Dアカデミーアライアンスは5月30日、ZOOMセミナー「ドローン前提社会を見据えたドローンスクールのあるべき姿とその役割」を開催し、全国から約120人が参加した。基調講演に登壇した慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアムの南政樹副代表は「ドローン前提社会とは、いつでも、どこでも、誰でもドローンを利用できる社会」と説明。講演後はテーマにそったパネル討論会や質疑応答が行われた。セミナーは予定していた正午でいったん修了したが、熱の冷めない希望者は主催者が追加した「延長戦」に引き続き参加、さらに議論を深めた。
基調講演に登壇した南氏は、政府が提唱する「Society5.0」について、狩猟社会から農耕社会、工業社会、情報社会と変遷をたどった社会の変革の歴史の中で、次に到来するバージョンアップされた社会と解説。サイバー、フィジカルがテクノロジーで融合される社会で、「テクノロジーンの変革は社会にとって最大インフラで、ドローンもそのテクノロジーに位置付けられる」と説明した。またインフラである以上、エコシステムとして機能する必要があると述べた。
少子化、高齢化など山積みの難題との関連についても言及し、「日本は課題先進国。空や海を含む空間を使うことでこうした課題を解決する。テクノロジーにとっては課題を解決する機会でもある」と、ドローンや関連テクノロジーの出番であることを説明し、この日のセミナーの参加者をはじめとするドローン関係者の活躍に期待を寄せた。
南氏はさらに、慶應義塾大学がキャンパスを構える神奈川県が、ドローン前提社会の実現に向けて「かながわドローン前提社会ネットワーク」を起こし、多岐にわたるモデル事業を採択している状況を紹介。SFCでも2020年中に100機のドローンを異なる目的で統制する実験を実施する計画があることを披露した。
また、どんな取り組みも、社会に受け入れらなければ機能しないと念を押し、「社会受容性」の重要性を強調。社会受容を育むポイントとして、①思いやり②実例による啓発③充分な議論④ラフコンセンサスーの4点を列挙し、セミナーをしめくくった。参加者からはチャット上で「おもしろかった」「ためになった」「よくわかった」などのコメントが相次いだ。
基調講演のあとのパネルセッションでは、Dアカデミーアライアンスに加盟する各スクールが自己紹介や近況報告とともに、ドローン前提社会への期待、スクールの役割といったテーマにそった意見の表明が行われた。近況報告の中では多くのスクールが建設、農業などそれぞれの分野で第一線の活躍をしていることが報告された。参加者からの提案もあり、Dアカデミーアライアンスの依田健一代表は、スクールの特徴や取り組みを共有するためのプラットフォームの構築を検討する方針を表明した。
質疑の中では、2022年度の実現が視野に入る「レベル4」での飛行の検討状況や、それに伴う免許制度導入、ドローン産業の閉鎖性の打破策、水中ドローンの活用の可能性などについて活発な意見交換が展開された。予定の修了時間がきても熱が冷めず、主催者は追加で「延長戦」を開催することを表明、午後にはいっても活発な発言が相次いだ。