公益財団法人総合研究奨励会・日本無人機運航管理コンソーシアム(JUTM)は11月14日、福島ロボットテストフィールドで、ドローンを活用した警備の実験を行った。用途別のガイドライン作成が目的で、この日は警備のための運用を想定し、イームズロボティクス株式会社、綜合警備保障株式会社(ALSOK)も参加した。また実験にはイームズロボティクスの「UAV-E6106FL」を使った。
この日は、福島ロボットテストフィールド内の、住宅、ビル、交差点などを再現した「市街地フィールド」と呼ばれる一角でドローンを飛ばして巡回警備を実施。警備の現場から100メートルほど離れた場所に警備本部を設け、ドローンの挙動のモニタリングや操縦者との連絡の可否、ドローンから送られてくる映像から異常の有無などを確認した。
ドローンはボタン操作ひとつで自動離陸。あらかじめプログラムされた通り飛行。市街地フィールドを高度15メートルほどで高さを維持し、ビルのエリアでは自動で高度をあげた。住宅やビルの場所では、建物をまわりこんで監視、ドローンのカメラがとらえた映像は、リアルタイムで警備本部に伝送され、室内のモニターに映し出された。本部では、ドローンの挙動確認の役割を担う担当者と、映し出された映像から異常を見つける役割を担う担当者の2人1組体制で対応。ドローンが警備をしている「市街地フィールド」にいるパイロットと連絡を取り合った。
ドローンのカメラがものかげに隠れていた不審者役を見つけた様子がモニターに映しだされると、警備本部で待機していた異常検知担当者が「不審者を発見。警察に連絡」とパイロットに連絡。パイロットはドローンの捜査を手動に切り替えて不審者をカメラでとらえて行方を追い、警察官役がかけつけるまでの様子を確認した。事態が収束すると、ドローンは自動航行に戻り警備コースを巡回し、作業後に離着陸地点に戻った。一連の実験の様子は、JUTMの鈴木真二代表も見守った。
この日の実験は、ドローン操縦について一定の技能を持ち、これから警備事業に参入しようとする事業者が主な対象。少子化を背景に、省人化させながら、有効で効率的な警備を実現させるために必要な要件を洗い出すことが今回の実験の目的で、得られた知見を整理したうえで、ガイドラインにまとめる。ガイドライン作成は公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構の委託事業で、前日の11月13日にも、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)が、空撮や緊急医療輸送の領域でガイドラインをまとめるための実験を実施した。
実験会場となった福島ロボットテストフィールド所長も務める鈴木真二代表は「福島ロボットテストフィールドには、災害現場を模擬したフィールド、実験設備も整い、陸海空のロボットの研究開発、実証実験がいっしょにできます。陸海空がすべてできるのは世界にも例がないの整った設備です」と活発な利用を促した。