新型コロナウイルス感染で緊急事態宣言が出されている神戸市は4月30日、地域最大の繁華街、三宮でスピーカーを積んだアナウンスドローンを飛ばし、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ行動をとるよう、上空から周辺の市民や通行者に呼びかけた。運用したのはITインフラ事業を手掛ける日本コンピューターネット株式会社(NCN、大阪市北区)と拡声放送機器大手のTOA株式会社(神戸市)で、アナウンスドローンの運用では実績がある。この日も上空100mからの「不要不急の外出は控えましょう」などの呼びかけは、地上ではっきりと聞き取ることができ、声に気づいた通行者が見上げたり、撮影したり、聞き入ったりしていた。
ドローンは三宮(三ノ宮、神戸三宮)駅に直結する地域のランドマーク、神戸国際会館の屋上を離発着点としてフライトした。高さ約60mの屋上から垂直に40mほど上昇し、地上からは100mほどの高さで静止しスピーカーから呼びかけた。離発着場所の神戸国際会館は安全確保のため、作業時間中の立ち入りを制限した。
ドローンは、「緊急事態制限が出ています。助かる命を助けるため不要不急な外出は控えましょう。マスクをうけ話しましょう。食事のときには1メートル以上離れましょう。路上や公園での飲酒はやめましょう」などと女性の声で「神戸市からのお願い」を呼びかけた。
運用したNCNとTOAはドローンを活用した上空からの呼びかけで経験を積んでおり、今年2月にも三宮駅から徒歩10分の生田神社(神戸市中央区)境内にある生田神社会館の屋上を起点に、周辺繁華街に向けて「健康を守るための行動をお願いします」などと呼びかけている。
上空からスピーカーを使った呼びかけには、地上で聞き取れる音量や音質の調整に工夫と技術が必要だ。音量を上げても、雑音にしか聞こえなかったり、言葉として受け取れなかったりすることが多い。また送り届けるメッセージも、言葉の選択や、しっかり伝わる限度の長さ以内にするなど工夫が必要だ。神戸市は新型コロナ以前にも、防災訓練として上空から避難誘導をするためのドローンの活用を進めており、今回もドローンを広報活動の一環として活用した。
神戸市を含む兵庫県には4月24日、緊急事態宣言が出されており、翌25日から、飲食対策の徹底、人流抑制などが要請されている。神戸市はHPなど従来の広報活動に加え、広報車両、街頭ディスプレイなども使うなど呼びかけを強化しており、ドローンもその一環として用いられた。