東京・臨海部の大規模展示会場、東京ビッグサイトで10月26日から11月5日まで開催されたJapan Mobility Show2023は、AAM(次世代エアモビリティ、いわゆる空飛ぶクルマ)の、社会受容性を格段に引き上げた催事として記憶される可能性が高い。トヨタ、ホンダ、SUBARU、スズキなど大手自動車メーカーは空の移動を表舞台に載せ、今後の展望を来場者に印象付けた。米Joby Aviation、日本のSkyDriveはAAMの知名度や認知度を愛好家やマニアの水準から市民、生活者、消費者に拡大し、期待を引き上げた。期待先行の印象が強いAAM開発はまもなく、米アドバイザリ大手、ガートナー社が提唱する「ハイプサイクル」で指摘される「幻滅期」への準備も併行させる時期にさしかかる。
Japan Mobility Show2023は公開前日の10月25日に行われたメディア公開以降、メディアの報道、SNSでの拡散などで多くの市民の「行きたい展示会」に躍り出た。東京モーターショーの刷新で展示範囲を自動車関連から乗り物に拡大し、主役の自動車に加え、AAM関連のプロダクト、技術にも光が当たることになった。自動車産業そのものもAAM関連への関与や展望を打ち出し、来場者に近未来を強烈に印象付けた。
トヨタ自動車の佐藤恒治社長は10月25日午前8時半、同社が設置した巨大ブースにステージに立ち、国内外からつめかけた人垣ができるほど大勢の報道陣を前に、「トヨタのブースで伝えたいのは多様性あふれるモビリティの未来です」と、バッテリーEV、IMV 0(アイエムブイ ゼロ)、KAYOIBAKOの3つを中心にプレゼンテーションをした。AAMへの直接の言及はなかったが、佐藤社長の背後の大型スクリーンに映し出されたコンセプト映像に、同社の出資先、米Joby AviationのeVTOLエアクラフト「S-4」の映像が投影される場面があり、トヨタのエアモビリティ分野への関心を印象付けた。
JobyのS-4は、原寸大のモックアップが、トヨタのブースとは別の会場内のブースに展示され、来場者がスマホで撮影するなど存在感を放った。JobyはANAホールディングス株式会社とチームを組み、2025年4月に開幕する大阪・関西万博で、利用者を載せて飛行する4つの事業者グループのひとつに決定している。「S-4」はトヨタが駆動系の開発に参加しているほか、型式証明の交付を日本の航空局に申請がされていて、日本での飛行を待ちわびる視線を集めた。
日本発AAMの現時点での代表格のひとつ、株式会社SkyDrive(豊田市<愛知県>)も型式証明を申請している「SD-05」の5分の1サイズモデルを展示し、来場者の足を止めた。展示された場所はスズキ株式会社(浜松市<静岡県>)が展開しているブースの一角だ。SkyDriveは6月にスズキとの協力関係について基本合意書を交わしていて、スズキグループの工場を活用して2024年春ごろに機体の製造に着手したい意向だ。SkyDriveは代表の福澤知浩氏の出身企業であり、SkyDriveへのスポンサーでもあるトヨタと縁が深いが、Japan Mobility Showではスズキとの連携を印象付けたことで、自動車業界をあげたエアモビリティ支援体制構築の進展が期待される。
メディアの間で当初、最大の話題のひとつとなったのが、株式会社SUBARU(東京)のエアモビリティ発表だ。トヨタから1時間後の10月25日、午前9時30分にスバルのブースのステージに登壇した大崎篤社長CEOは「自動車業界は100年に一度の大変革期を迎えていると言われ数年がたちます。本日は次世代モビリティとしてふたつのコンセプトモデルを披露します」と宣言。軽快な音楽とともに最初のコンセプトモデル「SUBARU SPORT MOBILITY Concept」が紹介された後、音楽が切り替わると、背後のパネルが中央からふたつに開き、奥からリフトアップされた機体がせり出した。メディアがいっせいにフラッシュをたくなか、せり出した機体はステージでファッションショーのモデルのように右左に動いたり、正面を向いたりして、洗練されたデザインをアピールした。
大崎CEOはこの機体を「SUBARU AIR MOBILITY Concept」と紹介。「電動化、自動化技術が進歩し航空機の世界でも空の移動革命を実現する新たなエアモビリティへの期待が高まっている中、スバルが目指すより自由な移動の未来を示したコンセプトモデル。現在、自動車部門と航空宇宙カンパニーが協力し飛行実証を進めています」と紹介した。6つのローターを持つ電動機だが、スペックは今後詰めるという。
