子供向けのドローン体験会が各地で開催されている。福島県では7月13日、須賀川市の公民館が開催している子供向けの体験学習プログラム「こども探検隊」でドローン体験が行われ、専門家の指導を受けた。田村市では市総合体育館で行われた「子ども未来プロジェクト おしごとスイッチ」(主催:一般社団法人Switch)の会場で、地元田村市を中心としたドローン活動隊ドローンコンソーシアムたむらが体験会を開き、子供たちの歓声が響いた。
須賀川市の体験会は、東公民館が毎年この時期に開催している体験学習プログラム「こども探検隊」に組み込まれた。こども探検隊は、市内在住の小学4~6年生を対象に、体験を通じて見聞を広めるための講座で、社会科見学、伝統文化体験を含めて、6月から12月まで、土曜日を中心に11回で構成されている。「ドローン体験」は7月13日(土)の「第2回こども探検隊」で行われ、12人が参加した。
会場となった東公民館の「体育室」にはこの日、午前10時を前に続々と子供たちが集まった。講師役は、株式会社スペースワン(福島県郡山市)が運営する一般社団法人日本UAS産業振興協議(JUIDA)の認定スクール「福島ドローンスクール」で、ドローンのインストラクターの鴫原力三さんが務めた。鴫原さんは地元、須賀川市の出身だ。このほか同社の社員2人が補佐についた。
講座では鴫原さんがドローンの基礎を簡単に説明するところからスタート。ドローンの名前がオスバチに由来することや、ドローンにできる役割、飛ばすためのルールなどについて、動画を使いながら、わかりやすい言葉をつかって説明した。ドローンの役割としては、空撮、配送の様子を動画で紹介したほか、水難事故のさいに救命具を投下する動画を紹介して「ひとを助けることもできるんだよ」と子供たちの興味をひいた。
飛行ルールについては「夜間飛行原則禁止」を「太陽が出ている時間に飛ばさないといけません。どうしても飛ばしたいときには特別な許可が必要なんですよ」、目視外飛行を「目で見えるところで飛ばさないとだめですよ」とかみくだいて説明。第三者上空での飛行については、地元、須賀川市で毎年夏に行われ、子供たちも楽しみにしている行事「きうり天王祭」を例に出して、「ああいう人がたくさん集まるところでだまって飛ばしたらいけません」と伝えた。話のあとには、「ここで聞いたことを、おうちの人にも教えてあげてくださいね」と促した。
話が20分ほどで終わると、準備されたトイドローン2機を使ってドローンの操縦体験。2チームに分かれて、補佐役の2人がドローンの機体と、プロポを見せながら「ここを押すと、飛びます。このスティックを前に倒すと前に進みます。でもこっちのスティックを前に倒すと上に上がります」などと教えると、子供たちは真剣に聞き入った。扱い方を学んだ参加者たちは、さっそく、スタート地点から5メートル離れた場所に用意した直剣70センチほどの輪をゴールに見立て、ドローンを近づけて、輪をくぐらせて、スタート地点に戻す操作を体験した。何度か動かすと「わかった、わかった」という声もあがるようになった。
一通りの操作ができるようになったところで、チーム対抗のレースの開催を決定。スタートの合図とともに、ドローンを操作して、決められたコースを通りスタート地点に戻ったところで、ドローンをホバリングさせたまま、プロポを次の順番の選手に渡し、最後の選手がランディングパッドにドローンを着陸させたら終了、というリレーの形式で行うことに決めた。レース中には、上手に輪をくぐり抜けることができて拍手がおきたり、輪の縁に機体をぶつけてしまい、再スタートになったりと手に汗を握る展開となり、ゴールの瞬間、勝ったチームは手を挙げて歓声を響かせた。2度目、3度目のレースでは1度目のレースで負けたチームが連勝するなど、最後まで生徒たちの好奇心が途切れないプログラムとなった。
レースのあとには、タブレットでプログラムを組むとその通りにドローンが動く様子を見せてプログラミングについて簡単に触れ、そのあと、練習やレースの様子を撮影した映像をみて、この日の「体験会」は終了した。参加者は口々に「おもしろかった。もっとやりたい」と話していた。
田村市では総合体育館で市内の仕事を地元の子供たちに体験できるブースが設置され、ドローンコンソーシアムたむらもブースを出した。
ドローンコンソーシアムたむらは、田村市がドローンの研究に積極的な慶應義塾大学とドローンの活用で包括連携協定を締結して以降の地元の活動の中から生まれた、地元主体のドローン活動体だ。セミナー、体験会、市内の観光名所のドローンによる撮影など、市内の行事や事業にドローンを積極的に取り入れる活動を推進し、田村市のドローンによる地域活性化に大きく貢献している。
この日もコンソーシアム活動の一環で、ブースにはドローンを初めてみる子供たちが列をつくり、ドローンの操作体験を楽しんだ。担当者は100人を超える体験希望者の対応に追われたが、来場者が自由に使えるメッセージボードに「パイロットになりたい」「ドローンになりたい」といった感想が関係者を喜ばせた。