内閣府が8月17日午前に発表した2020年4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比7.8%減、年率換算では27.8%だった。マイナス成長は3四半期連続。新型コロナウイルス感染症の影響が直撃し、これまで最大の落ち込みだったリーマンショック後の2009年1~3月期(前期比年率17.8%減)を超えた。減少率としては比較可能な1980年以降最大と、深刻な落ち込みを余儀なくされた。非接触、非対面社会への移行が必要となる中、ドローン関連産業のリーダーは、価値ある未来を手繰り寄せる役割を担うことになりそうだ。
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う緊急事態宣言などにより、経済活動が停滞したことが影響した。特に民間需要と輸出の落ち込みが強烈だ。
民間需要のうち民間最終消費支出は前期比マイナス8.2%(年率マイナス28.9%)で、3四半期連続の悪化となった。消費増税の行われた昨年10~12月期のマイナス2.9%を大きく上回る落ち込み幅だ。民間最終消費支出の内訳をみると、家計消費支出が前期比マイナス8.6%(年率マイナス30.1%)と急落した。緊急事態宣言を受けた外出自粛や休業要請で、飲食サービス、宿泊サービス、輸送サービスの落ち込みが如実に映し出されている。
外需も輸出が前期比マイナス18.5%(年率マイナス56.0%)と急減。米国の都市封鎖などで自動車輸出が大幅に減少した。インバウンド消費もサービスの輸出にカウントされるため、需要がほぼ消えたことになる。
西村康稔経済再生相は会見で「緊急事態宣言の下で経済を人為的に止めていた影響でこのように厳しい結果となった。(輸出は欧米のロックダウンの影響で急減したが)今後は中国や欧米の経済回復が輸出をけん引していくことを期待したい」と述べた。
4~6月期のGDPについて、SMBC日興証券株式会社金融経済調査部の丸山義正チーフマーケットエコノミスト、宮前耕也シニアエコノミスト、今村仁義エコノミストは、比較可能な1980年以降の、現行の「08SNAや簡易遡及データに加え、連続性はないが、1955年以降について係数を得られる68SNAデータから、「第二次大戦後における最悪の落ち込みと位置付けられよう」と分析している。
あわせて、リーマンショックやバブル崩壊など過去の景気後退と比べ、コロナショックには4点の違いがあると分析した。それぞれ、①突然に落ち込んだ②金融システムが原因ではない③迅速な政策措置を講じた④需要刺激策が十分に機能しないーがその4点だ。対策を講じるにも過去の経験からはじき出した対応だけでは不十分となる可能性がある。
さらにデジタルトランスフォーメーションの必要性にも言及。「今後の課題として、対面でしか生み出せない価値があることに疑いの余地はないにせよ、実態を反映しないルールやレガシーのために対面を余儀なくされているケースも多く、真に物理的な対面が必要なケースに労力を振り向けるため、ルールとテクノロジーの両面で政府、経済主体が対応を進める必要がある。それが真のDXでもあろう」と主張している。
ドローン関連の経営者、ビジネスマン、研究者、関連担当を受け持つ公務員、知見のある議員連盟所属議員は、他の領域よりも幸いにしてDXに近いポジションにいる。日本社会が対面依存からの脱出や、脱出までの時間の短縮に力を発揮するタイミングであるといえそうだ。