株式会社SkyDrive(豊田市<愛知県>)は4月9日、大阪・関西万博の報道陣向け公開日である「メディアデー」で、万博期間中にデモ飛行を計画している機体「SKYDRIVE(SkyDrive式SD-05型)」の実機を初公開し、万博会場内ポート「EXPO Vertiport」で飛行させた。報道向け公開飛行では、操縦士を乗せない遠隔操縦でポートの敷地をゆっくり離陸し、地上から高さ5 mの低高度を前進、転回するなどの動きを見せた。報道陣のほか会場関係者も含め幅広い年齢層の観衆が見守り、「カッコいい」「すごいやん」「見なあかんやつ」の声が上がった。SkyDriveは万博期間中に来場者向けの一般公開も計画している。
飛行が公開された「SKYDRIVE(SkyDrive式SD-05型)」の実機は、これに先立ち3月28日に公開されたフルスケールモックアップとほぼ同一のスタイルだ。仕様は同じながらキャビンの窓ガラスや、搭乗者用のシート、エクステリアの一部がより実践向けになっていることが分かる。
デモ飛行会場となった万博会場内の「EXPO Vertiport」には、多くのメディア関係者のほか、開幕直前の会場会計者らが集まり、フェンスの向こうに置いてある機体を見つけると「やばっ。かっこいい」「初公開?これ見なあかんやつ」と期待を寄せる声が聞かれた。子供連れの若い夫婦は子供から「見たい、見たい、飛ぶところ見たい」とせがまれていた。
上空をヘリコプターが旋回する中であいさつに立ったSkyDriveの福澤知浩代表取締役CEOは「3人乗りのタイプ飛行は初めてで楽しみしております。この機体はサービスを開始するタイプの機体なので大阪の上空で飛ぶ様子を想像していただければうれしいです。また音もヘリコプターの約3分の1です。(上空を見て)あのヘリコプターが飛んでいるあたりまで上昇すると音は(地上では)ほぼ聞こえません。そのあたりも体感頂けると思います。万博で多くの方に見てもらって、わくわくしてもらうことが大事だと思っています。そのうえで乗ってみたいとおっしゃっていただけることを目指します」と述べた。
飛行前には係員が「Wi-Fiやスマホの電源をOFFにしていただくか、機内モードに、と周囲に協力を呼び掛けていた。
報道陣に向かって左向きでポートに待機した機体は、午後5時にローターが回り出し、重低音とともに機体が離陸。5mほど上昇したところで姿勢を維持し、数メートル前進して、90度左旋回して報道陣に正面を向けるなどの動きを見せた。この日の飛行は、事前に当局から許可がおりているポート敷地内に限定されたが、約3分50秒の飛行の間、報道陣のカメラや、居合わせた関係者らのスマホが追いかけ続けた。機体が元の位置に着陸すると観衆から大きな拍手があがった。
福澤CEOは「成功だったと思います。万博は『未来社会の実験場』という観点で新しいテクノロジーを実装する様子をご覧いただく機会になるので、それに先立ちフライトができたことはとても意義が大きいことだと思っています」などと感想を述べた。
今後は夏に予定している二地点間運航や、万博の一般来場者の前での飛行に向けて準備を進める方針だ。
デモ飛行終了後には関西電力株式会社(大阪市)がEXPO Vertiport内に整備した充電設備を使って充電する様子も公開された。充電設備は電源装置、冷却装置、電源を最適に制御する制御装置であるエネルギーマネジメントシステム(EMS)で構成される。充電設備からのびたケーブルは制御装置を経由して、そこから機体の左側面の電源口につながる。SkyDriveは通常8割までの充電をしていて、その場合には約20分で充電が終わるという。
SkyDriveがデモ飛行直後に公開したプレスリリースは以下の通り。
~豊田市の自社開発施設での飛行試験や開発の映像も初公開~
「空飛ぶクルマ」の開発およびドローン関連サービスを提供する株式会社SkyDrive(本社:愛知県豊田市、代表取締役 CEO 福澤知浩、以下「当社」)は、2025 年4 月 9 日(水)に開催された 2025 年日本国際博覧会(以下、大阪・関西万博)のメディアデーで、空飛ぶクルマ「SKYDRIVE(SkyDrive 式 SD-05 型)」の公開フライトを行ったことをお知らせします。また、併せて豊田市にある自社開発施設での飛行試験や開発の映像を公開いたしました。
■公開フライトについて
2023 年 2 月に、大阪・関西万博『未来社会ショーケース事業出展』の「スマートモビリティ万博」における空飛ぶクルマの運航事業者に選定され(※2)、大阪・関西万博を当社の最重要マイルストーンと設定し、機体開発に邁進してまいりました。
