国交省航空局は飛行申請手続きの一部免除が受けられるスクールの情報を「ドローン情報基盤システムDIPS」上で更新した。航空局が要件を満たすことを確認した講習団体は2月1日時点で694となり、1月1日更新時から10件増え、2020年(令和2年)に入ってから48増となった。
講習団体を管理する「管理団体」は2020年1月1日時点より1団体増えて46団体となった。管理する講習団体の数で多い順番に並べると、首位は一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)で156件、2位が株式会社DJI JAPANで112件、3位が一般社団法人農林水産航空協会で111件、4位が一般社団法人ドローン撮影クリエイターズ協会(DPCA)で99件と、5位以下を大きく引き離している。
上位4団体が束ねる講習団体は計478件で、全体の68.87%を占めた。なお5位は一般社団法人無人航空機操縦士養成協会の29件、6位は一般社団法人ドローン操縦士協会(DPA)の26件、7位は一般社団法人日本ドローンビジネスサポート協会の24件だった。
なお、国交省は提供するライセンスごとに講習団体をカウントしている。同一事業主が、複数のライセンスを提供し、それぞれが認定されれば、それぞれが講習団体としてカウントされる。DroneTribuneでは、事業主数や社数と混同されることを回避するため、講習団体を「件」としてカウントしている。ひとつの事業主が、複数の講習団体を持つケースとしては、株式会社ビットモーターズジャパン(さいたま市など)が5つの講習団体をかけ持つ“5刀流”、株式会社スペースワンが4つの講習団体をかけ持つ“4刀流”として活躍している。
講習団体、管理団体は国交省がドローンスクールの乱立を背景に、2017年6月1日に要件を満たした団体の公表をスタートした。初公表時の管理団体は4、講習団体は43。JUIDA、DJI JAPAN、株式会社エンルート(E.R.T.S.)、一般社団法人ドローン操縦士協会(DPA)の4団体。講習団体は43件で、当時とくらべ、管理団体は11.5倍、講習団体は16.1倍に拡大している。
管理団体・講習団体がダウンロードできるサイトはこちら。
京都、大阪、奈良の京阪奈地域でドローンの普及を目指す有志団体「京阪奈ドローンプロジェクト実行委員会」(事務局・奈良市)は5月24日、奈良県庁で会見し、プロジェクトの具体的な活動の第一弾として「第一回京阪奈ドローンフォーラム」を7月22日に、奈良市の大型ホール、奈良県コンベンションセンターで開催すると発表した。ドローンや空飛ぶクルマの実装をめぐっては、大阪を中心に関西圏で催事、事業、実証実験など利用拡大や社会実装に向けた取組が急増している。奈良でも大型フォーラムが開催されることで、関西圏でのドローン実装論議に足並みをそろえることになり、活躍が展望される大阪・関西万博の機運醸成も進みそうだ。
京阪奈ドローンフォーラムはドローンや空飛ぶクルマ、エアモビリティに詳しい有識者の講演やパネルディスカッションと、技術、機体、取組の展示などで構成する。実行委員会の増尾朗実行委員長(マスオグループ代表)は「ドローンや空飛ぶクルマは、大阪・関西万博が開催される2025年をマイルストーンとして本格的な展開が期待されています。私たちもこのフォーラムをキックオフとして、万博開催の時期をめどに、京阪奈エリアでのドローン前提社会、デジタル田園都市の構築に向けて、意識の醸成と社会実装の進展を目指します」と抱負を述べた。
フォーラムの後援には5月24日現在、奈良県、奈良市のほか、一般社団法人奈良県ビジターズビューロー、公益財団法人大阪産業局、一般社団法人DPCA(ドローン撮影クリエイターズ協会)、JR西日本イノベーションズなどが名を連ねている。今後さらに加わる見込みという。フォーラム後に展開するプロジェクトを通じ、京阪奈エリアでのドローン産業の振興や社会課題解決を目指す。
