住友商事株式会社(東京)が、物流効率化対策を加速している。自動搬送ロボット開発のスタートアップ、株式会社LexxPluss(レックスプラス、神奈川県川崎市)の第三者割当増資に応じる形で出資したほか、消費地近接物流整備「SOSiLA」(ソシラ)について東京23区内で初の施設、「SOSiLA板橋」(東京都板橋区)の稼働が開始したことを発表した。ドローンが目指す物流の課題解消は、多角的な取り組みが進んでいる。
LexxPlussは、物流ロボットの導入が進まない理由を、費用対効果に乏しいことや、作業員と同じ空間で活動できないなどにあると考え、その課題を解決するロボットを開発しているスタートアップだ。同社が開発した自動搬送ロボットは、軌道走行AGVと自律走行AMRの機能を兼ね備える。狭い通路を走行する際や作業員と連携する際に軌道走行機能、ヒトやモノを迂回しながら走行する際には自律走行機能などと使い分けができる。
またRaaS(Robot as a Service)モデルを採用し、従来の買い切り型の代わりにサブスクリプションモデルでサービスを提供して費用対効果の可視化を提案している。
同社は住友商事とともにインキュベイトファンド株式会社(東京)、 SOSV Investments LLC(米ニュージャージー州)から第三者割当増資を受けた。2021年秋に一般販売を予定しておりその対応や人材の採用に取り組む。現在、複数の大手事業者と導入に向けた実験を重ねている。SOSVと住友商事、ITサービスのSCSK株式会社(東京)が共同運営するハードウェア特化型アクセラレータプログラム「HAX Tokyo」にも採択されていて、量産体制構築や海外展開も視野に入れている。
また住友商事が稼働を発表したSOSiLA板橋は、同社の消費地近接型物流施設「SOSiLA」では、シリーズ初の東京23区内の施設だ。住友商事の物流施設としては11番目になる。
同社はEコマース市場の拡大で高まる物流施設需要と、配送トラック、トラックのドライバー、 庫内就労者の不足などの社会課題解決ニーズに対応するため、エンドユーザーに近い場所での物流施設整備を首都圏中心に進めている。
SOSiLA板橋は、延床面積が15,264平方メートルで、 城北エリア(文京区、 豊島区、 北区、 荒川区、 板橋区、 足立区)への多頻度配送を担う。都営三田線、JR埼京線の徒歩圏内の立地で、働き手にとって労働環境に貢献できる。
今後、2020年10月に着工した「(仮称)SOSiLA八潮」(埼玉県八潮市)が2022年4月の稼働を予定している。また2021年4月には「(仮称)SOSiLA中央林間」(神奈川県大和市)に着工する。SOSiLAシリーズで最大規模となり、2022年夏頃に竣工する予定だ。千葉県柏市に「(仮称)SOSiLA柏」向けの開発用地を2020年3月に確保した。
住友商事は物流不動産事業を、同社の不動産事業の中で、物流不動産を、オフィスビル、商業施設、分譲マンションと並ぶ「第4の柱」と位置付けていて、今後も都心や人口が密集するエリアを中心にラストワンマイル対応の物流施設の開発を進め、配送効率化や労働環境の向上に取り組む考えだ。