本田技研工業株式会社(ホンダ、東京)のブースは、見る角度によっては自動車より飛ぶ乗り物が目立つほどに空への展開をアピールした。小型ビジネスジェット「HondaJet Elite II」の搭乗体験モデルの隣に、8つの揚力用ローター、2つの推進用ローターを搭載する開発中のAAM、「Honda eVTOL」の縮小モデルを展示した。
Honda eVTOLは名称に電動を示す「e」が入るが、ガスタービンを搭載している。シリーズ式ハイブリッドと呼ばれる方式で、ガスタービンは電力の生産に使われ、その電力はバッテリーに溜めて機体を動かす。ガスタービンで得られた力を推進力には使われない。機体が電気で動くのでガスタービンを搭載していても「e」がつく。
ホンダはHonda eVTOLの安全性、快適性、静粛性を前提としていて、利用者が感じる価値はその先にあると考えている。重視しているのは時短価値だ。
開発プロジェクトリーダーを務める株式会社本田技術研究所(和光市<埼玉県>)先進技術研究所新モビリティ領域チーフエンジニアの東弘英氏は、DroneTribuneの取材に、「空港に行かなくてもより身近に空を体験して頂けることが新しい価値だと思っています。身近であるためには安全や静粛性は前提です。利用者が『いいね』と感じる価値はさまざまあると思いますが、われわれはその中でもまずは、時短価値が大事だと考えています。そのためにはショートレンジでは価値が出しにくい。たとえばクルマを使えば10分で行けるところにHonda eVTOLでは5分で行けたとしても時短価値は少ないと考えられます。ひょっとすると降りてから乗り換えるとさらに時間がかかる可能性すらある。ある程度のレンジがないと時短価値が出せない。ガスタービンの搭載もそのためです。ターゲットレンジは400㎞です」と話し、出発点から目的地までの移動時間の短縮に挑む。
Japan Mobility Showの「飛ぶもの」はAAMにとどまらない。株式会社エアロセンス(東京)やブルーイノベーション株式会社(東京)などドローンに力を入れている企業や、気球で宇宙旅行を企画しているか株式会社岩谷(いわや)技研(札幌市<北海道>)、自律航行技術で知られ、ストレッチャーロボットが海外メディアでも取り上げられた株式会社アトラックラボ(三芳町<埼玉県>)なども数多く登場している。ブルーイノベーションはトヨタが開発したドローンポートシステムをUCCホールディングス株式会社(神戸市<兵庫県>)などのスペースで実演。ドローンから届いたコーヒーをポートに降ろしたのち自動走行のAGVに乗せ換えて届け先まで走行する様子を再現している。
連日行列を作っていたのは、マイクロドローン関連事業を展開する株式会社ドローンエンタテインメントが株式会社トムスと連携して展開していた体験型ブース、「ドローンツアー」だ。球体型スクリーンの手前にシートが用意され、そこに座ると同社代表でドローンレーサー元日本代表の第一人者で横田淳氏が撮影した全国の名所の映像が流れる。映像にあわせてシートが振動したり傾いたりして、まるで映像の中を自分が飛ぶ感覚を味わえる。よりリアルな体験を楽しむ方法として、横田代表がその場で飛ばすFPVドローンのとらえた映像を浴びることもできる。球面スクリーンの隣に設置された特設フライトスペース内をドローンが飛ぶと、シートに座った来場者はそのドローンの操縦席にでもいるかのような臨場感が味わえる。
一般公開期間中は連日、午前の予約開始直後に埋まる盛況ぶり。会場にはキャンセル待ちのレーンも用意され、そこにも連日、来場者がつめかけていた。
一般公開日に3人組で参加した女性の一人は「報道で見て、知人から聞いて参加しました。期待していたよりも、ずっと楽しかったです。なにより、よく言われる臨場感ってこういうものか、と感じました」と感激した様子で話した。いっしょにいた女性も「有料でも乗ります。ほかで味わえないから。あの映像を味わえるようにドローンを操縦したくなりました」と話していた。