フォーラムの講演には内閣官房の小熊弘明参事官、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の鈴木真二理事長、慶應義塾大学の古谷知之教授(SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム代表)、空撮を通じた地方創生事業を展開する株式会社ドローンエモーションの田口厚代表取締役、ドローンを含め幅広い技術を活用するスマート物流で牛丼やラーメンを運ぶ実証で知られる株式会社エアロネクストの田路圭輔CEOらが登壇する。「いまのドローン、空飛ぶクルマの流れをリードする“主役級”」(実行委員)の顔ぶれだ。
展示では、VTOL機や有線給電型回転翼機をはじめとする国産ドローン開発を手がけるエアロセンス株式会社(東京)、AIドローン開発の米Skydioと提携し運用や認定講習を手がけるほか、ドローンの飛行、撮影、データ解析、レポート作成をWEB上で一元管理するクラウドサービス「docomo sky」を展開する株式会社NTTドコモ、ドローン研究に力を入れる慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアムがブースを構える。
このほか、スイスsenseFly社の固定翼機eBeeシリーズを運用するジオサーフ株式会社(東京)、おコメ、ワイン用ブドウなど農業のスマート化を推進するドローン・ジャパン株式会社(東京)、壁面にピタっと吸着して作業を助けるドローンなど用途に適した産業用ドローンを製造する菱田技研工業株式会社(大阪府堺市)、業務用ドローンの研究開発や製造を手掛ける株式会社D-wings(大阪府再開し)、陸海空のドローン制御技術開発を手掛けるDig-it works(ディジットワークス)株式会社(千葉市)などが機体、技術、取組を持ち寄るなど、あわせて20件のブースが出展される見込みだ。中にはこのフォーラムで新型機を披露することを計画している事業者もある。
フォーラムが開催される7月22日は、万博開幕1000日前の7月18日に近いことから、事務局は万博機運を京阪奈エリアでの醸成も意識していると説明。空飛ぶクルマ、エアモビリティの社会受容性の浸透を通じ、「2025年には奈良をはじめ京阪奈でドローン前提社会といえるような実装が進んでいる」(増尾実行委員長)ような未来を展望している。
増尾委員長は会見で「ドローンや空飛ぶクルマ、エアモビリィには限りない可能性があります。観光にも物流にも人の輸送にも密接にかかわりますし、機体だけでなく周辺技術であるITやAIの普及、DXの促進ももたらします。地域を形作る行政、価値を生み出す企業、未来を切り開く学生など多くの層にフォーラムにお越し頂き、プロジェクトを盛り上げて頂きたいと思っております」と述べた。
主催する京阪奈ドローンプロジェクト実行委員会は、増尾実行委員長が代表を務めるマスオグループのほか地元企業、アクセラレーターら有志が集う。この日の会見には、増尾氏のほか、足立靖氏、石見亜紀子氏、中島秀豊氏が同席した。
ドローンや空飛ぶクルマ、エアモビリティをめぐっては、万博をきっかけに導入機運が高まる大阪を中心に、関西圏は周辺エリアで実装に向けた活動が広がっている。兵庫県では地元発祥の兼松株式会社などと連携し「HYOGO 空飛ぶクルマ研究室」を創設した。9月1日には内閣官房小型無人機等対策推進室と兵庫県とが主催する普及促進イベント「第一回ドローンサミット」を神戸市で開催する。空飛ぶクルマ開発で注目度が高まる株式会社SkyDriveは大阪府、大阪市とすでに連携しているが、近鉄グループホールディングス株式会社(大阪市)が出資を決めるなど活躍の舞台を広げている。近鉄沿線の観光都市、三重県の伊勢・志摩での運用も視野に入る。同様に南海電気鉄道株式会社もSkyDriveとの連携協定を締結し、和歌山県を含む南海沿線での空飛ぶクルマの運用を目指す。奈良でのフォーラム開催はドローンや空飛ぶクルマ、エアモビリティの関西圏での機運の底上げにつながることになる。
■催事:第一回京阪奈ドローンフォーラム
■日時:7月22日(金)、12:00~17:00(講演:13:00~16:00予定)
