ハイブリッドドローンの開発、製造を手掛ける株式会社エアロジーラボ(大阪府箕面市)が、マレーシアで同社の主力機、AeroRangeQuadの試験飛行に着手した。AeroRangeQuadは2時間の飛行が可能なマルチローター機でマレーシアでの国内の長時間飛行需要に対応する。マレーシアでの本格投入につながる可能性があるほか、10㎞以上飛行可能なフィールドでの試験の実施により、機体性能を理論値とともに試験結果で表示でき説得力を高めることが期待される。飛行試験はマレーシアに本社を構えるエアロダイングループ(Aerodyne Group)の日本法人、エアロダインジャパン株式会社(東京都渋谷区)と連携して実施している。25日に発表する見通しだ。
試験飛行はマレーシアのセランゴール州の州営テストフィールドで実施。主に目視外飛行試験、用途を想定したユースケース試験などが行われ、最大飛行距離や滞空時間を確認したり、離島間物流、海上輸送、プランテーション農園での精密農業利用などでの用途に使えるかどうかなどを確認したりする。すでに2時間以上の航続飛行を達成している。10キロ以上の試験飛行が可能なフィールドでの実験を通じ、理論値と実際の結果とを照らし合わせて判定することができる。
試験飛行の背景にはマレーシアの社会課題がある。マレーシアでは道路網の未整備が円滑な物流を妨げている実態が社会課題となっている。また主力産業のひとつ、プランテーション経営のDXについても国を挙げて取り組んでいる。エアロダイングループはドローンの活用で課題解決に取り組むため、バッテリードローンを上回る長距離飛行が可能なドローンの活用を検討している。エアロダインが長距離ドローンを探す中で、エアロジーラボのAeroRangeQuadにたどり着き、今回、飛行試験を実施することになった。
エアロジーラボは、ガソリンエンジンジェネレータを用いたハイブリッド型ドローンの開発で知られ、2020 年度にAeroRange PRO、AeroRangeQuadの2機種を開発、市場に投入した。6月には従来機に比べペイロードを 2.0kg 改善した最新型機体、AeroRange G4-Sもリリースし、長時間飛行のマルチローターUAV需要に対応している。
連携しているエアロダインジャパンは、マレーシアのスタートアップ、エアロダイングループの日本支社だ。エアロダイングループは、世界 40 カ国以上でドローンによるインフラ点検事業や農業支援事業などを展開していて、送電線、通信鉄塔、風力発電施設、太陽光発電施設の点検や、プランテーション農園でのリモートセンシングなどでも知られる。日本でも橋梁点検、測量などに力をいれている。
■エアロジーラボ:https://aerog-lab.com/
■エアロダインジャパン:https://aerodyne-japan.com/