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  • 2022.9.14

    慶應ドロコンの古谷代表と勝又御殿場市長が対談 9月23日に「ドローンデモンストレーション開催

    account_circle村山 繁
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    ドローン研究と社会実装に力を入れている慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム(古谷知之代表)は、静岡県御殿場市の総合体育施設で9月23日(金)にドローンの実演展示会「富士山ドローンデモンストレーション」を開催する。会場の体育施設のうち陸上競技場では、一般市民が出展者によるドローンの飛行を見学できる。デモンストレーションを前に、デモンストレーションの意義や展望について、御殿場市の勝又正美市長と、慶應ドロコンの古谷知之代表が対談した。DroneTribune編集長の村山繁が進行した。

    「絵になる」富士山背景に飛ぶドローン

    ――御殿場市にとって「富士山ドローンデモンストレーション」の開催の意義とは?

    勝又市長 とても楽しみにしています。昨年もこのデモンストレーション(※2021年は「富士山UAVデモンストレーション」として開催)に立ち会わせて頂きました。富士山の麓の高原都市でドローンが飛ぶ姿は素晴らしく、とても絵になります。慶應義塾大学のみなさまが、この御殿場の地で研究開発、人材育成などを通じてドローンの進化に取り組んでおられることが、御殿場のまちづくりの支えにもなっていて、とても感謝しております。その意味でデモンストレーションの開催は広く、大きな意義があると理解しておりますし、大変うれしく思っています。

    ――慶應ドロコンにとって御殿場市で開催する意義は?

    古谷代表 今年もドローンデモンストレーションを御殿場市で開催させて頂くことになり、市の皆様のご協力、ご尽力に感謝申し上げます。御殿場市とわれわれ慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアムとは2019年に、ドローンを中心とする先端技術活用と地域活性化に関する包括連携協定を締結させて頂き、それ以来、ドローン、自動運転などをテーマに、さまざまなロボティクス技術の実用化に関する研究をさせて頂いております。今回のドローンデモンストレーションもその一環です。勝又市長のお話のように、富士山を背景に飛ぶドローンは非常に絵になります。加えて御殿場市は、首都圏に地理的に近いうえ、近隣各都県とも高速道路でつながるアクセスのよさも備え、多くの企業が立地しています。このため産業界のみなさまに声をかけることができ、ロボティクス技術のマッチングを生み出しうる絶好の環境です。デモンストレーションは、実際にマッチングを生み出すきっかけとなるイベントとして、御殿場で開催する意義を強く感じています。

    ■デモンストレーションからマッチングの創出を

    ――今回のデモンストレーションへの期待とは

    勝又市長 御殿場市では民間企業のドローン活用が増えています。教育面では小学生、中学生がプログラミングをはじめ科学に触れる機会があり、それもデモンストレーションが刺激になっています。総合防災訓練ではドローンをいかした取り組みも行っています。そこで感じるのは、ドローンの進歩の速度が目覚ましいことです。毎年、形も中身も進化し、活用法も広がっています。今回のデモンストレーションでその進歩を見ることと、市民のみなさま、全国のみなさまにも御覧頂きたいと思っています。それが、地域産業の活性化、持続可能なまちづくりに生きることを期待しております。子供たちが技術の進歩を目の当たりにすることで、教育効果が高まることも期待しております。

    古谷代表 今回、タイトルを「UAVデモンストレーション」から「ドローンデモンストレーション」に一新しました。今後、空を飛ぶドローンに加え、水中、地上など陸海空のドローンをご覧いただける機会となります。幅広い可能性を感じて頂きたいと期待しております。そのうえで、ドローンをまちづくりや課題解決につなげるために、自治体と地場産業、研究機関と企業とのマッチングが成立すればいいと感じています。是非、地元の皆様、産業会の皆様、多くの皆様にお越し頂き、きっかけとなることを期待しております。

    ――古谷代表がマッチングへの期待を表明しましたが、御殿場市にとってよい効果はありそうですか?

    勝又市長 マッチングは地元経済の活性化を考えるうえで私が一番期待しているところです。農林業にも防災にも幅広く活躍しますので、それを市民や企業、研究者など多くのみなさまにご覧いただき、マッチングが成立すれば、経済効果は高まります。大いに期待したいところです。

    ――熱意の高い地域でデモンストレーションが開催されることは、主催として開催効果を考えるうえでも好ましいのでは?

    古谷代表 その通りです。御殿場市は私どものキャンパス(神奈川県藤沢市)から近いこともありますが、いつ相談に寄っても、市長をはじめみなさまに親身になって頂けることを実感しています。ご相談をもちかけるたびに「御殿場市内にはこういう場所があります」「こういう施設が使えます」とご紹介、ご提案を頂けることもありがたいです。そういった機会も活用させていただきながら、今後も御殿場市で活動を展開させていただきたいなと常々、頃考えております。

    ■「ドローン活用の広がり、市民、市役所内、市内企業にも」(御殿場市・勝又市長)

    ――御殿場市にとって慶應義塾大学と手を携えることへの今後の期待は?

