JUIDAが福島RTFでプラント点検向け実験 ガイドラインとして来春公表

2019.12.12

 一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は12月11日、実験環境が整う福島ロボットテストフィールド(福島県南相馬市)で、ドローンによるプラント点検を想定した実験を実施した。実験結果は、3月に公表を予定している産業用ドローン運用ガイドラインに盛り込む。

クラックスケールの0.1ミリ未満も見える映像

映像ではクラックスケールの0.1ミリ未満の線も確認できた

  実験は公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構からJUIDAが受託した事業で、ブルーイノベーション株式会社が運用するELIOS2を、同社のオペレーターが運用して行った。

  実験にあたりJUIDAの鈴木信二理事長はこの実験について「ドローンの具体的な使用法を検討する実験」と位置付けるコメントをビデオメッセージで寄せた。また熊田知之事務局長も「RTFを有効に活用し、ドローンの発展につながるガイドラインをまとめたい」とあいさつし、作業を請け負ったブルーイノベーションの熊田貴之社長は「屋内で飛ばせるドローンの開発に力を入れてきたのでガイドライン作成に有効な成果をあげたい」と抱負を述べた。

  実験は福島RTFの「プラント棟」と「試験用トンネル」で行われた。点検の作業員が肉眼で行うひびわれなどの損傷の有無やねじのゆるみなど不具合の有無を確認する作業について、実験チームがドローンで代行。得られた結果をガイドライン作成に反映させる。今回は、狭小空間での点検、近接点検、目視外飛行による点検をテーマにした。

  「プラント棟」の1,2棟では、はりめぐらされた配管の損傷確認を、ドローンで実施。プラントの配管内に人が立ち入らないで作業することを想定し、操縦者は離れた場所から遠隔操作で、配管設備に進入し、手すりや配管の間を縫うように飛行。ねじの取り付け部分に接近して確認したり、あらかじめはりつけられたひびわれの大きさを確認するためのクラックスケールをカメラでとらえたりした。

  同じプラント棟の5階にある試験用煙突では、作業中に途絶しがちな電波を電波増幅アイテムの設置で途絶回避の可能性を探った。試験用トンネルでは内部の照明を落とした中で、ドローンが飛行できるかどうかを確認。ドローンはクラックスケールの数字を読み取ったり、トンネル内の空気の対流を促すジェットファンの取り付け具合を確認したりした。なおジェットファンは通常、秒速30メートルの強風を送り出すが、試験用トンネルでは運用はしていない。また、トンネルでの作業ではあったが、有毒ガスの発生が見込まれる密閉空間の状況をドローンで確認することなども想定した。

  実験後にはドローンが撮影した映像を確認。配管、煙突、トンネルなどでドローンが目的の映像を撮影していた。国土交通省道路局国道・技術課が平成31年3月にまとめた「橋梁定期点検要領」では、コンクリートのひびについて、0.2ミリ以上を「大」、0.1以上、0.2ミリ未満を「中」、0.1ミリ未満を「小」と分けている。映像では点検要領の「小」にあたる、クラックスケールの0.1ミリは明瞭に確認でき、それよりも小さい0.08ミリ、0.06ミリ、0.04ミリ、0.03ミリも確認できた。ただし、「どの程度見えることが『見えた』ことになるのか、議論の分かれる余地もあるので今後、事業者とのすりあわせも必要になる」と、慎重に判断する方針だ。

  一連の作業の結果は、その他の実験結果などとあわせて3月に公表するガイドラインでまとめる。作業では「ELIOS2」ではないドローンを使うこともあるため、ガイドラインでまとめるさいには標準の要件となるように詰めていくという。実験を見学した中央官庁からはプラントやプラントを持つ企業の声も反映させるよう要望があり、今後検討していく方針だ。

配管部分で隙間を縫うように点検飛行するドローンELIOS2
ねじのゆるみなどを点検
トンネル内を点検。ジェットファンは止まっている
プラント棟の外壁も点検
ビデオでメッセージを寄せたJUIDAの鈴木真二理事長
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