用通信モジュール「Corewing 01」を各機体に搭載。国土交通省関東地方整備局荒川下流河川事務所(東京都北区)からKDDIスマートドローンの自律飛行技術「スマートドローンツールズ」の運航管理システムを使い、モバイル通信の環境を整え、遠隔制御した。
実験は1月27日、荒川下流で、KDDIスマートドローン、プロドローンのほか、国土交通省関東地方整備局荒川下流河川事務所、八千代エンジニヤリング株式会社が合同で実施した。実験の目的は河川上空利用ルールの策定と運航管理の有効性確認。「PD6B-Type3」が東京都足立区側にある「都市農業交流館」から飲み物と食べ物を対岸の北区側にある「荒川岩淵関緑地バーベキュー場」に自律飛行で配送し、「Matrice 300 RTK」が北区にある岩淵水門・低水護岸の河川巡視を想定して画像データを取得した。
発表は以下の通り
KDDIスマートドローン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:博野 雅文、以下 KDDIスマートドローン)は2023年1月27日、国土交通省 関東地方整備局 荒川下流河川事務所(所在地:東京都、事務所長:出口 桂輔、以下 荒川下流河川事務所)、八千代エンジニヤリング株式会社(本店:東京都台東区、代表取締役社長執行役員:高橋 努)、株式会社プロドローン(本社:愛知県、代表取締役社長:戸谷 俊介 、以下 プロドローン)と合同で、荒川下流河川内において、全国初(注1)の河川上空利用ルールの策定に向けたフードデリバリーおよび河川巡視の実飛行・運航管理の実証実験(以下 本実証)を実施しました。
■背景
2022年12月に施行された改正航空法で「有人地帯における補助者なし目視外飛行(レベル4飛行)」が可能となったことを機に、都市部におけるドローンの利活用に期待が高まっています。 ドローンは生産年齢人口の減少に伴う労働力の代替や、災害時における状況把握や物資配送など、さまざまな社会課題を解決するテクノロジーのひとつとして、社会実装に向けた取り組みが進められています。
■本実証について
将来の荒川下流(都心部)におけるフードデリバリーや河川巡視のドローン運航を想定し、荒川上空で物流用と河川巡視用のドローンを同時に自律飛行させ、河川上空利用ルールを策定する上での実用性・有効性を検証しました。
KDDIスマートドローンが開発したドローン専用通信モジュール「Corewing 01」(注2)を各機体に搭載し、「スマートドローンツールズ」(注3)の運航管理システムを利用することで、モバイル通信によるドローンの自律飛行を可能とし、事務所内から遠隔制御を実施しました。
1.実施内容
(1)物流・河川巡視用途での実用性・有効性の検証
①フードデリバリー
都市農業交流館内のマルシェの飲食物等を荒川岩淵関緑地バーベキュー場に自律飛行で配送しました。
②河川巡視
岩淵水門・低水護岸の河川巡視を想定し、ドローンの自律飛行により巡視に必要な画像データの取得を行いました。各種データの送受信にもモバイル通信を使用しました。
(2)遠隔オペレーションの実用性・有効性の検証
荒川下流河川事務所の災害対策室をオペレーションルームに見立て、運航管理システムを通して、機体の飛行位置、状態、電波状況、GPS 精度、気象情報や、機体に搭載されているカメラからのリアルタイム映像を確認しながら、遠隔操作によるドローンの運航を行いました。
2.使用した機体
・PD6B-Type3(プロドローン製)
「PD6B-Type3」は、最大ペイロード30kgを誇る大型機で、高い安定性と可搬性を両立させた産業用プラットフォームです。レーザー測量機や物資輸送機として、すでに多くの企業、幅広い産業用途で使用されている現行のPD6B-Type2をさらに進化させました。目視外自律飛行に対応し、今後のレベル3、4前提社会において活躍する機体構成となっています。
今回の実証では、①フードデリバリー において飲食物を、荒川をまたいで対岸へ運びました。
・Matrice 300 RTK(DJI製)
「DJI Matrice 300 RTK」は、最新の航空技術から着想を得て設計された産業用ドローンです。安定した飛行性能と30倍ズームカメラ、360度衝突回避センサーなどの優れた空撮機能を備え、あらゆる点検や監視での利用に最適な機体です。
今回の実証では、②河川巡視 において、岩淵水門・低水護岸の空撮を行いました。
3.飛行ルート
フードデリバリー: 足立区都市農業公園前の荒川高水敷から荒川岩淵関緑地バーベキュー場まで、高度約50~100mで運航しました。
河川巡視 : 荒川下流河川事務所屋上から高度約30mで一帯を運航しました。
4.結果
本実証により、都市部のドローン物流において、河川上空の活用が有効であること、河川巡視において必要な画像データをドローンの自律飛行によって取得できることを確認しました。また、物流用・河川巡視用の2機のドローンを同時に遠隔自律飛行させることで、複数用途のドローンの運航管理を一カ所に集約することの実用性・有効性の検証を行いました。