東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本、東京)は、3月27日にまちびらきを迎える東京都港区の大型再開発プロジェクト、TAKANAWA GATEWAY CITY(高輪ゲートウェイシティ)で、将来的に利用者を空から運ぶAAMを発着させる構想に関連し、導入検討を表明している米ASKA社の機体「ASKA A5」を「中長距離の移動を前提」と位置づけ、中距離以外の距離を飛ぶ機体として他の事業者の参画も視野に入れていることを明らかにした。また離発着ポートについて、将来開発するビルの屋上をポートに活用することも検討していると明かした。
TAKANAWA GATEWAY CITYは、JR品川車両基地の跡地のJR東日本が主導する再開発プロジェクトで、国際交流拠点としてのMICE施設(コンベンション、カンファレンス、ビジネス支援施設)やオフィス、商業施設などが整備される。「100年先の心豊かなくらしの実験場」を掲げ、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを展開する。
JR東日本はTAKANAWA GATEWAY CITYについて、将来的に「プレミアム国内観光」のためにAAMを発着させる構想を描いていることをすでに表明している。機体として米ASKA社の陸空両用AAM、「ASKA A5」の導入を検討している。DroneTribuneの取材に対しJR東日本は「ASKA A5」の導入検討の経緯について、「首都圏(高輪)からアクセスが難しい観光地への接続が可能になる航続距離があることから、同社と高輪開発との親和性があると判断しました」と回答し、「ASKA A5」の航続飛行距離が250マイル(約400㎞)あることが判断材料となったことを示した。
またJR東日本は「ASKA A5」の運用について「中長距離の移動を前提」に検討していると表明。目的地として「航続距離である400㎞圏内のJR東日本エリアの観光地などを想定しています」と話している。
このため中距離以外の距離の移動について「他の事業者の参画も視野に検討を進めています」と述べ、他の機体の導入を検討する可能性があることを明らかにした。
実際、JR東日本グループは岩手県岩手郡雫石町の小岩井農場で建設中の高付加価値ホテル「AZUMA FARM KOIWAI」について、「新たな体験価値創造」のひとつとして株式会社SkyDrive(豊田市<愛知県>)の機体を活用して、盛岡~ホテル間の送迎や、周辺観光のツアーを行うことを検討していると公表している。SKYDRIVEが開発している機体は小型であることが特徴のひとつで、ASKA A5と使い分けができそうだ。
なおTAKANAWA GATEWAY CITYでのAAMの離発着場所については、「将来開発用地となっている品川方面の開発エリアを想定」していて、「将来的には、将来開発で生み出されるビルの屋上での離発着も視野に検討」しているという。着工時期は「未定」だ。
話題豊富なTAKANAWA GATEWAY CITYは3月27日にまちびらきを迎え、当面は関連サービスを提供するなどのイベントを展開する。ASKA A5の三分の一サイズのモックアップも展示する計画だ。