米大型輸送用UAV開発のセイバーウィング(Sabrewing Aircraft)と米国貨物航空サービスのアメリフライト(Ameriflight)は2月14日、アメリフライトが、セイバーの「2000ポンド(約907㎏)以上」の積載が可能なVTOL型の大型UAV「レイガルアルファ(Rhaegal-A)」を35基購入する合意書を締結したと発表した。アルファは既存輸送手段では着陸が困難だった場所への配送などを含め、従来手段を補完する役割を担う。両社の発表は以下の通りだ
アメリフライトは、チャーター機運用事業者らのルールなどを定めた「パート135」を満たした貨物航空として米国最大の貨物航空会社で、垂直離着陸(VTOL)機能を備え、高効率で全天候型の新世代の地域貨物無人機を設計・製造する米国企業、セイバーウイングエアクラフト社から、VTOL航空貨物無人機35機を購入する合意書に署名したと発表した。今回の契約は、世界最高水準の燃費と整備性を誇る貨物用UAV「Rhaegal-A」(通称「アルファ」)が対象だ。アメリフライトは、同機の型式証明取得後に引き渡しを受ける予定だ。
アメリフライト社は、セイバー社とのパートナーシップを結んだことと、Rhaegal-Aの購入によって、新しいビジネスチャンスをつかむことになる。1トンほどの貨物を空港外の代替着陸地点まで運ぶことができるVTOL機能を備えたこの新しい貨物機により、顧客がより迅速で効率的な配送ネットワークを構築することを支えることができる。アメリフライトは、現在の飛行業務や航空機、パイロットをやめるつもりはなく、新たな機体を用いる配送は補完的なサービスとなる。多様な航空サービスを構築することが目標であるため、今回の取引はそのビジョンによく合致する。
アメリフライトのアラン・ルシノビッツ(Alan Rusinowitz)社長兼COOは、「この先進的な機体をわれわれのポートフォリオに加えることは、航空機の能力を補い、資産の品揃えを拡大し、倉庫配送業務の開発を通じたサービス領域の拡大を可能にする」と話す。「われわれが購入するRhaegal-Aは2,000ポンド以上の積載量を誇り、ミディアムリフトカテゴリーの運航にぴったりと適合する。セイバーは記録的な技術で、Rhaegal-Aを垂直離陸と通常離陸の両方が可能な世界初の自律型貨物機に導いており、信じられないほどのマイルストーンを打ち立てた。我々はこの新しい機体で彼らと提携することに興奮している」
セイバーのエド・デ・レイエス(Ed De Reyes) CEOは、「我々は、長距離、積載量、持続可能な燃料効率を最大化し、様々な貨物ミッションを成功させるクラス最高のRhaegalで、高度で汎用的で効率的な航空貨物ソリューション開発に取り組んでいます」と説明する。「私たちは、自律航行技術イノベーションの最前線に立つことができること、そして、アメリフライトの協力を得られることにとてもわくわくしている。今回の新しい契約は、アルファとして米国では初めてのローンチの顧客を獲得したことになる」
セイバーのRhaegal-Aは2022年9月に、記録的な積載量829ポンドを達成したうえで、初フライトを実現した。同社は現在、同機の生産ラインを立ち上げており、最初の納入は2024年の第1四半期に行われる予定だ。Rhaegal-Aは、革新的な設計を持ち、持続可能な航空燃料(SAF)を使用することで二酸化炭素排出量を最大80%削減できる。輸送速度は走行速度の4倍で、他の航空機では着陸できない場所に着陸する効率性を持つため、貨物の空港移動に追加コストがなくてすませる。この新機体は、主に迅速なサプライチェーン・サービスを提供するアメリフライトの新たなビジネスチャンスをサポートするために使われる予定だ。
先月(1月)、自律航行航空機開発の米ナティラス社(Natilus)社と締結した、積載量3.8トンの短距離輸送用無人航空機「コナ」の購入に続く、アメリフライトの自律型航空機の購入契約となる。今後、両機種を現在の運航と並行利用する。