Japan Mobility Show2023はAAMへの期待を高め話題性を作ることに成功した。社会実装にむけて実用局面に移行する。米ガートナー社が提唱する期待の増減を示すハイプサイクルによると、新しいテクノロジーは話題性とともに登場すると、一気に期待値があがるが、その後、期待と現実との落差を目の当たりにすることで一時的に急降下することになる。その後、真価の適切な評価を経て社会システムに採用され、実装に至る。AAMも急上昇した期待の社会実装への道筋を構築する局面に入ることになる。
大阪府枚方市は3月2日、中国の空飛ぶクルマメーカーEhang(イーハン)の2人乗り機体「Ehang216」のデモフライトを実施した。デモ飛行では人は乗せず、かわりに人の体重に近い80㎏のコメを積んで飛行させた。時折、風速7m/秒を超える風が吹く中だったが、機体はあおられることもなく安定した飛行を見せた。2025年に開催される大阪・関西万博の主会場を抱える大阪府内で、空飛ぶクルマの飛行実験が行われたのは初めてだ。デモフライトに続いて開催したセミナーでは、枚方市の伏見隆市長が「“空飛ぶクルマのあるまち・枚方”を実現させたい」とアピール。セミナーに登壇したDRONE FUND最高公共政策責任者の高橋伸太郎氏は、「枚方市は空飛ぶクルマの京阪奈における輸送ネットワークの拠点としての可能性がある」と枚方が空飛ぶクルマに取り組む重要性を指摘した。
デモフライトは3月2日、市内を流れる淀川の河川敷に広がる公園の一角で行われた。機体はドローンやAAV(Autonomous Aerial Vehicle、いわゆる「空飛ぶクルマ」のひとつ)開発で知られる中国の億航智能(英語表記Ehang、イーハン)が開発したEhang216で、一般社団法人MASC(岡山県倉敷市)が保有している機体だ。飛行は座席には誰も乗らない無人の状態で2度、行われた。1度目は地上30メートルまで上昇後、しばらく空中で静止し、機体の向きを180度転回させて、着陸させた。2度目は人のかわりに80㎏のコメを乗せて離陸したあと、淀川の河川上空を約930mにわたり、5分間飛行した。
デモンストレーションの間は強い風に見舞われ、一時、風速7.6m/秒の風も吹いたが、機体はやや揺れる程度で風にあおられることもなくゆったりと上昇、すいすいと飛行した。また、離陸時は飛行時の音については、周囲からは「30mまで上昇してしまえば、機体がそこにあることが確認できる程度の音」「離陸時にまったく静かというわけではないが、ヘリとは比べると圧倒的に小さい」などと話す声が聞こえた。伏見市長も「音は気にならなかった」と、デモフライトのあとのセミナーの中で話した。
枚方市は 2025 年に開催される大阪・関西万博に向けて、万博開催をきっかけにした地域経済の活性化と地元への愛着の向上を目的に、幅広い取り組みを実施する「ひらかた万博」を推進している。中でも空飛ぶクルマを重視していて、社会実装による地域の人々の生活の質の向上や新しい事業の開拓を期待している。昨年12月11日に市が開催したセミナーで伏見市長は「枚方は京街道の枚方宿として東海道で56番目の宿場にあたり、淀川で物資の運搬も盛んで歴史的にも交通の要衝。万博会場となる大阪中心部と京都の中間点でもあり、空飛ぶクルマが離発着する拠点としてふさわしい」などと猛アピールをしていた。
デモフライト後に開催されたセミナーでは、DRONE FUNDの高橋伸太郎氏、空飛ぶクルマを開発する株式会社SkyDrive(愛知県豊田氏)の金子岳史氏、デモフライトを担当した一般社団法人MASC事務局長の坂ノ上博史氏が登壇し、枚方市の可能性などについて見解を披露した。
DRONE FUNDの高橋氏は「万博の成果を大阪湾岸エリアだけでなく、関西地方・日本・世界全体に広げるためには、今の段階から社会システム・産業エコシステムの視点から、空飛ぶクルマについて議論を進めておくことが必要。そのためまずは京阪奈エリアへの広がりを考えることが重要だ。枚方市は立地、歴史、資源において京阪奈を結ぶ重要拠点となり得る。このため、空飛ぶクルマの京阪奈における輸送ネットワークの拠点としての可能性がある」と分析した。また「今から10年後、15年後の未来を見据えた都市計画を進めるか気にしないかで、結果は大きな差として表れる」と述べ、未来を見据えた都市計画を今から進めることを提案した。
SkyDriveの金子氏は、動画をまじえて機体を紹介しながら「裏側では大きな壁にぶつかりながら開発を進めている」と知られざる苦労の一端を披露。「空飛ぶクルマが実現することは、それにふさわしい都市デザインの考え方にも波及する。そしてもっとも大事なのは、空飛ぶクルマは、ありさえすればいいことがおっこるような、魔法の杖ではないということ。何に使いたいのか、どう活用するのかをどれだけ具体的にイメージするかが試される」と、創造力、想像力の結集を呼び掛けた。
