次世代通信規格5Gとサイバーセキュリティー対策を講じたドローンの開発、導入などを促進する「特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律(5G・ドローン促進法)」が8月31日に施行された。要件を満たした「認定開発供給事業者」、「認定導入事業者」が、政府指定の金融機関から低利融資を受けられたり、租税特別措置法に基づき30%の特別償却を受けられるなど制度として普及促進の後押しを得られる。デジタルトランスフォーメーションやドローン前提社会の実現などに向けて追い風となりそうだ。
対象となる事業は、「情報通信の業務を一体的に行うように構成された無線設備、交換設備、関係プログラムの集合体」で、「3600メガヘルツを超え、無線局、特定基地局に割り当てられた電波を使って、大量の情報を、高速で送受信するなど高度な技術を活用した」もの。農業、林業、漁業、建設業、鉄鋼業、郵便、警備業といった事業に関連し、点検、測量、調査、営巣、監視、警備、輸送に使われるドローンのうち、風速8m毎秒の環境下で、飛行位置、姿勢、状態を制御できれば対象となることも明記された。
事業者が所定の計画を提出し経産相、または総務相から「認定開発供給事業者」「認定導入事業者」と認められた場合には、開発、供給、維持管理、導入などの促進のため、株式会社日本政策投資金融公庫、銀行、長期信用銀行、信用金庫などから支援を得られるほか、税制上の優遇を受けられる。
中小企業投資育成株式会社は、条件を満たす中小企業の株式、新株予約権、新株予約券付き社債の引き受けもできる。
政府は経済分野の安全保障を重視する姿勢を鮮明にしており、その一環で国内企業を後押しする方針で、関連法案が5月27日に参議院法会議で可決し、法案が法となったのち、6月3日に交付、8月31日に施行された。
一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の鈴木真二理事長も5月21日に参院経済産業委員会に参考人として出席し、セキュリティーの重要性について発言。この中で、5G・ドローン促進法案については、「セキュリティー対策が確実になることでドローンの利活用が進む」と期待を表明していた。