株式会社Liberaware(リベラウェア)は2月4日、千葉市から受託した事業として、同市花見川区で直径約1メートルの下水管を、同社の狭隘部点検専門の小型ドローン「IBIS」を使って点検した。道路の下をくぐる約40メートルの区間をIBISが往復し、リアルタイムで管内の映像を地上のモニターに伝送。映像は千葉市建設局の専門家が立ち合い「ひびがよく見えますね」「粉塵でみえなくなることもないですね」などと状況を確認した。
点検は千葉市による地元企業の産業支援事業の一環。千葉市に本社を置くLiberawareが、点検専用に開発し、その後もアップデートを重ねているIBISが、点検の有用性を確認する目的で実施した。
点検対象の配管は、JR新検見川駅から北に約3キロの住宅街に設置された、通常は水が流れていない下水管。道路わきでは天井部がふさがっておらずのぞきこめるが、道路をくぐるところは地中に潜っている。この道路をくぐる約40メートルの区間が今回の点検対象だ。
千葉市建設局下水道管理部の西川勝課長は「配管の中でドローンを飛ばすと粉塵がまきあがって画像がみえなくなったり、気流が安定せずドローンの飛行が不安定になったり、電波が途切れたりすることがあります。今回は狭いところを点検するための特殊なドローンの事業者なので、その有用性を確認することができるための試験的にこの場所にしました」と選定理由を説明した。
点検に使われるIBISはLiberawareが開発した19センチ×18センチ、重さはバッテリーを含めて170グラムの小型機。壁や天井に吸いつくことがないよう、狭隘部点検のための制御を搭載している。無線周波数は操縦で2.4GHz、映像伝送で5.7GHz。点検では、配管内でも安定することができるよう延長アンテナを採用した。LEDライトを搭載し暗い場所を照らすことができる。
実験では、Liberaware技術開発部の野平幸佑シニアマネージャーが操縦を担当。モニターをのぞきこみながらフライトをさせると、地上に設置されたモニターにIBISに搭載されたカメラからの映像が送られてきた。その様子は西川課長ほか、点検に立ち会った千葉市建設局の担当者がのぞきこんだ。西川さんが「左を見れますか」というとIBISの画面が配管の左壁のひびらしい筋を映し出した。千葉市の西川課長は「ひびがはっきり、よく見えますね。粉塵がまってしまうこともないし、見えなくなることもないですね」と感心しながら話した。
西川さんによると、千葉市内には雨水、汚水などの下水管が3700キロあり、そのほかにも排水管などがある。下水管は内部からの点検は必要で、直径25センチから80センチの配管の場合は自走カメラを活用するなどして確認する。それ以上の中口径、大口径は人が入るのが基本だが、直径5メートルほどのものもあり、大きくなると、足場を設置する手間、転落のリスク、有毒ガス発生のリスクがある。効率化の要求の大きくなり、テクノロジーの活用に解決を見出そうとしている。ドローンの活用はその中で大きな期待を担う。
Liberawareの閔弘圭代表は「われわれが求められていることは、点検すべき個所があるかどうかを発見することであって、ドローンを飛ばすことではありません。最近われわれは、点群化など三次元化に力をいれています。重ね合わせて形状変更やひびの増減が分かるからです。キツい、きたない、狭い、暗い空間をデータ化するデジタルトランスフォーメーションで課題を解決していきます。今回の点検の意義も解決に有用かどうかを示すことあります」と意義を説明。
また「IBISは販売ではなくレンタルなので、改善要望は次のバージョンアップに生かせます。実際、常にバージョンアップしていて、7月には次のバージョンアップをします。天井裏の点検には主に特定天井の問題、リニューアルの問題、ゼネコン関連の問題と3種類の課題があり、それを解決したい」と課題解決への意欲を述べた。。
点検に立ち会った千葉市の西川課長は、「ドローンの点検は平成29年度の水路点検、30年度の点検に次いで3年目。下水道点検の課題である調査困難箇所の点検を克服できればいいと思っています」と話した。
株式会社SkyDrive(豊田市<愛知県>)は、山口県山口市で重ねてきたリハーサル飛行を収めた動画を公開した。
リハーサル飛行は、山口県山口市の「山口きらら博記念公園」内に設けた飛行試験場で春から行われていて、動画には大阪・関西万博のデモフライトに使われるSD-05が離陸し、移動し、向きを変えて飛行するなどの様子が納められている。
大阪・関西万博では7月31日から8月24日まで、火、水曜以外の原則週5日の予定で、来場者の前で飛行する様子を公開する。
建設設備大手の三機工業株式会社(東京)は7月11日、グループ会社、有限会社キャド・ケンドロ(仙台市)と共同で狭小空間ドローン開発の株式会社リベラウェア(Liberaware、千葉市)のドローンとレーザースキャナを併用した既存設備の3Dモデル化するデジタル化手法を確立したと発表した。Liberawareも同日、三機工業に「IBIS2」を「導入した」と発表した。
三機工業は設備更新や模様替えなどのさいに、現場を3Dモデリングし、現状を把握してから取り組む。完成後の更新や追加工事で現状が図面通りになっていないことが多く、作業の妨げになるおそれがあるためだ。しかし天井裏などでダクトや配管が込み入っている場合に、すべての設備にはレーザーが届き切らずに十分な3Dモデルができあがらない場合がある。こうした課題を乗り越える手法の開発を進めているところ、今回、ドローンとレーザースキャナを併用してデジタル化する手法を開発した。
同社が実施した実用化検証では、IBIS2とレーザースキャナを併用した場合、従来の3Dスキャン手法と比べ、機械室などの天井の無い空間の場合、認識できた建築部材が約135%、天井の一部が解体された天井裏空間で約400%向上したという。
