豊田通商は5月20日、ルワンダ、ガーナでドローンによる輸血用血液製剤配送事業を展開している米ジップライン・インターナショナルに出資し、業務提携をしたと発表した。豊田通商は社内ファンド「ネクストテクノロジーファンド」から資金を拠出。ジップラインが金融機関や投資事業者ではない会社から出資を受け入れるのは、豊田通商が初めてだ。豊田通商は今後、技術開発やオペレーション支援で協業していく。
発表によると、豊田通商は2018年6月にジップライン社が構築したシリーズCのラウンドに参加する形で出資した。出資額は明らかにしていない。
同じラウンドにはインパクト投資のライズ・ファンド(THE RISE FUND)、英ベイリー・ギフォード(Baillie Gifford)、数学者、デザイナーなどの専門家が組む投資チームGV、アーリーステージへの投資をするカタリスト・ベンチャーズ(Katalyst Ventures)、シンガポールの政府系投資会社テマセク・ホールディングス(Temasek)のほか、ブライト・サクセス・キャピタル(Bright Success Capital)、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)、オークハウス・パートナーズ(Oakhouse Partners)などが参加していて、調達額はラウンド合計で1億9000万ドル(約210億円)にのぼったとみられる。
ジップラインは、陸路のインフラが未整備な地域でのドローン配送に強みを持ち、2016年10月に、ルワンダでドローンを使った病院向けの輸血用血液製剤の物流事業を始めた。道路が未整備であるため、自動車で運送するよりも早く、確実であるとの認識が広まり、これまでに1万4千回以上のドローン配送を実施し、首都キガリ以外の陸路配送が難しいエリアでは、必要とされる血液製剤の65%以上の輸送をカバーしているといわれる。
2018年12月にはルワンダに新たな物流拠点を開設し、配送する対象をワクチン等の医薬品に拡充。2019年4月には、ガーナでもドローン物流事業を始めている。
豊田通商は、「ジップライン社と共同でグローバルなドローン物流事業を開発するとともに、自動車関連事業で培ったノウハウを生かし、ジップライン社の技術開発やオペレーション支援などの領域で、協業を推進」するという。
https://www.toyota-tsusho.com/press/detail/190520_004377.html