MASC事務局長の坂ノ上氏は、セミナー前に開催されたデモフライトの様子や、フライトさせた機体について、8本のアームがあり、それぞれ2組のプロペラが上下に取り付けられ、合計16組のプロペラがあることが、機体名の「216」の由来であるなどの紹介をしながら報告した。途中、デモフライト実現に協力したEhangセールスディレクターのダレン・シャオ氏を壇上にあげて紹介すると、シャオ氏は「Ehangはすでに3万3,000回、人を乗せた飛行実験を実施している。安全性が高く、環境負荷も低減できるので、安心して空の移動のあるシティライフを楽しめる。特に枚方は京都、大阪、奈良の中継点になり得る、導入するには最適な都市」と分析を披露した。
枚方市の伏見市長は、いち早く空飛ぶ車の事実上の誘致に名乗りをあげた理由について「空飛ぶクルマには大きな魅力がある。ただ、魅力があることが広く伝わると、どの自治体も一斉に手をあげることになる。その前に手を挙げておきたかった。それによって実現を近づけたい」と話している。枚方市は今後も、活動を積極化する方針だ。
大阪・関西万博の主催団体である公益社団法人2025年日本国際博覧会協会は2月21日、大阪・関西万博で利用者を乗せた航行の実現をめざすいわゆる「空飛ぶクルマ」の運航事業者が、ANAホールディングス株式会社とJoby Aviation Inc.のグループ、日本航空株式会社、丸紅株式会社、株式会社SkyDriveの4グループ5社に決定したと発表した。また万博会場内の離発着場となるポートの運営を担う協賛企業について、オリックス株式会社が決定したと発表した。運航事業者に選ばれたSkyDriveの 福澤知浩代表取締役CEOは「今後も事業開発、機体開発に推進してまいります」と話している。
運航事業者に決まった4グループはそれぞれが別々の機体を運航する。万博会場では彩り豊かな機体が運航する見込みだ。
ANAHDとJobyは、Jobyが開発する「S-4」、JALは提携する独Volocopterが開発する「VoloCity」、丸紅は、提携する英Vertical Aerospaceの「VX4」を運航する見込みだ。
丸紅は子会社の丸紅エアロスペース株式会社とともに英Vertical Aerospace社と業務提携し、今年1月に25機分をの前払いして購入予約済みだ。同社は空飛ぶクルマの運航を想定したヘリコプターでの模擬体験ツアーを実施するなど、社会実装を視野に入れた取り組みを加速させている。
日本から選定されたSkyDriveは、商用機として発表された「SD-05」を運航させる見通し。同社は万博開催の2025年の事業開始を目指している。
Volocopterには住友商事株式会社が出資を決めており、日本企業のエアモビリティ事業参入機運が加速している。(「住商がVolocopterに出資」の記事はこちら)
SkyDriveは以下のプレスリリースを発表している。
「空飛ぶクルマ」(※1)および「物流ドローン」を開発する株式会社SkyDrive(本社:愛知県豊田市、代表取締役CEO 福澤知浩、以下「当社」)は、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)『未来社会ショーケース事業出展』のうち、「スマートモビリティ万博」における空飛ぶクルマの運航に係る事業者に選定されたことをお知らせいたします。
■2025年大阪・関西万博「未来社会ショーケース事業出展」応募の背景
当社は、「100年に一度のモビリティ革命を牽引する」をミッションに、「日常の移動に空を活用する」未来を実現するべく、2018年7月に設立し「空飛ぶクルマ」を開発しています。2019年に日本で初めて「空飛ぶクルマ」の有人飛行に成功し、2025年の大阪・関西万博開催時に大阪ベイエリアでのエアタクシーサービスの実現を目指して開発を推進してきました。
この実現に向け、大阪を舞台とした空飛ぶクルマの社会実装に向けた動きを加速させるため、大阪府が2020年11月に設立したラウンドテーブルに、当社も設立当初から構成員として参加し、様々なステークホルダーとの連携や事業検討のための議論、地域住民の理解促進や社会受容性を高めるための活動を行ってきました。また、2021年9月には更なる認知度や社会受容性の向上を目指し、大阪府、大阪市と連携協定を締結し、断続的な活動を行ってきました。