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丸紅株式会社(東京)は7月8日、大阪・関西万博でデモフライトを披露する計画を公表している英ヴァーティカルエアロスペース社(Vertical Aerospace Group Ltd.)開発の5人乗りAAM「VX4」について実施を「見送る」と発表した。英国で行われているVX4試験機での有人飛行試験で判断したという。
丸紅は発表の中で「現在英国で行われているVertical社製VX4試験機による有人飛行試験の進捗状況から、大阪・関西万博でのデモフライトへの対応を見送ることとなりました」と伝えた。VX4のキャビンを再現したモデル空間は予定通り万博会場に出展し、8月から搭乗体験を実施する予定という。
また丸紅が万博で飛ばすもうひとつの機体、米LIFT AIRCRAFT社(以下、「LIFT社」)製の1人乗り機「HEXA」については、デモフライトを近く再開させる方向で調整中だ。HEXAは4月26日のデモフライト中に部品が落下したためデモフライトを中断して原因究明を続けている。
その結果「モーター搭載箇所の部品について、サプライヤーが仕様と異なる素材の部品を誤って供給していたことが判明」したと説明し、「当該部品の交換およびその他重要部品の再点検を完了した上で、再発防止策として、LIFT社において部品の受領・品質管理について包括的な監査を実施し、必要な工程について改善したことを確認しました。関係機関の許可を以て、今後大阪・関西万博でテストフライトを実施し、十分に最終確認を行った後、安全を最優先として関係機関および関係各社と協議・判断し、デモフライトの再開に関しては改めてお知らせいたします」と伝えている。
丸紅は大阪・関西万博でのAAM運航事業者4グループのひとつだ。
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英ロックバンド、オアシスの再結成後初のコンサート会場となるウェールズの首都カーディフのプリンシパリティ・スタジアムで現地時間7月2日、ドローンで形作られた「OASIS」のロゴが浮かび上がった。ツアーは7月4日に始まり、11月まで世界各国をまわる。ツアー初日を翌々日に控えたドローンの演出はオアシスの公式アカウントで公開されている。
ドローンのロゴは公演開始前に上空に描かれ、オアシスの再結成ツアー開催を祝福し、喜ぶファンの気分の高揚に貢献した。
オアシスは1991年にマンチェスターで結成され、7000万枚以上のアルバムを売ったロックバンドだ。2009年に解散したが昨年2024年に再結成した。再結成後初のコンサートツアーが7月4日にはじまり、北米、南米、オーストラリア、韓国など各地をまわる。2025年は11月23日のサンパウロ公演で幕を閉じる予定だ。日本公演も10月に予定されている。チケットはいったん予定枚数の販売を完了したが、機材席の解放による追加販売が決定し、7月12日正午に抽選の受付を開始する予定だという。
音楽シーンとドローンとは、MV撮影、ライブ映像撮影、演出としての屋内ドローンショーなどの例があるなど縁があり、今後も活用の幅が広がる可能性がある。
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AAM開発の米ジョビー・アビエーションは6月30日、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイでパイロットが搭乗し、垂直離着陸の固定翼飛行を実施した。ジョビーは「2026年に最初の乗客を運ぶ」と2026年のサービス開始を目指している。ジョビーは開催中の大阪関西万博で「運航事業者」にもなっている。
ジョビーによるドバイでの飛行は、「piloted, vertical-takeoff-and-landing wingborne flights」で、パイロットが乗り、垂直離着陸をしたうえで、機体の固定翼で移動した飛行で、「eVTOL分野では初めての取り組み」としている。ジョビーはこの飛行を通じて、ドバイ地域での商用市場準備の取り組みを開始したことも明らかにした。ジョビーは直接運航、航空機販売、地域パートナーシップを商業化戦略の3本柱と位置付けていて、今回の試験飛行が「重要な一歩」と話している。
試験飛行はドバイ道路交通局、ドバイ民間航空局、UAE民間航空総局と連携して実施された。またドバイ道路交通局長官兼理事会会長のマタール・アル・タイヤー会長が立ち会った。
ジョビーは、ドバイ国際空港(DXB)、ペルシア湾の人工島であるパーム・ジュメイラ、現在建設が進められている世界第2の面積の人工のマリーナであるドバイ・マリーナ、超高層ビルブルジュハリファで知られるドバイ・ダウンタウンでの商業サービス導入を目指している。バーティポートはすでに建設が進められている。
ジョビーはDXBからパーム・ジュメイラまでをエアタクシーサービスで移動した場合、移動時間は12分で、45分かかる車での移動時間が大幅に短縮されると見込んでいる。
ジョビーがエアタクシーサービスで使う機体は電動で、パイロット1人と最大4人の乗客を乗せ、最高時速200マイル(約320km)で輸送できる設計と説明していて、ジョビーは「短時間の通勤、小旅行、地域間のシームレスな移動のために、より速く、より静かで、より便利な空の旅を提供します」と話している。
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東京株式市場グロース市場で7月2日、ACSL株がストップ安となった。午前9時29分にいったん1187円で寄り付いたがその後も売りが殺到し、再び取引の成立したない売り気配で推移した。ACSLは前日の7月1日、前CEOによる不適切取引判明を発表していて嫌気を誘ったとみられる。
ACSL株は取引き開始前から売り注文を集めていて、取引開始がはじまったしばらく値が付かないまま推移した。午前9時29分に値幅制限いっぱいいの、前日終値比300円安のストップ安となる1187円で取引が成立したが、その後も売りは止まらず、再び取引が成立しない展開が続いた。
ACSLが7月1日に発表した「お知らせ」はこちら