JUIDA鈴木理事長が講演で語った「開発に大切なもの」とは

2019.10.21

  一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の鈴木真二理事長は10月18日、次世代モビリティ技術展で「空の移動革命」について講演した。ドローンが誕生した経緯、飛行する仕組み、用途などに触れたあと、「空飛ぶクルマ」について「パーソナルモビリティが実現すると大変便利になると期待されている」と意義や背景を概観した。そのうえで空飛ぶクルマはいつ実現するのか、という未来について問いを立て、「そのために大切なもの」を示した。そこで伝えた「大切なもの」とは・・・

鈴木理事長が講演をはじめると来場者から一斉にスマホが向けられた

「空飛ぶ歴史は安全確保の歴史」

  鈴木理事長は講演の中で1930年代の軍事用の偵察機登場から現在に至るまでの約90年間の経緯や、回転翼のドローンが動く仕組み、実現に役立ったリチウムイオンバッテリ、Wi-Fi、センサの開発などをわかりやすく解説。たとえば、普及型のドローンの誕生を可能にした技術のひとつにリチウムイオンバッテリを取り上げ「空を飛ぶ機械にとっては、機体が軽いことはとても大切です。軽いバッテリが開発されたおかげでこうした機器が一般に売られるようになった経緯があります」などと述べた。

  また、「固定翼と異なり回転翼は常時、操縦していないとバランスを崩してしまいます。回転翼のドローンでそれを可能にしたのが、センサーの開発で、これで傾きが検知できるようになり、フィードバック制御で操作できるようになりました。おもちゃのドローンでも、実はフィードバック制御を備えていることになります」などと、いくつもの技術開発の集合でドローンが成り立っていることを解説した。

  現在検討が進んでいる、有人地帯での目視外飛行を実現させるためにこなさなければいけない課題も指摘し、「バッテリーの性能が向上する必要がありますし、ハイブリッドも検討されています」、「プロペラを可変ピッチにすることも開発されています」、「誘導制御技術では、GPSが届かないところがあるので、室内を自動で動かすためには新しい技術が必要で、ステレオカメラとかレーザースキャナとかが世界的に開発されているところです」、「空中で衝突する危険を回避するための技術も必要。望遠のステレオカメラで距離が測定できる技術を開発していたり、人工知能を使って、人やモノを検知する技術、地形情報を入手して着陸できる場所を自律的に探したりできる技術も、要素技術として開発しています」などと取り組みの現状を紹介した。

  話題を集めている「空飛ぶクルマ」についても世界各国での開発に取り組み状況を紹介したうえで、動力確保で技術開発が進められているハイブリッドでは「いくつかある方式のうちパラレルハイブリッドと呼ばれる技術だけがCO2の排出を減らせた、という実験がある」と紹介したり、「Uber社はeVTOLで時速150キロで飛ぶ構想を2016年に発表していて、実現すればロサンゼルス市内の渋滞を救えるとも言われていますが、今年の説明ではバッテリー開発が思うようには進んでいないようです」などと最新の状況を報告すると、来場者がいっせいにスマホをかざしたり、メモを取ったりしていた。

  「空飛ぶクルマ」の日本での実現については、官民協議会では2023年度に事業化を構想しているが、これについて鈴木理事長は「それが実現するかについて」と前置きをしたうえで、100年前に描かれた『2000年の空』という、空を人が飛び郵便物を配達しているイラストを紹介し「まだ実現していない」と述べ、未来の予測の難しさを指摘した。

  そのうえでドラッカーを引き合いに出して、「ドラッカーは、未来については2つのことしか分からないと指摘しています。ひとつは、未来は知りえないということ。もうひとつは、未来は今日予測するものとは違うということ」と紹介。続けて「ただし未来を知る方法も2つあるとも言っています。そのひとつは、自分で創ること、そしてもうひとつはすでにおこった帰結をみること」と指摘。「帰結をみること」については、「過去の出来事の因果関係は分析ができます」と解説を加えた。

  そして、「空の移動革命も、過去に起きたことをきちんと精査することが必要であろうと思います。空を飛ぶ、ということは、安全をいかに確保するかという歴史でした。事故の克服の歴史でした。事故の要因をちゃんと調べて、いまの安全が確保されているわけです。空飛ぶクルマの開発にも歴史を振り返ることが大切だと思います」と締めくくった。

講演するJUIDAの鈴木真二理事長
席が埋まった鈴木理事長の講演会場
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