「第2回ドローンサミット」は9月8日、五島列島の福江島(長崎県五島市)から長崎市の工業団地まで約100㎞の海上航路を固定翼のドローンで空送する実験を公開した。荷物を下ろす地点では飛来したドローンがパラシュートで荷物を切り離し、目標地に正確に届けた。ドローンはそのまま引き返し、出発地まで往復で200㎞をトラブルなく飛行した。この様子は投下地点である神ノ島工業団地(長崎市)でメディアや長崎県の馬場裕子副知事らが見守ったほか、サミット会場である出島メッセ長崎に用意されたモニターで中継され来場者が見入った。投下地点では馬場副知事がドローンで届けられた福江島の「鬼鯖鮨」を味わい、うなずきながら「ニーズはあり、支援したい」などと話した。
ドローンが出発したのはこの日の午前9時20分ごろ。海を隔てた長崎市に向け海洋の上空100mの高さを時速100㎞で飛行し、午前10時20分ごろに投下地点の上空に姿を見せた。投下目標地点に近づくと上空30mまで高度を下げて、目標地点真上で容器を切り離した。荷物は備えられたパラシュートを開いてゆっくりと降下し、目標地点に正確に着いた。
ドローンは荷物を切り離したあと旋回して出発地に引き返した。福江島から長崎市まで片道約100㎞。東京なら熱海までの距離に相当する。この日は往復で約200㎞の飛行を達成した。
スタッフがドローンに運ばれた容器に傷みがないことを確認し、中から福江で作られた「鬼鯖鮨」を取り出すと、投下地点で見守っていた長崎県の馬場副知事が試食した。馬場副知事は「おいしいです。ドローンを使うことで高付加価値の県産品を広く食べてもらえる可能性があります。今後に期待が持てます。(離島に限らず、長崎)県内にも離島や斜面地が多いので、日用品を配送できるドローンはニーズがあります。県としても(利用促進を)支援したいと思います」などと話した。
そらいいなは2022年4月に発着拠点を福江島に整備して離島への医薬品配送をスタート。その後、スーパーと協力して日用品や食品などの配送もはじめた。配送エリアは80㎞圏内だ。ただし今回は片道100㎞に及び、そらいいなで運航責任者であるHead of Operationを務める土屋浩伸氏は「われわれにとってもチャレンジングな飛行でした。実験ではうまくいっていましたが、気象条件など環境要因も関係することでもあるので、今回、無事にミッションを遂行でき、ほっとしています」と話した。
今後も対象品目の拡大や収益力向上のための配送頻度増加に取り組む。
「第2回ドローンサミット」では長崎県が主催、パーソルプロセス&テクノロジー株式会社が特別協賛した「若者ドローンアイデアコンテスト」の受賞者が発表された。予め事務局が選出した一次選出作品を会場に展示し、サミット来場者の投票によって、部門ごとにグランプリ、準グランプリ、特別賞(知事賞)が決定した。
高専・大学生・大学院生部門では、防災利用を『飛んで被災地!~道なき道で人の安心を使う』としてまとめた慶應義塾大学の宮下空唯さんが知事賞に、路面電車とAAMとを組み合わせた移動改革『路面電車×eVTOL』を発表した長崎大学大学院工学研究科の大篠泰志さんがグランプリに選ばれた。
長崎県サミットは2日間で3858人(長崎県発表)が来場した。