■内容:講演、パネルティスカッション、展示
■参加:無料
■申し込み:公式サイトの申し込みフォームから
ドローンを活用した障害者向けサービスの研究開発などを行う株式会社シアン(東京都千代田区)と、障害者向けのPC入力支援技術開発を手がけるテクノツール株式会社(東京都稲城市)は、目の動きによる入力をドローン操作に応用する視線入力技術を開発し、5月19日、サイエンスパーク「湘南ヘルスイノベーションパーク」(湘南アイパーク、神奈川県藤沢市)で、筋ジストロフィー患者で身体機能に大きな制限を抱える梶山紘平さんが、この技術を使って視線入力でドローンを飛行する様子を公開した。ドローンは梶山さんが視線を動かして入力した通りに飛行し、障害者によるドローンの操縦の可能性を実証した。梶山さんは操縦後、「自分にとってこれは脱寝たきりプロジェクト」と述べた。2024年の実用化を目指し、今後も開発を進める。
実演は、テクノツール、シアン、梶山氏の3者が進める「ドローンアクセシビリティプロジェクト」の一環。重度肢体不自由者がドローンの操作による業務参加を目指す取り組みで、昨年(2021年)10月以降、技術開発を進めてきた。
この日使われたシステムは、PC、モニター、タブレット、カメラなど既存技術に入力のソフトウェアを組み合わせてある。モニター画面に、「上昇」「前進」などが明示されたコkマンドパネルが配置されていて、操縦者は希望するコマンドの記されたパネルに視線を送ると、システムが視線を検知し、検知した動作がドローンに伝わる。
実演では梶山さんが電動車イスに乗った状態でPC、モニター、タブレット、カメラなどを組み合わせた入力システムの前に待機。梶山さんの場所から50mほど離れた場所に、テザー(ドローンスパイダー)につながれたPhantom4pro V2.0が置かれた。梶山さんが入力システムのコマンドに視線を送ると、ドローンは梶山さんの指示通りに上空10mまで上昇し、その後前後、左右、回転の動きを見せた。
実演終了後、梶山さんは今回のデモンストレーションについて「ゲームに夢中になっているうちに、ドローンも操作できるのではないか、と思い立ち(テクノツールの)島田さんに話をしたことがきっかけです。このプロジェクトを多くの人に知ってもらう機会が作れてよかったと思います。傍から見ればぼくは寝たきりで、何もできないと思われがちですが、テクノロジーと技術を提供する方がいれば、寝たきりとは言えなくなります。ぼくとしては寝たきりであることより、どんなテクノロジーを使っているのかが注目される社会になってほしいと思っています。ぼく個人にとってこれは脱・寝たきりプロジェクトだと思っています」とコメントした。また視線入力について「目が乾燥して、開け続けるのが大変でした」と指摘した。今後、ドローンなどの入力技術が発達した場合にしてみたいこととしては、「人間の視線を感じてみたいです。自分は歩いたことがないので、歩く視線を知りません。たとえば歩行ロボットを動かしてみたいということがあります」と話した。
ドローン運用の面から技術開発に関わってきたシアンの岩井隆浩代表取締役CEOは「産業利用までの道はまだ遠いですが、墜落することもなく飛行ができたことは大きな意味があったと思っています」と感想を述べた。同社の社会貢献担当でこの日も飛行をサポートした、中野政勝さんは「今回の実証で梶山さんはプロペラの起動、離陸、前後、左右、回転など基本の動作はすべてクリアすることができました。その意味では大成功だと思います」と述べた。
視線入力技術の開発について、テクノツールの島田真太郎代表取締役は「プロポでの入力に対応するドローンの挙動を、どのように視線入力のソフトウェアに落とし込むかが難しかった。現在も改善し続けている状態です。さらに入力の多様性もキーになると思っていますし、拡張性や汎用性も大事になってきます」と述べた。入力技術の開発に中心的に関わったテクノツールソフト開発部の本間一秀さんは、「プロポ操作の微調整を視線入力に反映させることが今後の課題です」と抱負を述べた。
