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  • 2026.3.2

    「JUIDA新年の集い」東京會舘で開催 総選挙公示日と重なり政治家の姿なし

    account_circle村山 繁
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    一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は、会員やドローンの関係者が新年のあいさつを交わす「JUIDA新年の集い2026」を1月27日、東京・丸の内の社交施設、東京會舘で開催した。当日が第51回衆議院選挙の公示と重なり政治家の姿はなかった。省庁からのあいさつでは、経済産業省が日本のドローン産業基盤整備に力を入れる姿勢を強調するなど、ドローンの役割が高まっていることを印象付けた。なお鈴木真二理事長はあいさつの中で新年のスローガンを「天馬行空」と掲げ、初めて「〇〇元年」以外の表現を使った。

    経産省「ドローンの産業基盤整備を

    新年の集いは東京會舘7階ロイヤルの間に多くの関係者が集まるなどにぎやかにあいさつをかわした。総選挙の公示と重なったため政治家の姿はなく、ドローンの促進活動に力を入れる「無人航空機普及・利用促進議員連盟」所属の国会議員らによるメッセージ供呈や秘書の代理出席に留まった。司会が代読したメッセージには「丙午は新たな挑戦が芽吹く1年。本年が飛躍の年となることを願っています」「次世代移動体産業の発展に尽力されているJUIDAのみなさまに敬意を表し、活躍に期待しています」など期待の言葉が並んだ。

     関係省庁の各省からのあいさつでは、内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(災害緊急事態対処担当)の小林弘史(ひろふみ)氏が、災害対策にとってのドローンの重要性について触れた。

     「昨年12月の青森の地震、11月の大分の火災、8月の雨に伴う災害などでの対応でドローンという言葉を聞かないことがないほどになりました。災害が激甚化する中、内閣府防災として2026年度から『鳥の目プロジェクト』を開始しようと考えていて新年度予算案にも所要の額を計上しています。災害対応の高度化で一人でも多くの命を救いたいと思っています」

     総務省総合通信基盤局電波部移動通信課長の五十嵐大和(ひろかず)氏は、電波利用への検討への協力を呼び掛けた。

     「無人航空機は成長戦略の中でも大変重要な位置を占めています。昨年5G、5.2GHz帯の上空利用について制度化が行われました。5.8GHz帯についても使用可能地域の拡大の検討を進めています。有限な資源である電波をいかに有効に活用するかについて、今後もみなさまと連携しながら検討して参りたいと考えています」

     日本のドローン産業の産業基盤強化についての取り組みを紹介したのは、経産省製造産業局航空機武器産業課次世代空モビリティ政策室長の古市茂氏だ。

     「私は困ったときには鈴木代表理事に相談しています。昨年は検討会の座長もお務め頂き、成長戦略のワーキンググループの委員も務めて頂いています。ドローンが幅広い分野で貢献していることに感謝したうえで、経済産業の観点からみると、どう産業基盤を構築していくのか、産業としてどう発展させるのか、社会実装をどう進めるのか、ここが重要だと思っています。JUIDAは地方と連携協定を結んだり展示会を実施したり貢献は大きく感謝します。展示会は来場者が2万人を超えるということですが、これはなかなかの規模。これからも支援させて頂きたい」

     「経産省の取組として、昨年の補正予算でドローンの産業基盤強化について、139億円の手当をしました。同じタイミングで経済安保物資にドローンを指定することもできました。(ドローンは)今日の日本の国民、経済になくてはならないものになっています。成長産業分野では高市内閣のもと、17分野が指定され、その中の航空宇宙のひとつが、民間航空機・無人機・空飛ぶクルマで、無人機も成長産業分野です。第1回のWGも開催され、成長戦略をまとめる中で、日本の成長産業分野に育てていけるよう、発展していただけるよう、経産省としても貢献していきたいと考えております」

    国交省「UTM段階的導入を」

     国土交通省航空局安全部無人航空機安全課長の江口真氏は、いわゆるUTM導入に関する取り組みを紹介した。

     「昨年の2025年は航空法で無人航空機を定義してから10年の節目の年でした。2023年12月に創設したレベル3.5については約140の事業者、団体のみなさまにご活用頂いています。航空局としては技術革新に遅れないよう迅速、不断に制度を見直し、安全を確保しつつ利活用促進の環境整備を進めたいと考えています」

     「ドローンの事業化促進のため、効率化のために多数機同時運航の取組を進めています。従来は操縦者1人が5機までのガイドラインを策定していますが、対象範囲や機数を拡大して効率化につながる検討を進めていきたい。今後さらにドローンが増え空域が混雑する中、高密度運航を実現するため運航管理、いわゆるUTMの段階的導入も進めたい。今年度はSTEP2の初期として、UTMサービス事業者認定制度の要件を整備し、段階的に導入を進めたい」

     会場を親しみのある話し方で沸かせたのは防衛省陸上自衛隊東部方面総監部幕僚副長の竹内哲也氏(様制服)だ。

      「(省庁あいさつの)トリをつとめさせていただき誠に光栄です。本来、上司の東部方面総監が来場予定だったが所要のため私が参りました。選挙もはじまっていますので『失言だけはするなよ』と言われていますので慎重に話したい」

      「われわれは非常にお世話になっています。原則として協定に基づいて災害現場にドローンを派遣して頂いています。しかも無償です。先般は山梨県上野原市、大月市の火事も熱源を見つけて頂いて、自衛隊のヘリが消火する活動を支援して頂いております。災害に加え、海外の情勢も不安定になってきています。われわれは安全保障についてよく、『戦後最大の試練の年』、『新たな危機に突入していく』などと表現しています。不安をあおるつもりはありませんが、実際に防衛費も増額されています。とはいえ、ドローンは(有事と平時のいずれでも活用する)デュアルユースの時代です。軍事装備とはどこまでか、という線引きはほとんどありません。みなさんのお力をお貸しいただき、我が国の平和を守らせて頂きたいと思っています。これまでもいろいろなご協力を頂いております。また今年、今後もみなさまの協力で防衛力の抜本的な強化を図っていきたいと思っております。失言はなかったと思っております」

    大月山火事対策もテーマに 会場に猪谷千春氏の姿

    このあと、JUIDAが山梨県上野原市、大月市にまたがる火災現場でのドローンを用いた消火支援活動を報告。会員企業である、富士山ドローンベース、ブルーイノベーション株式会社、株式会社Prodroneの奮闘ぶりを紹介した。

    JUIDAの公式サイトでは、火災発生からのJUIDAの対応を日々紹介しているほか、富士山ドローンベースの活動ブルーイノベーションの活動は個別に取り上げている。

     また会場には、JUIDAの顧問に就任した国際オリンピック委員会(IOC)副会長(現在は名誉委員)で、1956年のイタリアのコルティナ・ダンペッツォ五輪アルペンスキー回転競技で銀メダルを獲得し日本人初の冬季オリンピックメダリストとなった猪谷千春氏の姿もあった。

    JUIDA顧問として会場に姿を見せた猪谷千春氏
    内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(災害緊急事態対処担当)の小林弘史氏
    総務省総合通信基盤局電波部移動通信課長五十嵐 大和氏
    経済産業省製造産業局航空機武器産業課次世代空モビリティ政策室長、古市茂氏
    国土交通省航空局安全部無人航空機安全課長の江口真氏
    防衛省陸上自衛隊東部方面総監部幕僚副長の竹内哲也氏
    大月山火事についての講演資料
    「乾杯」の時間
    今年のスローガンは天馬行空
    会場は東京會館のロイヤル
    あいさつする鈴木真二代表理事

    AUTHER

    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。