    勝又市長 大いに期待しております。御殿場市は国策にもなっておりますデジタル田園都市国家構想への取り組みを進めており、先行モデル地域となることを目指しております。また、まちづくりに対し科学の進歩やドローンが生かせるところが多くあるとも思っています。まさに慶應義塾大学との連携がいかせるところであると思っております。ドローンを使った取り組みも各方面にアピールしていきたいと考えています。実際、ドローンを使った活動をされる方が市内でも増えてきたことを実感しておりますし、市役所の中にも資格を持つ者が出てまいりました。市内に立地する企業の中にも興味を持っていただくところが増えていて、防災訓練に参加して頂いたところもあります。空からみた渋滞情報は実際に使って訓練をしております。自衛隊にも協力させて頂いております。新しい試みが色々と出てきたと実感しております。

    ■「人材育成にも魅力的な御殿場市」(慶應ドロコン・古谷代表)

    ――慶應義塾大学ドローン社会共創コンソーシアムはドローンをはじめ自律移動ロボットの社会実装を目指して活動しておりますが、御殿場の取り組みは社会実装やまちづくりへの生かし方について、モデルケースになる可能性があるように思えます

    古谷代表 その通りだと思います。特にロボティクス産業を御殿場市と一緒に展開させることで、モデルケースとなりそうです。たとえば御殿場市は、産業立地に強みがあり、それを実際に活かしておられます。私どもが申し上げるまでもなく、さまざまな企業が立地していることからがそれを証明しています。ロボティクス、AI、データ産業など含めてデジタルという観点からも新たな産業誘致を一緒に進め、ロボティクス産業を盛り上げるモデルケースができるのではないかと考えています。物を作り、実験をする取組に参加する自治体は増えてきました。これからは、地域の産業を活性化させ、地域の課題を具体亭に解決する社会実装に局面が移り変わる段階です。社会実装を加速していくエリアとして御殿場市は魅力あるエリアです。また今回のデモンストレーションを開催するにあたり、多くの学生からボランティアとして参加表明がありました。御殿場という場所が魅力的であることもあり、我々の教育の研究拠点としても、新型コロナの感染状況などを横目で見ながら、御殿場市 と取組を進めたいと思っています。

    ――古谷代表は、講演やセミナーなどでドローンを実証実験から社会実装に移すカギとなる要素として、人材育成とインフラ投資を上げています。御殿場市は人材育成とインフラ投資の対象として魅力的だと感じますか?

    古谷代表 とても魅力的です。まず無人機を持ち込んで人材育成をしたい、と話を持ち掛けたときに、御殿場市はきちん共通言語で会話が成立する自治体です。我々にとってとてもありがたい環境です。御殿場市は市長をはじめ市の皆さんが熱意をもっていることの表れと受け止めています。学生に学んでもらうにも適した環境ですし、インフラの整備についても市の皆さんと検討することができたらいいと思います。

    ――御殿場市が慶應と手を携えるうえでの、今後の抱負をお聞かせください

    勝又市長 まず今の古谷代表の言葉は大変ありがたく受け止めました。実はコロナが2年以上続く中で、社会の閉塞感について大変気になっております。特に若者が元気になってこそ街の活性化が進みます。大学生が御殿場で科学技術に取り組む姿を、小、中学生、高校生が目の当たりにすると、閉塞感を打破して元気になるのではないかと期待します。また御殿場市は「御殿場市エコガーデンシティ構想」を策定し、環境をキーワードとした循環社会の実現を目指しています。1/3が山林の高原都市ですので、山林整備が重要で、そこにドローンの技術への期待は高まってまいります。まちづくり、地域活性化、教育の面でも、環境の面でも精力的に取り組んで、古谷代表との枠組みで培った経験を生かして参りたいと思っております。

    ■9月23日はぜひ御殿場に

    ――古谷代表にも、今後、御殿場市との取り組みでの抱負を

     

    古谷代表 我々だけですべての課題の解決できるわけではありませんので、市長をはじめ市のみなさま、そのほかの研究機関、大学のみなさまにも広くお声掛けができたらいいと思っています。ある意味で日本の知の集積地として、御殿場市という地域をうまく使わせていただき、いろんな研究者が集うアカデミアの交流の場にしてなればありがたいと思っております。我々も技術開発も含めて努力して参ります。

     

    ――9月23日にはドローンデモンストレーションが御殿場市総合体育施設の陸上競技場と体育館で開催されます。ドローンが飛行する様子を一般市民が見学できる珍しいイベントだと認識しております。開催に向けたメッセージをお願いします。

     

    勝又市長 これまでもデモンストレーションを開催頂いておりますが、回を重ねるたびに関心が高まっていると感じます。新型コロナに向き合わなければいけない時代になり、その関心の高まりはますます強まっているようにも思えます。市民の間でもドローンのデモンストレーションへの期待が高くなっていることを実感しています、特に若い世代の方、ドローンに関係する企業のみなさま、幅広い層のみなさまに、ドローンの可能性、科学の進歩、 将来性を感じて頂きたいと思っています。ぜひ高原都市、御殿場に足を運んでください。

     

    古谷代表 ドローンが飛ぶところをぜひ、多くの方に直接ご覧頂きたいと思っています。我々のデモンストレーションは、展示するほかに、実際に動いているところを見られるところが大きな特徴です。体験会もご用意しておりますので、ご家族お誘い合わせのうえお越しください。企業、経済界、産業界のみなさまで、これまでドローンと接してこられなかったみなさまにも、どう使えるのか、どう使ったらいいのかなどご相談いただける環境も準備しておりますので、ご関心を持たれた方はぜひお気軽にご来場頂ければありがたく存じます。大勢の方にご来場頂けることを願っております。勝又市長、当日はよろしくお願いします。

     

    勝又市長 こちらこそよろしくお願いします。

     

    ――ありがとうございました。

    AUTHER

    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。
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