産業用小型ドローンの開発や運用を手掛ける株式会社 Liberaware(リベラウェア、千葉市)は、点検先の施設の中に一酸化炭素(CO)や硫化水素(H2S)などの有毒ガスがないかどうかを検知する機能を持つドローンの開発を始めたと発表した。7 月 24 日~26 日に東京ビッグサイトで開催される「メンテナンス・レジリエンス TOKYO プラントメンテンスショー2019」に出展し、開発中の製品を展示する。
「警報が鳴ったら退避する」を、もっと安全に、効率的に

開発するのは、床下など狭い空間の点検に用いる同社の産業用小型ドローンIBIS(アイビス)を有毒ガスが検知できるようにカスタマイズした機体。これを使うことで、検査員が設備に立ち入る前に、有害ガスの有無を確認できるようにする。
具体的には、ドローンが飛行中に撮影した映像をリアルタイムでモニターに表示するさいに、モニター画面に一酸化炭素や硫化水素の濃度を表示することができるようにしたり、ドローンが離陸してから着陸するまでの間の検知ガスの濃度の推移をログデータとして保存したりする。有毒ガスが発生、滞留する可能性のある場所に人が近づいたり、立ち入ったりすることなく、短時間で手軽に、点検個所が人の入れる環境かどうかを確認できれば、作業負担が大幅に軽減できる。2020年まで、プラントを保有する企業と使用感や性能評価を実施し、2021年に市場に投入することを目指す。
需要が見込めるのは、製鉄所や電力会社など点検が必要な設備の中に、有毒ガスが発生する可能性のある場所を持つ施設。現在は作業員が作業着やヘルメットに有毒ガスの検知器を装着して点検をしている。仮に検知器が警報を発したら作業員は急いで退避することになっている。手軽に、効率的に、安全に有毒ガスの検知ができることが、こうした設備を持つ関係者にとって大きな課題だ。リベラウェアは製鉄所や電力会社などとIBISを運用する中で、こうしたニーズが強いことを把握。新たに開発に着手することを決めた。
リベラウフェアのIBISは、狭小空間を安定して飛行することができる産業用小型ドローンだ。製造業や建設業を中心に、狭くて人が入いれない空間や粉 塵が多く発生する等の作業に不向きな環境下で作業員にかわって検用を担うドローンとして活用されている。開発に着手した有毒ガス検知機能を持つドローンも、IBIS をカスタマイズしたものになる。これまで配管や煙突、ボイラー等の内部の点検で使われる中で、点検需要のほかに、安全確保の需要も大きいことに着目した。
今後、開発と実証を重ねて、2021年をめどに展開を予定していて、リベラウェアがドローンの運用と測定を行う「点検サービスプラン」 と、製品を貸し出してプラント側が運用する「レンタル導入プラン」の2種類で提供する予定という。
【IBISの概要】
◇サイズ :190×180×50mm (プロペラガード込み)
◇重量 :170g(バッテリ込み)
◇飛行時間:最大 12 分間
◇装備類 :LED 照明、防塵用モーター、独自設計のプロペラ 他
【出展予定】
7月24日~26日に東京ビッグサイトで開催される「メンテナンス・レジリエンス TOKYO プラントメンテンスショー2019」に出展し、開発中の製品を展示する予定。

DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。