航空宇宙大手のエアバス(Airbus SE)は、AAM開発を2025年までで中断する。同社は現在、AAMの「シティエアバス・ネクストジェン」のプロトタイプを開発中だが、開発を主導するエアバス・ヘリコプターズのブルーノ・エヴェンCEOが2024年の業績に関するメディア向け説明の中で中断方針を明かした。プレスリリースや文書は公表していないが、DroneTribuneの取材にエヴェンCEOの発言が同社の正式な見解であることを認めた。エヴェンCEOは開発中断の理由をバッテリーの技術開発が追いついていないためであることを伝えていて、開発の再開にあたる次のプログラムの策定時期は「近い将来ではない」と説明している。
エアバスが開発している機体はシティエアバス・ネクストジェン(CityAirbus NextGen)のプロトタイプで、全電動(all-electric)の4シーターeVTOL。8つのローターと固定翼で飛ぶリフト・アンド・クルーズ型で、80kmの距離を航続飛行でき、時速120kmで巡航する設計だ。パイロットが搭乗しない自動操縦機を目指している。体として開発が進められている。2024年初頭に一般公開し、同年11月に開発プログラムの一環として試験飛行に着手し、現在も試験中だ。
エヴェンCEOは1月27日のメディアを前にした説明の中で、現在の開発プログラムをレビューした結果として、「バッテリー技術は、就航に必要な最低レベルの性能を満たすにはまだ進化していないという結論に達した」と述べた。
同社は10年ほど前からAAM開発に取り組んでおり、主に4人乗りのシティエアバス、1人乗りのeVTOL型AAM、エアバスヴァハナ(Airbus Vahana)の開発を通じて知見を蓄積してきた。商用や社会実装の段階に入るためには新たな開発プログラムを策定し進めることが必要になるが、エヴァンCEOは、「新しいプログラムの立ち上げは、多くの要因、ビジネスモデルの成熟度、技術の成熟度に左右される」と述べたうえ、プログラムを進めるのに十分なバッテリー技術の進化の時期を問われ「近い将来ではない」と答えた。
シティエアバス・ネクストジェンは2025年まで飛行を続ける予定だ。なお現在開発に関わっている開発陣、研究者、スタッフらの処遇について、「現時点では言及することがない」と話している。