「ドローンアクセシビリティプロジェクト」は今後も、身体機能に大きな制限を抱える人々の楽しみや就労機会の創出を目指す取り組みを続ける方針だ。梶山さんも視線入力のスキルを使い就労することを目指す。
業務の自動化やDXを支援する株式会社センシンロボティクス(東京都渋谷区)は、5月11日、東海地域などで配電事業を手掛ける中部電力パワーグリッド株式会社(愛知県名古屋市)と共同で送電線(架空地線・電力線)を自動追尾する送電設備自動点検技術を開発したと発表した。ドローンに標準搭載しているカメラで送電線を自動検知でき、ドローン本体に追尾用のセンサーや小型PCなどを外付けすることもない。超高圧送電線路など大型設備の点検にも対応する。今後、ソフトウェアを開発したうえで、2022年度中の点検業務での実装を目指す。
開発した技術は両者が取り組んできた送電設備にかかわる業務の効率化に関する開発研究の成果で、送電線(架空地線・電力線)をドローンで自動追尾する。すでに飛行ルートや撮影アクションの自動生成技術を開発しており、新たな技術を追加することになった。市販されているドローン、カメラを使うことが特徴で、メーカーや機種を選ばずに運用できるという。
発表は以下の通り。
社会インフラ DX のリーディングカンパニーである株式会社センシンロボティクス(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:北村卓也、以下「センシンロボティクス」)は、中部電力パワーグリッド株式会社(本社:愛知県名古屋市、代表取締役 社長執行役員:清水隆一、以下「中部電力パワーグリッド」)と共同で、送電設備の業務効率化に関する開発研究を実施し、送電設備自動点検技術の大型鉄塔への適用拡大と送電線(架空地線・電力線)を自動追尾する送電設備自動点検技術を開発しました。本技術をもとにソフトウェアを開発し、中部電力パワーグリッドが保有する送電設備の点検業務で運用を図る予定です。
両社はこれまでにも飛行ルートおよび撮影アクションを自動生成し、ドローンを活用した送電設備自動点検に特化した技術を確立してまいりました。(https://www.sensyn-robotics.com/news/chuden-pg)。
このたび送電線(架空地線・電力線)自動追尾機能を追加したことで、自動点検飛行中の機体やカメラ操作が不要となり,ドローンに関する特別な知識を持たない作業員でもより簡単に送電線点検業務を実施することが可能になります。
この技術は、市場に流通している一般的なドローンを使用するため、これまで専用のセンサーを使用するなど実験的な側面が強かった自動飛行を実用レベルに押し上げるもので、送電設備の点検業務の効率化が期待されます。また、超高圧送電線路など大型設備の点検も対応可能になったため、より点検範囲が広がります。
【開発成果】
■大型送電設備(超高圧送電線路等)の自動点検飛行に対応
標準的な送電設備だけでなく、大型な送電設備(超高圧送電線路等)でも自動点検飛行が可能になりました。センシンロボティクスが保有する業務自動化プラットフォーム「SENSYN CORE」と、中部電力パワーグリッドの送電設備点検ノウハウを用いて共同開発した送電設備自動点検技術を組み合わせることで、鉄塔(支持物・がいし)と送電線(架空地線・電力線)を一括で自動点検します。また、単導体送電線だけではなく、多導体送電線も点検できるようになったため、より多くのシーンで送電線点検業務の効率化を実施することが可能になりました。
■送電線(架空地線・電力線)を自動検知し、高精細な映像を取得する技術を確立
送電線(架空地線・電力線)を、安全な離隔を保った上で精緻な点検を行うに足る解像度の画像を撮影するには、高度なドローン操縦・カメラ操作技術が必要とされてきました。両社はこれまでにも送電線(架空地線・電線)のたるみに沿った飛行ルートおよびカメラアクションを自動生成する技術を確立してまいりましたが、今回、送電線(架空地線・電力線)自動追尾機能を追加したことで、操縦者の技能に関わらず精度高く・安全に送電設備点検業務を行えるようになりました。特殊なセンサーなどを用いず、一般的に市販されている汎用的な機体・カメラを用いるため、メーカーや機種に依存しない、柔軟な運用が可能となります。
