いわゆる空飛ぶクルマなどの次世代エアモビリティなどを開発している株式会社SkyDrive(愛知県)は1月24日、兵庫県と、次世代空モビリティとして期待される空飛ぶクルマの早期実現に向けた取り組みを進めるため「連携と協力に関する協定」(連携協定)を締結した。兵庫県は提携の席上、空飛ぶクルマなどの社会実装を進めるため、2025年の大阪・関西万博での飛行実現も視野にいれながら、県として社会受容性の向上、ポート整備支援、事業開発支援の3つの切り口で取り組む方針を発表し、4月からの2023年度以降に「次世代空モビリティ会議」の運営を始める方針を明らかにした。齋藤元彦知事は、「取り組みを通じ、子供たちに夢をあたえたい」と述べた。
SkyDriveは、2025 年の大阪・関西万博開催にあわせて、大阪ベイエリアで空飛ぶクルマを使ったタクシーサービス(エアタクシー)の実現を目指していて、大阪府、大阪市とは2021 年 9 月に「空飛ぶクルマ」実現に向けた連携協定を締結している。これに基づき、社会受容性向上活動や、実証実験を進めている。飛行エリアを淡路島、瀬戸内エリアに広げることも展望していることから、今回兵庫県とも連携協定を結ぶことになった。
連携協定の目的は、「空飛ぶクルマの開発と社会実装に取り組むことにより、科学技術の発展、イノベーションの創出、地域活性化、産業振興、防災・減災及び 2025 年大阪・関西万博に向けた機運醸成を推進すること」。①空飛ぶクルマの機体及び事業開発に資する実証②空飛ぶクルマの社会実装に向けた環境整備③空飛ぶクルマに係る情報発信など社会受容性の向上④空飛ぶクルマに関わる産業のエコシステム形成ーが内容だ。
兵庫県は席上、空飛ぶクルマなどの実装に向けた取り組みを紹介した。短期目標を万博開催時の兵庫県での飛行、長期目標に県内での関連産業のエコシステム形成を掲げ、社会受容性向上、ポート整備支援、事業開発支援の3つの側面について、2023年度、2024年度、2025年度、2035年ごろまでの時系列で取り組み案を整理した。
社会受容性向上について、2023年度内に「次世代ソラモビリティ会議」を設置して諸課題の検討を進める。ポート整備支援では2023年度に候補地を選定、2024年度には事業者の探索を展望する。事業開発支援では2023年度にメーカー以外の運航事業者、サービス事業者なども含めた事業モデルを調査するほか、ヘリコプターでの実証、デモ飛行などの十進を補助する取り組みを進める計画だ。
2025年の万博開催時に大阪・兵庫間や兵庫県内の拠点間移動の実現を見据えるほか、2035年ごろにかけて、使途の多様化、飛行エリアの拡大、ビジネスのすそ野の拡大、開発製造、整備、人材育成などの拠点形成を含めたエコシステムの形成を目指す。
斎藤知事は「社会に受け入れられる乗り物にしたい」と述べた。
■齋藤元彦・兵庫県知事のコメント
兵庫にはベイエリアを中心とする海、山、川という多様なフィールドに加え、航空機産業の集積もあります。これまでのドローンの実証実験で培った知見を活かし、空飛ぶクルマの実現に向けた取組をこれから進めていきます。令和5年度には、空飛ぶクルマの社会実装に向けた予算を確保し、次世代空モビリティひょうご会議(仮称)を立ち上げ、社会受容性の向上、ポート整備支援、事業開発支援を行っていきます。SkyDriveさんとは万博 1000 日前イベントで縁ができ、連携協定締結に至りました。これからも共に歩んでいきます。
■福澤知浩・株式会社SkyDrive 代表取締役CEO のコメント
兵庫県とは、これまで、実験機「SD-03」の展示や講演を通じて、空飛ぶクルマの社会受容性を高めるための活動を一緒に実施させていただいてきました。今回の協定で空飛ぶクルマの関西圏から淡路、瀬戸内へと広域化の実現に一歩近づくことができました。兵庫県は神戸空港やコウノトリ但馬空港もあります。ベイエリアから淡路島にかけては交通需要も見込め、空飛ぶクルマの運航に理想的な場所と感じております。空飛ぶクルマの実現により便利さと楽しさの提供に加え、防災機能の強化、地域活性化など、皆様の期待に応えられるよう推進して参ります。