石油元売り最大手のENEOSホールディングス株式会社は1月20日、首都圏にあるプラントの遊休設備を有効活用し、ドローンを飛ばせる「実証フィールド」として運用する方針を明らかにした。4月をめどに運用を開始するとしている。同社はドローン事業を展開する株式会社センシンロボティクス(東京)に出資するなど連携関係を持ち、「実証フィールド」の整備や運営でも共同で対応する。ドローンをプラント点検などに活用するにあたっては、実証環境の確保が問題のひとつとなっている。ENEOSが実証フィールド運営に乗り出せば、首都圏の中で実証環境を確保でき利便性が高まるとみられる。
ENEOSホールディングス執行役員の矢崎靖典未来事業推進部長が、この日行われたオンラインカンファレンス「FUSE」に登壇し、「プラントの一部の遊休施設を活用し、ドローンショーケース兼ドローン実証フィールドを(2021年)4月ぐらいに使ってもらえるようにしたい」と述べた。
矢崎氏は「ドローンはインフラといえるまで使われるべきもの。生活のすみずみまで使えるインフラにするのはどうでしょう、という世界観をもっている。われわれとしてできることの一環で、プラントの遊休設備の活用がある」と説明した。
矢崎氏と同じセッションに登壇していたセンシンロボティクスの北村卓也社長は「ドローンは飛行すれば落ちるリスクがあり、飛行にあたって規制もある。都市部の事業者が実証するには1時間半ほどの対応可能なフィールドに出かける必要がある」と説明。ENEOSの遊休設備の実証フィールド化について、「実際の設備を使えると、老朽化オブジェクトの点検などを想定し、配管、貯留タンク、煙突などで技術を磨ける。いきなりの本番環境ではなく、実証フィールドで試してから運用することができればメリットは大きい」と述べた。
実証フィールドが解説されるENEOSの設備や運用形態などについての言及はなかった。ENEOSは首都圏に根岸製油所(横浜市)、横浜製造所(同)、千葉製油所(千葉県市原市)、川崎製油所(川崎市)などを持つ。いずれかに設置された場合、首都圏の事業主にとっては利用しやすい立地となる。