神奈川県立海洋科学高校で水中ドローンの授業 慶應研究所員が指導、プールで操作体験も

2021.06.03

 神奈川県立海洋科学高等学校(横須賀市)で6月2日、水中ドローンを学ぶ授業がおこなわれた。情報を学ぶ生徒16人が、教室で水中ドローンの利点、仕組み、操作のポイントを学んだ後、学校のプールで水中ドローンの操作を体験した。授業はドローンの研究で知られる慶應義塾大学SFC研究所の所員、下田亮氏らが講師を務めた。海洋科学高校では「海に囲まれた地域の海洋科学高校として、強みをいかした人材を育成したい」と話している。

下田氏「水中ドローンは水中活動のプラットフォーム。大事なのは何をしたいか」

 授業では下田氏が水中ドローンの利点を解説した。この中で人が特別な準備をしない場合は、水に潜れる深さは39mで、活動できる時間は最大10分に限られることを説明。そのうえで水中ドローンであればさらに深く潜り、さらに長く留まれると述べた。

 また水中ドローンを使った取り組みを動画で紹介しながら、水の中への太陽光の届き方が場所により差があること、ドローンの活動にはプログラミングが深く関わること、水中で行いたい作業のために道具を自作することもあること、など活動の特徴を整理した。

 下田氏は「水中ドローンを使うときに大事になるのは、潜れるかどうか、よりも、潜って何をするのか。水中ドローンは潜れて当たり前。それを前提に、水の中でやりたいことをするためのプラットフォームです」と好奇心を刺激した。

 このあと水中ドローンの実物の機体を見せながら操作方法などを紹介。持参した水中ドローンは中国・深圳に本社を構える水中ドローンメーカー、QYSEA Technology(キューワイシー、テクノロジー、中国名:鰭源科技)社の「FIFISH V6」で、機体の特徴、電源の入れ方や装備、機体にできる動き機体操作とテザー管理の2人1組で操作すること、機体は水に潜れる一方で送信機は水に濡れないように扱うべきであることなどを解説した。

 教室で基礎知識を学んだあとはプールに移動し、生徒たちが実際に操縦を体験した。生徒を2グループに分けてそれぞれ2人1組となった。機体を水に沈め、モーターが回り実際に機体が動き出すと、操作している生徒も、見ている生徒も身を乗り出して機体の動きに視線を送った。前後移動、左右移動、点検などを想定した角度調整などを繰り返すうちに徐々に慣れた様子で操るようになり、中にはインストラクターのアドバイスを受け、機体の進む方向にあわせて体の向きを変えるなど工夫をする生徒もいた。

 水中ドローンの授業が行われた神奈川県立海洋科学高校は、海に囲まれた横須賀市にあり、「海を知り、海を守り、海を拓く」を校訓に設定する海洋科学のスペシャリスト養成を掲げる県立高校で、実習船も持つ。3年間の過程を終了した後に、専門性を深める2年間の専攻科も備える。水中ドローンの授業を受けた生徒16人は、水中ドローンを中心に学ぶ班、飛行するドローンを学ぶ班、映像の編集や作品づくりを学ぶ班に分かれている。また生物環境を調査する班の生徒4人も含まれ、水中ドローンを専門に生かす。今回はすべての班が水中ドローンの基礎に触れた。この日の授業の様子を見守っていた学校関係者からは「生徒が生き生きしていることがうれしい」という感想が聞かれた。今後、飛行するドローンの操作も学ぶ方針だ。

海洋科学高校で行われた水中ドローンの授業。ドローンの幅広い種類についても説明された
水中ドローンの利点や機能を学ぶ神奈川県立海洋科学高校の生徒たち。慶應義塾大学SFC研究所の下田亮所員(左)が映像を使って説明した
この日使う機体「FIFISH V6」の機体を紹介
水中ドローンの動きを講師陣が熱演。インストラクターの1人、飯原夏子さん(右)は操作にあわせて機体の動きを表現した
教室での説明に続き、プールで操作体験に
操作の方法の説明。操縦者の手元と機体とを見比べながら聞き入る
大型モニターも使うなど指導陣も真剣
水中ドローンを確認。生徒たちも機体に興味津々
プールで水中ドローンの操作体験に取り組む神奈川県立海洋科学高校の生徒たち
テザーを持ち慎重に機体を水にいれる様子を、生徒たちも見守る
インストラクターの「機体の向きと体の向きをあわせることもあります」という助言を聞き、さっそく取り入れてみる生徒も
機体を水から引き上げるときには腕をのばすと壁面にぶつかることを避けられる。生徒たちも様子を見守る
テザー担当、操作担当の2人1組で操作を体験。声をかけながらし作業をする
水中ドローンの授業が行われた神奈川県立海洋科学高校
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