ロボット事業を手掛けるヒトロボ株式会社(仙台市)が、ドローンを使ってプログラミングを学ぶ「ドロミングラボ」の運営開始を表明した。「ドロミングラボ」は株式会社ORSO、ブルーイノベーション株式会社が開発し、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)が監修したジュニア世代向けの教育事業で、JUIDA認定スクールが提供する。ヒトロボがドロミングラボ提供スクールの第1号となる。
ヒトロボはJUIDA認定スクールとしてドローンスクールHito-Robo Academyを運営している。ジュニア向けの「ドロミングラボ」もその一環で運営される。講師をつとめる千葉亮一氏は、JUIDAが動画配信形式で開催した「認定スクールフェスタ」に、ORSO執行役員・IoT・ドローン事業本部ビジネスデベロップメントグループ長の坂本弘樹氏、ブルーイノベーション常務の那須隆志氏とともにトークセッションに登壇し、抱負や期待について語り合った。
トークセッションの中でブルーイノベーションの那須氏は、ドロミングラボがドローンのプログラミングによる自動飛行体験を通じて、論理的思考や想像力を育み、IT経験を積ませることを主眼に置いたカリキュラムであることを説明。「供給の少ないIT人材の育成に貢献したいと思っています。またIT社会に子供がついていけるか、ITに仕事が奪われるのではないか、と子供の将来に対する親御さんの不安を解消するようすすめたいと考えています」と述べた。
ヒトロボの千葉氏は、ドロミングラボ導入のきっかけについて、「認定スクールを運営しつつ、フットサル場なども運営していて、ドローンに興味をもつ方の多さを実感して導入を決めました。デジタル化への対応力を身に着けることにもなると考えています。子供たちの想像力を大切にしていきたいです」と抱負を述べた。
カリキュラムやアプリケーションの教材開発をしてきたORSOの坂本氏は、カリキュラムについて、利用者の成功体験をつくることに力を入れていると説明した。その中で坂本氏は「ORSOは以前から小中学生に体験授業をしてきました。その中で成功体験を得た子供たちが目を輝かせるし、大きく成長することが分かっています。このカリキュラムでもそこを大切にしています。どの成功に満足するかは持っている知識や能力によって異なりますので、シンプルにくみあげるモードもあれば、分岐命令や変数を使うバージョンなどを用意して、身に着けた力あわせられるようにしています」と工夫のポイントを解説した。
また、「ドローンをアプリで設定した通りにリモートで飛行させる体験をすることで、未来の産業に貢献できるのではないかという思いもあります」と、将来のIT人材の育成を視野に入れいていることも明かした。
対談の中では、教材の内容のデモンストレーションを披露。ORSOの坂本氏が四角くうずまきを書くように飛ばす、という課題を例に、工夫のしどころやおもしろさを紹介すると、ヒトロボの千葉氏も「この四角くうずをまくように飛ばす課題は、とても創造性豊かなプログラム。参加者はそれぞれのレベルで引き込まれます。力をつけてきたらその時点で新しい工夫のしどころもみつけられるので、楽しみながら知見や技術を身に着けることができると思います。ほかのプログラムもおもしろいのでぜひ参加してほしい」と訴えた。
ドロミングラボは2019年の秋に、ジュニア向けプログラムとして開発の方針が公表されていた。体制が整い、今回具体的に導入に踏み切ることになった。
子供向けプログラミング教室は全国で増えつつあり、ドローンスクール「ドローン・オペレーション・サービス・アライアンス(DOSA)」を運営する株式会社ダイヤサービス(千葉市)も、ドローンを使った子供向けプログラミング教室「StedRO」を運営し、独自に編集したテキストが好評だ。奈良女子大学付属中等教育学校(奈良市)では国語の授業の一環でプログラミングを指導する中でドローンを取り入れるなど、学校の教育現場にドローンを取り入れる動きが出始めている。