福島ロボットテストフィールドが米施設と提携 スペクター・コンプレックスとドローン試験で相互補完

2019.12.11

 ドローンを含む陸海空のモビリティー開発に不可欠な先端技術の実験について、日米の大型テストフィールド同士の連携協定が実現した。日本の福島ロボットテストフィールド(福島県南相馬市、RTF)と、米アラスカ州セントポール島を中心とした広大な試験空域をもつスペクター・コンプレックス、(セントポール・エクスペリメンタル・テスト・レンジ・コンプレックス、Spectre Complex)は12月10日、実験環境の相互補完や情報交換で連携することに合意し、両者の代表が調印した。国境を越えた大型試験場同士の提携は世界で初めてで、今後、実装に必要な実験が日米で供給される。

鈴木真二所長「この提携で新しいドローンの時代を切り開く」

連携協定に調印した福島ロボットテストフィールドの鈴木真二所長とスペクター・コンプレックスのアーロン・レスコテンコフ氏

  連携協定の締結式にはRTFの鈴木真二所長や、RTFを管理・運営する福島イノベーション・コースト構想推進機構(FIPO)、福島県から代表者、関係者が出席。スペクター・コンプレックス側からは、施設を管理・運営するACSPI(アリュート・コミュニティ・オブ・セントポール島)部族政府のプロジェクト・マネージャー、ディラン・コンデュッツィ氏(Dylan Conduzzi)、訪日団の団長でACSPIのアイランドセンチネル、アーロン・レステンコフ氏(Aaron Lestenkof)、ACSPIと提携し大型物流ドローン開発に取り組んでいるセイバーウィング・エアクラフト社(Sabrewing Aircraft、カリフォルニア州)CEOのエド・デ・レイエス氏(Ed De Reyes)らが参加した。

  福島ロボットテストフィールドはドローンをはじめ陸海空のロボット開発に必要な高度な試験設備が集積する大規模試験設備で、専用滑走路、ドローン用通信塔、風洞棟、連続稼働耐久棟、試験用プラント、試験用橋梁、試験用トンネルなどを多くの高度な試験、実験を一か所で実施できる世界的にも例のない実験専用設備だ。

  すでにドローン、エアモビリティの関連企業による重要な実験に活用されていて、2020年8月20~22日には、経済産業省が主催するロボットの競技会と展示会「ワールド・ロボット・サミット」の舞台にもなる(10月8日~11日には愛知県国際展示場でも開催される)

  一方、米セントポール島のスペクター・コンプレックスは、同島を中心に半径200マイル(約321キロ)に及ぶ広大なテスト空域を持つほか、2000メートル級の滑走路、研究拠点、実験拠点を備えている。北極に近い立地のため雨、雪などの気候が厳しいが、日常的なこんなを技術的に解決しようとする取り組みが盛んで、多くの企業や研究拠点から開発した技術の実証実験場所として注目されている。

  調印式では、ACSPIと提携しているセイバーウィングのデ・レイエスCEOが「大型物流ドローンを開発する中で、試験ができる場所を探していました。2018年6月にはじめてRTFを見て、当時は建設の途中でしたが、その時点でこの施設に魅力を感じました。このころ同時にスペクター・コンプレックスとも話をしていて、機体の購入の契約を交わしたり、運用のための合弁会社の設立をしたりと関係を深めていました。そんな中で、RTFとスペクター・コンプレックスには補完関係にあることに気づきました。両方を使えることができれば、未来はとても明るくなる。そう考えていたので、きょうはその夢がかない、とてもうれしい思いです。今後、ビジネスも、研究も手を携えたいと考えています」と締結を喜んだ。

 
  スペクター・コンプレックスのディラン・コンデュッツィプロジェクト・マネージャーは「アリュート部族は伝統や文化を大切に、野球やバスケットボールが盛んです。この地域は北極に近く厳しい環境による困難を技術で解決しようとする高い意欲があります。調査研究には長年にわたる経験があり、ドローンも保有しています。デューク大など米国本土とパートナーを組んでいるほか、バイオテクノロジーの研究設備を持っています。このため今回のパートナーシップは、アラスカにとっても、われわれ部族にとっても、とても重要な意味を持っています」と説明した。

  福島RTFの鈴木真二所長も「2019年4月に開所し、海外から連携の問い合わせがあった。海外の経験を積んだ試験場との連携でノウハウを学びたいと思っています。新しいドローンの時代を切り開いうことになるのではないかと大変うれしく思っています」と述べた。

スペクター・コンプレックスには半径200マイルの実験空域がある
今回の提携の意義を語るセイバーウィング社のエド・デ・レイエスCEO
セントポール島の特徴を説明したディラン・コンデュッツィ氏(中央)
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