この度当社は、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会が実施した、大阪・関西万博の「未来社会ショーケース事業出展」の、会場内ポート及び会場外ポートをつなぐ2地点間での空飛ぶクルマの運航の実施を目指し、運航に係る事業者の募集に応募した結果、選定される運びとなりました。
航路や飛行頻度、機体の稼働台数、サービス提供価格等の詳細は、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会を含む関係者の方々と、順次協議、決定してまいります。
■株式会社SkyDrive 代表取締役CEO 福澤知浩 コメント
当社はこれまで、2025年大阪・関西万博にて、現在設計開発中の空飛ぶクルマ「SD-05」を皆さまにお披露目し、未来を感じていただくことを目指してまいりました。この度、「スマートモビリティ万博」空飛ぶクルマ事業における参加企業に選定いただき、大変感慨深く感じます。これまで様々な形で応援・ご支援くださった関係者の皆さまと、大阪・関西万博を目標に共に励んできた社員の皆に、心より感謝申し上げます。
万博の場に向けた空飛ぶクルマへのご期待を改めて実感し、これからのチャレンジに奮い立つ気持ちでございます。10年後、20年後に当たり前となる「日常の移動に空を活用する未来」を体感し、楽しみにしていただける場となるよう、今後も事業開発、機体開発に推進してまいります。
万博協会のプレスリリースは以下の通りだ。
公益社団法人2025年日本国際博覧会協会は、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)における「未来社会ショーケース事業出展」のうち、「スマートモビリティ万博」空飛ぶクルマの会場内ポート運営の協賛企業を決定しました。また、2022年12月27日より2023年1月20日まで募集(第1次)を行った空飛ぶクルマ運航事業について、参加企業を選定しました。
「未来社会ショーケース事業出展」の各事業については、引き続き多数の企業・団体と協議中であり、新たな協賛企業・団体については順次発表する予定です。
■協賛企業
オリックス株式会社(東京都港区 取締役 兼 代表執行役社長・グループCEO 井上 亮)
■協賛内容
万博会場内の北西に位置するモビリティエクスペリエンスに設置予定のポートの運営 (整備・維持管理・撤去を含む)を実施します。
■参加企業
・ANAホールディングス株式会社(東京都港区 代表取締役社長 芝田 浩二)及びJoby Aviation Inc. (アメリカ合衆国 カリフォルニア州サンタクルーズ CEO JoeBen Bevirt)
・日本航空株式会社(東京都品川区 代表取締役社長執行役員 赤坂 祐二)
・丸紅株式会社(東京都千代田区 代表取締役社長 柿木 真澄)
・株式会社SkyDrive(愛知県豊田市 代表取締役CEO 福澤 知浩)
■事業内容
万博会場内ポート及び会場外ポートをつなぐ2地点間での空飛ぶクルマの運航の実施を目指します。関係自治体や国の関係機関の協力を得て、具体的な取り組みを今後行っていく予定です。本事業の詳細については、今後関係者と協議の上決定します。
<ご参考>▽未来社会ショーケース事業について
未来社会ショーケース事業は、大阪・関西万博のテーマである「いのち輝く未来社会」を支える技術・サービスを、2025年以降の未来を感じさせる「実証」と2025年の万博にふさわしい「実装」の形で、「未来社会の実験場」となる万博会場の整備、運営、展示、催事などに活用し、国内外の幅広い参加者や来場者に、体験として提供する事業群の総称です。
大阪府は実用化に向けて官民を挙げた取り組みが進むいわゆる「空飛ぶクルマ」について理解を深める「空の移動革命シンポジウム」を、2月23日(木・祝)に大阪・堂島のエルセラーンホールで開く。参加は無料だ。ビジネスをテーマにした第一部と、生活面をテーマにした第二部の二部制で、それぞれ第一線で活躍するキーパーソンや著名人、有識者らがパネルディスカッション形式で意見を交わす。第一部にはDRONE FUNDの大前創希共同代表パートナーや、空飛ぶクルマ関連事業を手掛ける住友商事株式会社、兼松株式会社、丸紅株式会社の商社3社の担当者が登壇する。第二部ではテレビプロデューサー結城豊弘氏がファシリテーターを務め、株式会社SkyDriveの川田知果氏、フリーアナウンサーの薄田ジュリア氏、タレントRaMu氏、経済ジャーナリスト須田慎一郎氏、経済ジャーナリスト井上久氏ら多彩な顔ぶれでステージを彩る。DroneTribuneの編集長、村山繁は第一部でファシリテーターを、第二部でパネリストを務める。
