“バドワイザー”や“コロナ”で知られる世界最大の酒類メーカー、アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABI)がアジア市場で、ドローンを含めたテクノロジーを持つスタートアップの探索に乗り出している。スタートアップのエコシステム構築を手掛けるSLUSH TOKYO(東京)とゲームチエンジャースタジオEDGEofを運営する株式会社エッジ・オブ(東京)は7月12日、交流会「テックミートアップ」を非公開で開催し、ABIから関係部門の責任者やダイレクター、マネジャーら6人が参加した。ミートアップに参加した約20のスタートアップと幅広い領域の課題解決について意見交換した。
ミートアップでは、ABIグローバルダイレクターのアダム・スパンバーグ氏が趣旨を説明したあと、産業革命の歴史を4段階に整理。この中で、これまで機械化、大量生産化、電子化・IT化とたどってきた産業革命は現在、サイバー・フィジカル・システムの段階にあり、「デジタライゼーションが生き残りのカギを握る」と指摘した。そのうえで「デジタルを“する”ことをやめ、デジタルに“なる”にはどうしたらよいか」というテ-マを持っていること述べ、参加スタートアップに意見交換を促した。
参加したスタートアップには、SaaS型物流ソリューションを手がける会社、ソフトウェアの省力化、高速化を自動並列化プログラムで実現する会社、3次元地図作成AIを手掛ける会社などが顔をそろえた。
ABIが探索しているテクノロジーの領域は多岐にわたり、「エネルギーと持続可能性」では、設備効率向上、スマートなプロセス制御、コ・ジェネレーションとエネルギー貯蔵、再利用などが列挙されていた。また「在庫と輸送」では、在庫管理用ドローンやロボット、施設内自律走行車などを念頭に置いていることも示された。このほか、人材トレーニング用AR/VR/ウェアラブルソリューション、包装欠陥検出、生産設備の再配置などのテーマも示された。
ミートアップは参加各社が自社の紹介をしたのちにグループに分かれて意見を出し合い、その後再度集まって、出された意見を整理した。参加者の1人は「テクノロジーの領域と認識されてこなかった産業にこそ、テクノロジーの活用余地が大きい。テクノロジーに強みを持つスタートアップへの期待はこれからさらに高まる」と話していた。