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  • 2019.11.15

    「アマナ空撮技術コース」スタート 空撮チーム airvision のノウハウが DJI 講 習の「UTC」で

    account_circle村山 繁
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      アマナグループでドローン人材育成やドローン空撮事業を展開する株式会社アマナビはこのほど、DJI の産業用パイロット教育機関「UTC」プログラムのひとつとして開発した「アマナ空撮技術コース powered by airvision」の提供を開催した。空撮を体系的に学べるカリキュラムが特徴で、当日は約 20 人が参加した。運営には DJI JAPAN 株式会社と株式会社 ORSO が共同出資で設立したドローン利活用推進サービスを手掛ける do 株式会社が協力した。次回は 2020 年1月 22日、23日に開催される予定だ。初日の基礎編を見学すると、情報、知識が整理され、経験談が随所で生かされていた。

    カメラの構造、フライトモードの活用、保険も網羅

      「アマナ空撮技術コース powered by airvision」は、空撮サービスチーム「airvision」のパイロットが講師を務める。ドローンの飛行や操作に関する理論を体系的に整理し、実践で活かせるよう技能、知識をわかりやすく伝える講習だ。基礎編と上級編があり、基礎編では、カメラの構造や「解像度」の解説、カメラの設定方法などから、機材の種類、特徴、空撮映像をとるためのポイント、インテリジェント機能とフライトモードの活用、関連法、保険などを網羅している。

      講師らが所属する「airvision」は、映画『魔女の宅急便』の実写版、NHK 大河ドラマ『真田丸』のオープニング映像など、テレビ、映画、CM、ミュージックビデオなどの製作に関わってきた、アマナグループ内のアマナビが結成している撮影チームだ。2011 年からドローン空撮を通じて「情報の見える化」に取り組んでおり、今回のコースでは、これまでの案件での空撮やスクールの運営によって築き上げてきたノウハウを UTC のプログラムのもとで編集し、提供することになった。


      講習の冒頭、do 株式会社の角井洋介氏が登壇し、UTC が DJI の産業用パイロット育成機関であることについて説明した。この中で、「UTCは 2016年に中国で設立され、東南アジア、ヨーロッパ、北米で展開しています。日本では、初心者向けトレーニングや産業利用を目的とした測量系プログラムを中心に提供しています。DJIの技能認定であるDJI CAMPもUTCブランドで展開されています。DJI の機体の特性をいかすノウハウを盛り込んだことが特徴で、先日発表されたばかりの『MAVIC MINI』で空撮がより手軽になる中、講習がレベルの高い作品づくりに役立てることを願っています」とメーカー直結の講習であることを伝えた。

      また、アマナビの児玉秀明代表取締役社長が「ドローンの人材育成を進めており、今回、DJI が設立した教育機関 UTC への参加をお誘い頂きました。2011 年から取り組んでいる空撮のノウハウ、技術、表現を共有させていただきたいと考えております」とあいさつし、参加者の期待を高めた。

    do 株式会社 角井洋介氏

    オープニングにも、場面転換にも 「スパイス的な演出に」

      今回の講習では airvision の深田康介さんが講師を担当。受講者にはテキストが配布され、講習はその順番で順を追うように展開された。

      深田氏は自己紹介のあと、ドローンで撮影された映像が使われた映像を紹介し、「最初から最後までドローンで取られた映像を使う作品は多くなく、むしろ映像を効果的にスパイス的な演出と使われることが多いです」と、解説を加えた。事例として、オープニングタイトルバック映像、場面から場面の転換、客観視点の表現などを例示した。そのうえで「空を飛ぶことはとても特別なことで、落下するリスクを念頭に、安全への意識と向き合わないといけないと思います」と、安全意識を強調した。

    airvision 深田康介氏

      基礎編では、カメラの構造から講義を開始。DJIの ZenmuseX7 を例示しながら、ドローンのカメラが、ジンバルの中にすべてがおさまっているわけではないことや、焦点距離や画角と、その違いによる表現の違いについて、映像をまじえて説明。シャッタースピード、ISO 感度、露出補正、撮影モード、シャッター機構、イメージセンサーのサイズの種類と静止画、動画の画質、動画の場合のフレームレート、フレームサイズ、コーデック、ビットレート、データ保存メディアや規格、ND フィルターについて説明。Mavic2 をはじめ各機体の特徴についても解説が行われ、一とおりの説明後にはスペック表が理解できることを確認した。

      午後には、機材の説明をしたあと実際の airvision の空撮映像を元にカメラワークの基本パターンを説明したうえで、グループごとにシミュレーターを使って実践。airvision の講師がそれぞれのグループを巡回しながら、カメラワークのコツを受講生の動きを見ながら助言した。その後の、法律やルールの解説の中では、申請手続きの実際を、airvision の経験談をまじえて説明。どんな申請をした結果、なにが実現したのかを含めた解説に、参加者は「実践的で現場で役立つ話が聞けた」「これまで独学で空撮業務をやっていたので体系的に学べてとても参考になった。」と充実感をにじませていた。

    受講後にはクリエイター登録が可能に

      アマナ空撮技術コースは基礎編と上級編があり、それぞれ1日。基礎編コースは「あらためて空撮技術と知識を学びたい」、上級編は「空撮による映像表現をさらに磨きたい」と考えているユーザー、愛好家、研究者などに向けて構成してある。上級編では、ダイナミックレンジを活かした撮影法、一人でできる Inspire2 のカメラワーク攻略法、実際の撮影現場での重要ポイント、実践空撮シミュレーション・トレーニングなどが盛り込まれる。受講料は基礎編が 48,000 円(税別)、上級編が 68,000 円(税別)。基礎編+上級編は98,000 円(税別)。次回は 2020 年1月に開催する。

      プログラム受講後にオンラインテストに合格すると、修了証が発行される。また受講者特典として、アマナグループの株式会社アマナイメージズが運営す
    るストックフォト販売サービス(https://amanaimages.com)の静止画・動画クリエイターとして、登録が可能になる(要審査)。

      アマナビは一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の認定校でもあり、JUIDA 認定スクールの中でもっとも多くの卒業生を輩出するなど実績を重ねている。こうした実績は、このコモースでも、効率的でわかりやすい指導や運営に発揮されていた。すでに実績があるアマナビだが、この日講師をつとめた深田氏は、より役立つ講習にするため、直前一週間はこのコースのため
    にかなりの準備を重ねて当日にのぞんだという。深田氏は「終わりはないと考えているので、今後もさらにブラッシュアップして、みなさまのお役にたちたい」と意欲を見せていた。


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    AUTHER

    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。