福島県、公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構福島ロボットテストフィールド(RTF)、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は4月6日、合成樹脂や合成繊維など石油化学製品を生産する石油化学プラントの点検にドローンを活用するさいの、現場作業の要領をまとめた実務マニュアル、要点をまとめたチェックリスト、点検に従事する人材の育成に向けた教育カリキュラムを作成し公表した。
公表したのは「プラント点検分野におけるドローンの安全な運用方法に関する実務マニュアル」、 「プラント点検分野におけるドローンの安全な運用方法に関するチェックリスト」 、「ドローンを用いたプラント点検事業者教育カリキュラム」の3点。プラント点検でドローン利活用を加速させることが目的で、RTFが「福島ロボットテストフィールドを活用した無人航空機利活用事業者認定とパブリックセーフティのあり方に関する調査事業」をJUIDAに委託していた。
「実務マニュアル」は、点検のためにドローンを飛行させるさいに共通する全般的な留意点と、「屋外俯瞰飛行」「屋内外近接飛行」「屋内暗所飛行」「屋内外目視外飛行」のそれぞれの飛行を行う場合の留意点を整理した作業現場での手引き。ドローン導入促進を後押しするとともに、事業者認定の基準となることも見込まれている。「チェックリスト」は留意事項を一覧にまとめた表で、運用時にもれなく確認するさいの活用を想定した。「教育カリキュラム」は点検を安全に遂行するために必要な技能と知識の体系で、RTFを利用した実技訓練方法が盛り込まれている。
石油化学業界は、事故防止、品質の維持・工場、生産効率の維持・向上のため、設備の点検は業務上不可欠で、多くの設備は点検を関連法で定めている。一方で人手不足、高い技能を持つ経験者の引退など保安力の低下懸念が指摘されている。点検の保安力を維持するため、新技術の活用が期待されていて、ドローンで安全にプラント点検が行うようにするための基準や運用方法が求められている背景がある。
このため総務省消防庁、厚生労働省、経済産業省で構成する「石油コンビナート等災害防止3省連絡会議」は3月27日、カメラを搭載したドローンによる点検作業の指針となる「ガイドライン」を改訂して「ver2」を公表。ドローンの適用範囲を屋内にも拡大し、ドローンの点検が目視点検の一部を代替できることを明示した。
一方で、現場の状況に応じて飛行方法を使い分ける必要があり、今回飛行方法ごとの留意事項を整理した。
マニュアルには策定にあたってRTFで実施した実験の概要もまとめてある。
RTFの紹介ページ、
JUIDAの紹介ページ