シンポジウムは、2025年の大阪・関西万博の開催地として、空飛ぶクルマの実現に向けた取り組みを加速している大阪府が主催する。大阪府は空飛ぶクルマの実現をより確実にするために、より多くの人々が受け入れる社会受容性を重視していて、シンポジウムは大阪府が進める空飛ぶクルマの社会受容性向上策の一環だ。
第一部は「空飛ぶクルマで大阪は儲かりまっか?~空飛ぶクルマが起こす大阪経済の活性化~」をテーマに、関連産業の範囲や展望、参入機会の探索を行う。
登壇する大前氏が率いるDRONE FUNDは、「ドローン・エアモビリティ前提社会の実現」を掲げる関連産業特化型のベンチャーキャピタルで、スタートアップへの資金供給、政府への提言など幅広く活動している。兼松は空飛ぶクルマの離着陸場となるバーティポート(Vertiport)の開発を手掛ける英Skyports社と資本業務提携するなど、空飛ぶクルマ事業に取り組む。丸紅は子会社の丸紅エアロスペース株式会社とともに、乗客が乗れるeVTOL(電動垂直離着陸)の機体を開発する英Vertical Aerospace社と業務提携し、今年2023年1月に25機分を前払いした。同社はすでに南海電鉄などとともにヘリコプターを使った空飛ぶクルマの模擬体験ツアーも開催するなど、社会実装を視野に入れた取り組みを加速している。住友商事株式会社も米Bell社(Bell Helicopter Textron)と業務提携し、日本などで無人物流やエアタクシーのサービスの提供を検討している。
第二部は「ほんまに暮らしが変わるの?空飛ぶクルマ」がテーマで、空飛ぶクルマの実現により生活がどう豊かになるのか、独自の視点を持つ多彩な顔触れが話しあう。
ファシリテーターを務める結城豊弘氏は政治、経済から芸能までの話題を掘り下げる人気バラエティ番組『そこまで言って委員会NP』のチーフプロデューサーを担当するなどの経歴を持つ名物テレビプロデューサー。著名番組のディレクターを務めたほか、自身も取材に飛び回り豊富な情報を持つ。著書も多く、近著『オオサカ大逆転!』(ビジネス社刊、1600円+税)では、大阪・関西万博について「その先では、さらに大阪が飛躍するための可能性に満ちている」と、本人は鳥取県生まれながら、大阪にエールを送っていて、空飛ぶクルマが起こす生活の変化をパネリストから引き出す。
結城氏の進行に応じる登壇者も多彩だ。須田慎一郎氏、井上久男氏は独自の情報網と切れ味鋭い評論で知られる。タレントのRaMu氏は『そこまで言って委員会NP』の出演時に機転の利く発言で出演者をうならせた。フリーアナウンサー薄田ジュリア氏、空飛ぶクルマを開発するスタートアップSkyDriveの開発担当の川田知果とパネリストの半分が女性で彩り豊かな話題が示されそうだ。
■シンポジウム概要
・日時:2023年2月23日(木・祝)、12:30開場、第一部13:30~、第二部14:45~
・会場:エルセラーンホール(大阪市北区堂島、ホテルエルセラーン5F)
・参加:入場無料。公式サイトから申し込み
公式サイトはこちら:https://soratobu-kuruma.jp/symposium.html
第一部予約フォーム:https://pro.form-mailer.jp/fms/63083dfc273991
第二部予約フォーム:https://pro.form-mailer.jp/fms/79f9b157273992
懇親会の予約は、第一部の予約フォーム内で。
いわゆる空飛ぶクルマなどの次世代エアモビリティなどを開発している株式会社SkyDrive(愛知県)は1月24日、兵庫県と、次世代空モビリティとして期待される空飛ぶクルマの早期実現に向けた取り組みを進めるため「連携と協力に関する協定」(連携協定)を締結した。兵庫県は提携の席上、空飛ぶクルマなどの社会実装を進めるため、2025年の大阪・関西万博での飛行実現も視野にいれながら、県として社会受容性の向上、ポート整備支援、事業開発支援の3つの切り口で取り組む方針を発表し、4月からの2023年度以降に「次世代空モビリティ会議」の運営を始める方針を明らかにした。齋藤元彦知事は、「取り組みを通じ、子供たちに夢をあたえたい」と述べた。