今後も継続的に研究開発を行い、AI や画像解析等の高度な技術を活用したドローン制御により、送電設備点検の更なる省力化・自動化を目指します。
自治体単位で、空飛ぶクルマ、ドローン、エアモビリティの取組が加速している。兵庫県は4月27日、兼松株式会社、中央復建コンサルタンツ株式会社、株式会社パソナグループ、株式会社BUZZPORTと連携要諦を結び、大学生、高校生が空飛ぶクルマの利活用を研究する「HYOGO 空飛ぶクルマ研究室」を創設すると発表した。バーチャル研究室を作り、学生研究員の取り組みを協定として支援し、空飛ぶクルマの産業振興、社会受容性の醸成、担い手となる人材育成を図る。発表会では兵庫県の齋藤元彦知事が、「2025年の大阪・関西万博を前に(空飛ぶクルマを実装する社会の)未来像を示したい」と話した。
発表会には、齋藤元彦知事のほか、協定に参加した兼松の城所僚一・上席執行役員車両・航空部門長、中央復建コンサルタンツの兼塚卓也・代表取締役社長、BUZZPORTの江藤誠晃代表取締役、パソナグループの山本絹子・取締役副社長執行役員が登壇した。公民連携による空飛ぶクルマ事業の第一弾で、今後も随時、事業を拡張する。協定の連携事項は①空飛ぶクルマによる地域創生に関すること、②空飛ぶクルマを活用した観光開発に関すること、③高校生・大学生の研究活動へのメンタリング、協同活動の実施に関すること、④空飛ぶクルマの社会実装に向けた受容性向上のための活動に関すること、⑤その他、空飛ぶクルマによる県民サービスの向上、地域の活性化に関すること、と紹介された。
「HYOGO 空飛ぶクルマ研究室」はバーチャルラボで、県内在住または県内の大学に通う大学生の選抜メンバーで構成する「空飛ぶクルマゼミ」を運営したり、全国の高校生を対象とした観光甲子園内「空飛ぶクルマ部門」を開催したりすることを構想している。
説明会では事務を担ってきた兵庫県企画部地域振興課の高橋健二・公民連携班長がこれまでの経緯を説明した。それによると兵庫県は昨年6月から空飛ぶクルマの連携事業の構想を開始。地元発祥の兼松、淡路島にオフィスを構えるパソナなど連携の枠組みを作り20回以上の協議を重ねてきた。大阪・関西万博を当面を目標に設定して空飛ぶクルマの実装に向けた協議を重ねている大阪府の「空の移動革命社会実装大阪ラウンドテーブル」にも参加して知見も獲得。その中で、地域創生、観光開発、受容性向上など兵庫県民の豊かな生活の実現に貢献することで合意し、具体策を練ってきたという。
実際、兵庫県では多自然地域と呼ぶ山間部で生活の利便性向上や不便、不安の解消にドローンを役立てる取り組みを進めるなど、ドローンの利活用には積極的だ。空飛ぶクルマは「パッセンジャードローン」とドローンの派生形ととらえられ、空域利用や遠隔・無人操縦などで議論が共通することも多く、兵庫県のように自治体でドローンや空飛ぶクルマの利活用を進める動きが広がりを見せている。
発表会で兼松の城所上席執行役員は「(空飛ぶクルマの離発着場となる)バーティポート開発を手掛ける英スカイポーツ社と業務資本提携を締結しており、神戸にルーツを持つ企業として地域に尽くしたい」と決意を述べた。パソナの山本副社長は「地方の企業にとって距離は不利益です。でも空飛ぶクルマの実装で、不利益は利益になるかもしれないと思いました。なにより若い方々のベンチャー精神に期待しています」と期待を寄せた。
齋藤元彦知事は「空飛ぶクルマの実装には、先んじて取り組むことが大事だと思っています。9月1日には県と内閣官房が主催するドローンサミットも開催されることになっていて、2025年の大阪・関西万博を前に(空飛ぶクルマを実装する社会の)未来像を示していきたいと思っています」と抱負を述べた。
人を乗せて飛ぶドローン“空飛ぶクルマ”の開発を手掛けるテトラ・アビエーション株式会社(東京)が、「マンガでわかる! 空飛ぶクルマ」を刊行した。小中学生向けに航空機の歴史や空飛ぶクルマの開発について紹介している。
