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  • 2022.11.18

    エアロセンス、東大IPCから第三者割当増資 イノベーションエンジン、日本無線と共同出資

    account_circle村山 繁
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    起業支援、投資などを通じてイノベーションの促進を手がける東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(=東大IPC、東京都文京区)は11月14日、同社の運営するオープンイノベーション推進1号投資事業有限責任組合(AOI1号ファンド)による、VTOL機「エアロボウイング」の開発などを手掛けるエアロセンス株式会社(東京都文京区)への出資を発表した。エアロセンスも同日、AOI1号ファンドをリードインベスターとする第三者割当増資による資金調達を実施したと発表した。東大IPCによると、今回のエアロセンスへの投資は、イノベーションエンジン株式会社(東京都港区)、日本無線株式会社(東京都中野区)との共同出資という。東大IPCの発表は以下の通り。

    東大IPC エアロセンス株式会社への出資を決定

    エアロセンスへの出資決定を発表している東大IPCのサイト

    東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(本社:東京都文京区本郷、代表取締役社長:大泉克彦、以下「東大IPC」)が運営するオープンイノベーション推進1号投資事業有限責任組合(以下「AOI1号ファンド」)は、自社開発の国産産業用ドローンとクラウドサービスを組み合わせ、企業や自治体などにソリューションを提供するエアロセンス株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:佐部浩太郎、以下「エアロセンス」)に対して出資を行うことを決定しました。

    今回エアロセンス社への投資は、イノベーションエンジン株式会社(本社:東京都港区、代表:佐野睦典)、業務資本提携を結ぶ日本無線株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:小洗健、以下「日本無線」)との共同出資となります。

    ■ソフトウェアとハードウェアの一気通貫による開発体制で現場の課題に対応

    建設・土木、物流、漁業、農業などの産業や、点検や測量などの分野における人手不足は大きな課題となっており、業務の効率化による課題解決ニーズの増加にともない、産業用ドローン市場は今後急拡大することが予想されています。日本国内のドローンビジネスの市場規模は2022年度には前年度比34.3%増の3,099億円に拡大し、2027年度には7,933億円に達することが見込まれる中、エアロセンスは自社の高い技術力による製品の社会実装力を強化し、社会の課題解決に貢献し成長を続けています。

    エアロセンスは「ドローン技術で変革をもたらし、社会に貢献する」をビジョンに掲げ、2015年8月にソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社(当時。現在はソニーグループ株式会社が持ち分を保有)、株式会社ZMPの共同出資により設立。国産ドローンのハードウェアからソフトウェアまで自社内で一気通貫の開発体制を持つことで、さまざまな分野の現場で使いやすい産業用ソリューションを提供しています。

    エアロセンスの VTOL型ドローン「エアロボウイング」は、国内のドローン業界初となる垂直離着陸型固定翼ドローンとして2020年10月に発売し、航続距離は最長50kmを誇ります。同機は既に広域・長距離の監視業務などに活用され、遠隔地での災害や遭難といった緊急事態時に現場をモニタリングすることが可能です。また、2022年5月に発売を開始した、標定点を設置せずに i-Construction 基準の測量制度に準じた測量ができるドローン「エアロボPPK」は、一般のドローンによる測量業務を約1/3に削減することを可能にするなど、高い開発力を生かし社会課題解決に役立つ商品ラインアップを充実させています。

    ■製品供給体制と経営を強化し、ドローンのさらなる社会実装を目指す

    この度、エアロセンスは日本無線とも資本業務提携を締結し、長距離、長時間の飛行が可能なエアロセンスのVTOL(垂直離着陸型固定翼)型ドローン「エアロボウイング」の性能の向上を図り、日本無線が同機を活用することで国の行政機関の防災、点検の支援体制の強化および拡充を図ります。

    東大IPCはエアロセンスの強みであるVTOL型をはじめとする多様なドローン各機種の製造・販売体制の強化に加え、強固な事業運営体制の構築を目指し、この度の投資実行に至りました。今後は更なるオープンイノベーションの推進に加え、東京大学の知見を活用して法制度への対応強化など事業戦略の策定/実行の支援も目指します。

    ■エアロセンス株式会社  代表取締役社長  佐部浩太郎 コメント

    当社は設立8年目を迎え、今後さらなる成長に向けて、この度東大IPCから支援をいただくことになりました。調達資金を活用し、これまでの開発フェーズで培ったユニークな製品群の製造・販売など、供給能力を強化していきます。また、東大IPCのベンチャーキャピタルとしてのノウハウを取り入れることで、経営の強化、企業価値の向上にも取り組んでまいります。

    ■東京大学協創プラットフォーム開発株式会社 代表取締役社長:大泉克彦 コメント

    産業用ドローンは、建設・土木、物流、漁業、農業などの幅広い産業で今後、運用・インフラを支える必須のツールになっていくものと考えられています。エアロセンス社はその社会課題、何より現場と向き合い対応するべく、ハード・ソフト双方の開発体制をもつことで業界唯一、国内初のソリューションや技術を多数持ち得る企業です。当社は事業会社やアカデミアとの連携などを通じて最先端のドローン・AI・クラウドで変革をもたらし、現実世界の様々な作業を自動・効率化することで社会への貢献をともに目指してまいります。

     

    ■日本のオープンイノベーション活動の発展寄与を目指すAOI1号ファンド

    AOI1号ファンドは、東京大学周辺でのオープンイノベーション活動の推進を目的とし、「企業とアカデミアとの連携によるベンチャーの育成・投資」というコンセプトで2020年に組成されました。本ファンドでは、各業界のリーディングカンパニーと連携した新会社設立やカーブアウトベンチャー、および彼らのアセットを有効活用するベンチャーへの投資を通じ、新たな分野におけるオープンイノベーションの成功事例創出を目指します。

    東大IPCは、今後も東京大学周辺のイノベーション・エコシステムの発展およびそれを通じた世界のイノベーションを加速するため、ベンチャーキャピタルやオープンイノベーションを推進する企業との様々な連携を通じ、アカデミアの生み出す学術・研究成果を活用するベンチャーの創出、育成および投資を進めていきます。

    ■エアロセンス株式会社について

    ・概要       自律型無人航空機の開発、製造、販売とサービス提供

    ・自律型無人航空機によるセンシング等とクラウドによるデータ処理・管理。それらを組み合わせた建設、物流、点検・監視、農林水産、災害対応等の産業用分野におけるソリューション提供。

    ・設立   2015年8月

    ・所在地  東京都文京区小石川五丁目41番10号 住友不動産小石川ビル

    ・代表者  代表取締役社長 佐部 浩太郎

    ・URL      https://www.aerosense.co.jp

    ■東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東大IPC)について

    ・概要        東京大学周辺のイノベーション・エコシステムの発展を目指す投資事業会社

    ・設立   2016年1月

    ・株主   国立大学法人東京大学(100%)

    ・所在地  東京都文京区本郷7丁目3−1 東京大学南研究棟アントレプレナーラボ261

    ・代表者  代表取締役社長 大泉克彦

    ・URL      https://www.utokyo-ipc.co.jp/

    エアロセンスの発表
    東大IPCの拠点

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    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。