SkyDriveは、2025 年の大阪・関西万博開催にあわせて、大阪ベイエリアで空飛ぶクルマを使ったタクシーサービス(エアタクシー)の実現を目指していて、大阪府、大阪市とは2021 年 9 月に「空飛ぶクルマ」実現に向けた連携協定を締結している。これに基づき、社会受容性向上活動や、実証実験を進めている。飛行エリアを淡路島、瀬戸内エリアに広げることも展望していることから、今回兵庫県とも連携協定を結ぶことになった。
連携協定の目的は、「空飛ぶクルマの開発と社会実装に取り組むことにより、科学技術の発展、イノベーションの創出、地域活性化、産業振興、防災・減災及び 2025 年大阪・関西万博に向けた機運醸成を推進すること」。①空飛ぶクルマの機体及び事業開発に資する実証②空飛ぶクルマの社会実装に向けた環境整備③空飛ぶクルマに係る情報発信など社会受容性の向上④空飛ぶクルマに関わる産業のエコシステム形成ーが内容だ。
兵庫県は席上、空飛ぶクルマなどの実装に向けた取り組みを紹介した。短期目標を万博開催時の兵庫県での飛行、長期目標に県内での関連産業のエコシステム形成を掲げ、社会受容性向上、ポート整備支援、事業開発支援の3つの側面について、2023年度、2024年度、2025年度、2035年ごろまでの時系列で取り組み案を整理した。
社会受容性向上について、2023年度内に「次世代ソラモビリティ会議」を設置して諸課題の検討を進める。ポート整備支援では2023年度に候補地を選定、2024年度には事業者の探索を展望する。事業開発支援では2023年度にメーカー以外の運航事業者、サービス事業者なども含めた事業モデルを調査するほか、ヘリコプターでの実証、デモ飛行などの十進を補助する取り組みを進める計画だ。
2025年の万博開催時に大阪・兵庫間や兵庫県内の拠点間移動の実現を見据えるほか、2035年ごろにかけて、使途の多様化、飛行エリアの拡大、ビジネスのすそ野の拡大、開発製造、整備、人材育成などの拠点形成を含めたエコシステムの形成を目指す。
斎藤知事は「社会に受け入れられる乗り物にしたい」と述べた。
■齋藤元彦・兵庫県知事のコメント
兵庫にはベイエリアを中心とする海、山、川という多様なフィールドに加え、航空機産業の集積もあります。これまでのドローンの実証実験で培った知見を活かし、空飛ぶクルマの実現に向けた取組をこれから進めていきます。令和5年度には、空飛ぶクルマの社会実装に向けた予算を確保し、次世代空モビリティひょうご会議(仮称)を立ち上げ、社会受容性の向上、ポート整備支援、事業開発支援を行っていきます。SkyDriveさんとは万博 1000 日前イベントで縁ができ、連携協定締結に至りました。これからも共に歩んでいきます。
■福澤知浩・株式会社SkyDrive 代表取締役CEO のコメント
兵庫県とは、これまで、実験機「SD-03」の展示や講演を通じて、空飛ぶクルマの社会受容性を高めるための活動を一緒に実施させていただいてきました。今回の協定で空飛ぶクルマの関西圏から淡路、瀬戸内へと広域化の実現に一歩近づくことができました。兵庫県は神戸空港やコウノトリ但馬空港もあります。ベイエリアから淡路島にかけては交通需要も見込め、空飛ぶクルマの運航に理想的な場所と感じております。空飛ぶクルマの実現により便利さと楽しさの提供に加え、防災機能の強化、地域活性化など、皆様の期待に応えられるよう推進して参ります。
いわゆる空飛ぶクルマの開発を手掛ける株式会社SkyDrive(愛知県豊田市)は1月10日、独ボロコプター社(Volocopter GmbH)で最高技術責任者(CTO)を2022年12月まで勤めていたアーナウド・コウヴェル氏(Arnaud Coville)を役員として招聘し、2023年1月1日付けで最高開発責任者(Chief Development Officer/CDO)に就任したと発表した。すでに日本で活動を初めている。三菱航空機株式会社出身の岸信夫最高技術責任者(CTO)と手を携え、機体開発を加速、強化し、エンジナリング部門の組織力を高める。なおボロコプターのCTOには、チーフエンジニアとして活躍してきたセバスチャン・モレス氏(Sebastian Mores)が就任している。