マンガでは空の移動や航空機開発の歴史、空飛ぶクルマがもたらす利点、テトラの開発した機体、将来展望などを、小学校5年生のドローンが趣味の女の子と同級生の男の子を主人公にしたストーリーの中で解説している。ストーリーの中で主人公の2人がテトラの中井佑代表らを訪ね、空飛ぶクルマの実用化で渋滞解消や環境課題などの解消につながる説明を受ける。
マンガを刊行したテトラは100㎞を30分で移動する1人乗りのeVTOLなどの開発を進めており、購入予約も始めている。
テトラは「このマンガで理解が進み愛着が広がればうれしいと思っています」と話している。企画・制作は株式会社ポプラ社、編集協力は株式会社サイドランチ。B5判、オールカラー96ページで1100円(税別)
【オンライン販売】Amazon
【マンガ概要】 「マンガでわかる!空飛ぶクルマ」 発行日:2022年3月11日 判型:B5判/オールカラー/96ページ(表紙除く) 発行:テトラ・アビエーション株式会社 制作:株式会社ポプラ社 制作協力:株式会社サイドランチ
一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は4月25日、「ドローン官民協議会(=小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会)」がとりまとめた国家資格化に伴う制度変更の方針について、加盟する認定スクール向けに説明会を開いた。協議会の資料や、JUIDAが独自に整理した資料を示しながら、国家資格である「技能証明」を取得するメリットや、取得方法、JUIDA資格保持者の取り扱い、JUIDAのカリキュラムで捕捉が必要な部分などを説明した。国家資格の講習を提供する登録講習機関に転じるスクールの動きが加速しそうだ。
説明会ではJUIDAの鈴木真二理事長は4月20日のドローン官民協議会で制度変更の方針が示されたことや、引き続き検討すべき点が残っていることなどを説明し「みなさまにも引き続きご協力をお願いします」と参加したスクール関係者に呼びかけた。
また国土交通省航空局安全部無人航空機安全課の梅澤大輔課長が登壇し、制度の概要を説明した。国家資格は「技能証明」と呼び、レベル4飛行に必用となる「一等」と、それ以外の「二等」とがあり、取得には認定を受けた試験機関で学科試験、実地試験を受けて合格することが必要であること、ただし登録を受けた講習機関の講習を受ければ試験機関で実地試験が免除されることなどが説明された。
梅澤課長は「より多くの講習団体が登録講習機関となって質の高い講習を提供頂き、よい操縦士を輩出して頂きたいと思っています」と期待した。
このほか、機体認証、ライセンス、運航管理について説明。機体認証ではレベル4飛行の機体は機体認証を受ける必要があることや、量産機で型式認証を受ければ設計、製造の検査を省略できることなどが説明された。
JUIDAの田口直樹経営企画室長は、JUIDAのスクールに関わる横目について説明した。「技能証明」の取得が、試験機関での受験と、講習機関を通じて実地試験が免除された状態で受験する方法と2通りあることを紹介し、受講希望者に対する説明に誤りがないよう注意を促した。また技能証明を取得するメリットについて、一等は所持しないとレベル4飛行が認められない、二等は、レベル4飛行は認められないものの、特定飛行のうち上空150m以上の飛行やイベント上空などリスクが高い飛行を除き、DID上空、夜間飛行などの飛行の場合には、許可・承認の取得が不要になることなどを説明した。
既存のJUIDAのカリキュラムは、二等の試験に必用なCRMや地上基地などがカバーできていないため、今後対応を検討することが説明されたほか、スクールが講習機関になる場合に備えるべき要件には設備、講師の両面で整える要件があることも説明された。そのうち設備では空域、機体、建物、教則本などの書籍が該当し、講師にも一定の要件を満たすことが求められるなどの説明が行われた。
このほか、具体的な取り組みや今後の方針なども示された。JUIDAによるスクールへの説明会は4月27日にも開催される。