DJIは、米国ロサンゼルスで開かれた年次カンファレンス「AirWorks 2019」で、精密農業や環境モニタリング調査向けの「P4 Multispectral」のほか、農薬散布機の「AgrasT16」、災害救助プログラムなどを新たに発表した。「P4 Multispectral」は、10月9日に千葉・幕張メッセで開幕する農業の総合展「 第9回農業WEEK」を構成する展示会「第6回 国際次世代農業EXPO」でお披露目される予定だ。
P4 Multispectralは、可視光とブルー、グリーン、レッド、レッドエッジ、近赤外線の帯域のマルチスペクトルカメラアレイを搭載。取得データを組み合わせて、作物や圃場の植生、健康状態や、雑草、害虫被害、土壌の状態などを測定する。太陽放射照度を捉えるスペクトル日照センサーを搭載し、異なる時間帯にデータを収集しても得られた結果の精度を高めることができる。
DJIは「農業ドローン市場は、2019年の12億ドルから、2024年までには48億ドル に成長すると予測され、P4 Multispectralを用いて、農業従事者は収穫量を改善し、コストを削減でき、環境の専門家は管理する土地の植生を簡単にモニタリングできるようにする新しいツールであり、業界の課題解決だけでなく、次世代の農業を担う製品でもあります」と説明している。
カンファレンスではP4 Multispectralのほかにも、企業、事業従事者、行政などが業務に活用することを念頭に置いて、同社が刷新した技術も発表した。 その中には、肥料や農薬などの液体を農作物、果樹園などに噴霧、散布する「Agras T16」、 山火事、ハリケーン、台風、洪水、竜巻、地震などの自然災害対応や復旧作業で、初動対応する警察や消防向けにDJIのドローン技術とサポートを迅速に提供するための災害対応プログラムもあった。
DJIのバイスプレジデント兼アメリカ地域担当マネージャーのMario Rebello氏は、「DJIは、昨年エンタープライズ向けドローン技術の提供に注力してきました。その結果、アメリカの最も洗練された企業や政府機関の一部は、ドローン技術を日常業務に安全かつ確実な方法で配備できるようになりました。今年は、実用的なドローンを農業従事者や農学者、土地管理者に紹介し、より効率的で環境に優しい方法を用いた土地管理の実現を目指しました。また、緊急対応にあたる要員が、業界最高のツールに確実にアクセスをできるようにして、自然災害時に迅速に対応し、命を救うために必要な支援を提供できるようにします」と話している。
またカンファレンスでは、DJI のパートナーやユーザーも活動を報告。FLIRがDJI Matrice 210 専用のマルチガス検出器「MUVE C360」を導入したことを報告したほか、MicrosoftもAzure IoT EdgeやAzure Cloudなどを活用し DJIドローンフリートの安全な運用を合理化する方法を展開したと説明した。このほか、Corteva Agriscience と DroneDeploy、ロサンゼルス消防局、American Petroleum Institute と Marathon Petroleumも事例を発表した。
さらに、マルチスペクトルカメラやLiDARセンサーといった独自のカスタムセンサーをカスタマイズできるDJI X-Port の導入、機体などに損傷が生じた場合の新型補償「Enterprise Shield Renew」を導入し、「Basic」と「Plus」のプランがあることを発表。「Enterprise Shield Plus Renew」では、購入1年以内の損傷、無制限の交換、無償修理サービスを提供する。