SkyDriveのCDOに就任したコウヴィル氏は、2020年5月にボロコプター社に入社し、同年7月にCTOに就任して、先月まで同社の空クル開発を指揮していた。ロボティクスの博士号を持ち、ドイツのドルニエ社を起源に持つアメリカの航空機メーカー、米フェアチャイルド・ドルニエ社、ドイツの航空技術会社、ディール社(Diehl Aerospace GmbH)、空クル開発でも知られる航空機メーカー大手、会社、エアバスグループなど、航空業界でキャリアを重ねた著名エンジニアの一人でもある。
SkyDriveは商用機「SD-05」の型式証明を2021年に申請し、国交省が受理している。コウヴィル氏の加入で、型式証明取得の対応を強化し、機体開発、社内の多くを占めるエンジニアリング組織の体制固めなども加速させる。
発表は以下の通り
「空飛ぶクルマ」および「物流ドローン」を開発する株式会社SkyDrive(本社:愛知県豊田市、代表取締役CEO 福澤知浩、以下「当社」)は、航空機業界で 30 年ほどの経験を持ち、独Volocopter GmbHで最高技術責任者(CTO)を務めたArnaud Coville氏が、2023 年 1 月 1 日に、当社の最高開発責任者(Chief Development Officer/CDO)に就任したことをお知らせいたします。
■ Arnaud Coville氏就任の背景
当社は、2018 年に設立し、「100 年に一度のモビリティ革命を牽引する」をミッションに、「空飛ぶクルマ」と「物流ドローン」を開発しています。空飛ぶクルマ「SD-05」は、2021年10月に型式証明申請が国土交通省により受理された商用機です。2025年の大阪ベイエリアでのサービス開始を皮切りに日本の各地域、海外での事業拡大を目指しています。Arnaud氏は、自動制御とロボティクスの博士号を取得後、航空機業界で 30 年ほどの経験を積んできました。Airbus社では、プログラムマネージャーとしてヘリコプターや大型航空機の開発を推進し、Volocopter社ではCTOとしてeVTOL開発のための新技術開発や組織強化に従事しました。SkyDriveではこれまでの知見・経験を生かし、「SD-05」の機体開発をさらに加速していただきます。
「SD-05」の機体開発を推進するCDOのArnaud氏と、型式証明取得に向けてより一層尽力する最高技術責任者(CTO)の岸信夫が密に連携することにより、当社は引き続き 2025 年の事業開始を目指してまいります。
■ 各コメント
最高開発責任者(CDO) Arnaud Coville氏
SkyDriveは業界を牽引する可能性に満ちた企業であり、この度CDOとして入社したことを誇りに思います。これまで培ってきた、航空機開発に関わる国際的な専門知識やマネージャーとしての経験は、SkyDriveのエンジニアリングチームのさらなる成長と、機体開発の加速に貢献すると信じています。SkyDriveのみなさんと協力し、私たちの最初の商用モデルである『SD-05』が市場で成功することを楽しみにしています。
代表取締役 CEO 福澤知浩
この度、当社の最高開発責任者として、Arnaudさんを迎えられることを大変嬉しく思います。航空機だけでなく、ゼロ→イチの機体開発経験が豊富で、スタートアップでのマネジメントに関する知見も深いArnaudさんのCDO就任は、日本発の空飛ぶクルマを開発するという挑戦を更に前に進めるものだと確信しています。チーム全員の個性・強みを最大限に生かしながら開発を率いていただくことで、当社は引き続き、世界中の人々が日常的に心地よく使えるエアモビリティの開発を推進してまいります。
■Arnaud Coville 氏、略歴
2000 年 7 月 Fairchild Dornier GmbH 入社
2002 年 11 月 Diehl Aerospace GmbH 入社
2005 年 1 月 エアバス・グループ 入社
2015 年 3 月 エアバス・グループ H135 のプログラムマネージャー就任
2018 年 6 月 エアバス・ヘリコプターズ トランスフォーメーション/デジタライゼー
ションプロジェクトマネージャー 就任
2020 年 5 月 Volocopter GmbH Volocity の開発マネージャー就任
2020 年 7 月 Volocopter GmbH 最高技術責任者(CTO)就任