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  • 2024.1.11

    DJI初の物流機DJI FlyCart 30を発表 30㎏を16㎞配送

    account_circle村山 繁
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    DJIは、1月10日、物流専用機DJI FlyCart 30のグローバル市場での販売を発表した。8枚のプロペラを4軸に配置したマルチローター構成で、デュアルバッテリーの場合、最大積載量30 kg、最大航続距離16 kmを可能にする。緊急時などシングルバッテリーで運用するさいには最大積載量は40 kgで、最大8 km飛ばせる。DJI O3映像伝送システムで、ドローンと送信機の接続を最大20 km ‌まで確保する。新開発のソフトウェアDJI DeliveryHubで体系的にタスク管理をする。

    DJI DeliveryHubで体系的にタスク管理

    DJI JAPANの発表は以下の通りだ。

    この配送用ドローンは、大容量の積載、長距離輸送、高い信頼性、インテリジェント機能に対応し、配送業界が抱える課題の解決に貢献します。このドローンにより、山岳エリアや海上での輸送、または、救急救助活動における輸送などを、より効率的かつ柔軟に行うことができます。

    「農業や建設業における管理や測量などにおいて、DJIの業務用ドローンは、従業員の安全性や業務の生産性を向上し、業界の業務品質の刷新に貢献してきました。私達は、FlyCart 30がドローンによる配送のソリューションとして高い信頼を獲得し、複雑な地形や配送先への輸送に関する課題を、効率的かつ経済的、そして何よりも安全に解決できると信じています。」と、DJI コーポレート ストラテジー シニア ディレクターのChristina Zhangは述べています。

    重量貨物を長距離輸送可能
    FlyCart 30は、8枚のカーボンファイバー製プロペラを4軸に同軸配置したマルチローター構成を採用し、最大飛行速度20 m/sを実現します[1]。デュアルバッテリー使用中は、最大積載量30 kg [2]、最大航続距離16 km [3]を実現。緊急時にシングルバッテリーで運用する場合、最大積載量は40 kg [4]に増加し、最大8 kmの航続距離に対応します。DJI O3映像伝送システムにより、ドローンと送信機の安定した接続を最大20 km ‌[5]の距離で実現します。デュアル操作モードにより、簡単な操作をするだけで、異なる場所にいる2人のパイロット間で制御権限を相互に移譲することが可能です。

     

    様々な環境に対応
    FlyCart 30は、過酷な気象や地形条件下でも、優れた性能や安全性を発揮します。‌FlyCart 30は、保護等級IP55を誇り、 -20~ 45℃の環境温度範囲で動作でき、最大12 m/sの風圧環境下でも飛行することができます[6]。標準プロペラは、最大飛行高度6000 mに対応できるように最適化され、30 kgのペイロード積載時でも高度3000 mまで飛行することができます。低温環境下でも、自己発熱機能対応のバッテリーが最適な性能を発揮し続けます。

     

    運用時の安全性を向上

    FlyCart 30は、冗長システムとスマートな安全機能を備え、運用時の安全性を確保します。離陸前に、環境条件をもとに、飛行ルートが利用可能かを判断し、音と光による警告やプロペラの回転開始時の6秒遅延などを使い、安全性を確保することが可能です。飛行中は、搭載された前方・後方のアクティブフェーズドアレイレーダーとデュアルビジョンシステムにより、如何なる気候や時間帯でも、多方向での障害物検知を実現します [7]。また、有人航空機が付近を飛行している場合、内蔵のADS-Bレシーバーが速やかに警告を発します。緊急時には、機体に内蔵されたパラシュートが低高度で開くことにより、機体を安定して着陸させることができ、周囲の人々や設備の安全性を確保できます [8]。

    様々な配送シナリオに柔軟に対応

    FlyCart 30は、機体を折りたたむことにより、普通自動車に乗せて運搬することができます。

    貨物モードでは、70Lケースにペイロードを収納できます[9]。ケースには、重量と重心を検出するセンサーが搭載され、貨物のバランスを保ち、優れた安全性を確保します。

    ウインチモードでは、ウインチシステムを使用してペイロードを吊り下げ、着陸しにくいエリアへの配送を可能にします。ウインチシステムは、20 mのケーブルを用いて、手動または自動で速度0.8 m/sの巻き上げ/下げを行うことが可能で、最大40 kgのペイロードを輸送することができます。APプロジェクションは、目的の着陸地点を送信機画面に投影表示することで、正確なペイロードの降下をサポートします。飛行中、FlyCart 30はスマートに姿勢を調整し、吊り下げているペイロードの揺れを自動で軽減します。


    専用ソフトウェアで、ドローンによる配送をさらに円滑化
    DJI DeliveryHubは、タスク計画、運用ステータスのモニタリング、チームリソースの集中管理、データの収集と分析に対応し、FlyCart 30による配送を体系的に管理します。FlyCart 30に搭載された高解像度FPVジンバルカメラを通して、ライブビューを確認することもできます。

    DJI Pilot 2は、手動・自動飛行に対応するとともに、飛行ステータスやペイロードの状態などをリアルタイムに表示し、安全で効率的な運用を可能にします。また、異常気象やその他の異常事態が発生した場合、DJI Pilot 2は、オペレーターにリスクを警告し、代替着陸地点の管理をサポートします。

    DJI DeliveryHubとFlyCart 30は、外部クラウドプラットフォームまたは外部ペイロードと併用することが可能なため、様々な業界に特有のシナリオに適応することができます。 
    DJI FlyCart30 のサイト 
    DJI DeliveryHubのサイト

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    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。