AAM開発の米ジョビー・アビエーションは6月30日、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイでパイロットが搭乗し、垂直離着陸の固定翼飛行を実施した。ジョビーは「2026年に最初の乗客を運ぶ」と2026年のサービス開始を目指している。ジョビーは開催中の大阪関西万博で「運航事業者」にもなっている。
ジョビーによるドバイでの飛行は、「piloted, vertical-takeoff-and-landing wingborne flights」で、パイロットが乗り、垂直離着陸をしたうえで、機体の固定翼で移動した飛行で、「eVTOL分野では初めての取り組み」としている。ジョビーはこの飛行を通じて、ドバイ地域での商用市場準備の取り組みを開始したことも明らかにした。ジョビーは直接運航、航空機販売、地域パートナーシップを商業化戦略の3本柱と位置付けていて、今回の試験飛行が「重要な一歩」と話している。
試験飛行はドバイ道路交通局、ドバイ民間航空局、UAE民間航空総局と連携して実施された。またドバイ道路交通局長官兼理事会会長のマタール・アル・タイヤー会長が立ち会った。
ジョビーは、ドバイ国際空港(DXB)、ペルシア湾の人工島であるパーム・ジュメイラ、現在建設が進められている世界第2の面積の人工のマリーナであるドバイ・マリーナ、超高層ビルブルジュハリファで知られるドバイ・ダウンタウンでの商業サービス導入を目指している。バーティポートはすでに建設が進められている。
ジョビーはDXBからパーム・ジュメイラまでをエアタクシーサービスで移動した場合、移動時間は12分で、45分かかる車での移動時間が大幅に短縮されると見込んでいる。
ジョビーがエアタクシーサービスで使う機体は電動で、パイロット1人と最大4人の乗客を乗せ、最高時速200マイル(約320km)で輸送できる設計と説明していて、ジョビーは「短時間の通勤、小旅行、地域間のシームレスな移動のために、より速く、より静かで、より便利な空の旅を提供します」と話している。
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トルコのドローンメーカー、ベイカー社(Baykar)が、「セゼリ(Cezeri)」と名付けた空飛ぶクルマのプロトタイプで飛行実験を行った。同社が自社サイトで伝えている。飛行実験はイスタンブールで無人で行われており、今後有人飛行に取り組むとしている。
セゼリは、トルコのエンジニアが設計、製造された、4つの回転用を持つ空飛ぶクルマで、サイトによると、9月15日、重量230㎏のプロトタイプが初飛行に挑み、10メートルの高さまで上昇したという。
同社CTOのセルチュク・ベイラクター(Selcuk Bayraktar)氏は、「今後、より高度なプロトタイプを作り、有人飛行に挑戦する」とコメントしている。実用化のめどについてベイラクター氏は、「道路で発着できるようになるまでに10~15年、農村部でのレクリエーションに使えるようになるまでに3~4年かかるだろう」と述べた。
セゼリは2019年9月にイスタンブールで開催されたトルコの技術と航空宇宙の見本市「Teknofest」で展示された。機体の名前セゼリは、12世紀を代表する技術者で、発明家で、美術家でもあったイズマイル・アル=ジャザリーにちなんだという。
ベイカー社は1984年に設立された軍事用、民生用ドローン、制御システム、シミュレーター、アビオニクスシステムのメーカー。