2024 年より愛知県豊田市の自社飛行試験施設にて飛行試験を積み重ね、安全性を十分に確保した上で、本日、2025 年夏に予定している二地点間飛行・周回飛行に先んじて、万博会場内ポート「EXPO Vertiport」にて「SKYDRIVE(SkyDrive 式 SD-05 型)」の公開フライトの実施となりました。
高度は約 5 m、飛行時間は約 4 分間、パイロットは搭乗せず、自動制御とリモート操縦での安全を徹底した運航となりました。
■豊田市の自社開発施設での飛行
豊田市の自社開発施設での試験飛行の様子を公開しました。本映像の機体は、大阪・関西
万博の会場にて飛行を行った「SKYDRIVE(SkyDrive 式 SD-05 型)」と同じ型式の初号
機です。
■開発ストーリー動画も公開
開発の軌跡とエンジニアの姿を伝える動画を公開しました。ぜひご覧ください。
■コメント 株式会社 SkyDrive 代表取締役 CEO 福澤 知浩
当社は、「100 年に一度のモビリティ革命を牽引する」をミッションに、創業以来、機体開発・事業開発に邁進してまいりました。2020 年 8 月には、日本初の空飛ぶクルマの公開有人デモフライトに成功(※3)、それを機に、グローバルで多くの方に当社を知っていただきました。以降、株主や顧客の皆さまをはじめ多くの方のご支援を賜り、前進することができた結果、本日、ここ大阪・関西万博の会場にて、空飛ぶクルマ「SKYDRIVE」をお披露目できたことを、大変嬉しく思っております。改めて、様々な形で応援・協働いただいているパートナーの皆さま、関係者の方々、深く感謝いたします。そして数々の困難に立ち向かい日々チャレンジを続ける SkyDrive のメンバー全員にお礼を言いたいと思います。空飛ぶクルマは、CO₂排出を抑えた、持続可能な社会に向けたクリーンモビリティであり、また静粛性に優れており、街に馴染むエアモビリティです。これから幕を開ける大阪・関西万博では、「日常的に空を移動する未来」を感じていただきたいと思います。なお、大阪においては、Osaka Metro 様と「新大阪・梅田」「森之宮」「天王寺・阿倍野」「ベイエリア」の 4 つのエリアを結んだ「大阪ダイヤモンドルート構想」を発表しました。このように、万博後の社会実装に向けた計画も日本各地で進んでおります。引き続き、空の移動革命を現実のものとするため、機体開発、事業開発に尽力してまいります。
空飛ぶクルマとは:電動化、自動化といった航空技術や垂直離着陸などの運航形態によって実現される、利用しやすく持続可能な次世代の空の移動手段です。諸外国では、Advanced Air Mobility(AAM)や Urban Air Mobility(UAM)と呼ばれています。引用元:国土交通省(令和 6 年 4 月付) https://www.mlit.go.jp/koku/content/001739488.pdf
株式会社SkyDrive(豊田市<愛知県>)は、山口県山口市で重ねてきたリハーサル飛行を収めた動画を公開した。
リハーサル飛行は、山口県山口市の「山口きらら博記念公園」内に設けた飛行試験場で春から行われていて、動画には大阪・関西万博のデモフライトに使われるSD-05が離陸し、移動し、向きを変えて飛行するなどの様子が納められている。
大阪・関西万博では7月31日から8月24日まで、火、水曜以外の原則週5日の予定で、来場者の前で飛行する様子を公開する。
建設設備大手の三機工業株式会社(東京)は7月11日、グループ会社、有限会社キャド・ケンドロ(仙台市)と共同で狭小空間ドローン開発の株式会社リベラウェア(Liberaware、千葉市)のドローンとレーザースキャナを併用した既存設備の3Dモデル化するデジタル化手法を確立したと発表した。Liberawareも同日、三機工業に「IBIS2」を「導入した」と発表した。
三機工業は設備更新や模様替えなどのさいに、現場を3Dモデリングし、現状を把握してから取り組む。完成後の更新や追加工事で現状が図面通りになっていないことが多く、作業の妨げになるおそれがあるためだ。しかし天井裏などでダクトや配管が込み入っている場合に、すべての設備にはレーザーが届き切らずに十分な3Dモデルができあがらない場合がある。こうした課題を乗り越える手法の開発を進めているところ、今回、ドローンとレーザースキャナを併用してデジタル化する手法を開発した。
同社が実施した実用化検証では、IBIS2とレーザースキャナを併用した場合、従来の3Dスキャン手法と比べ、機械室などの天井の無い空間の場合、認識できた建築部材が約135%、天井の一部が解体された天井裏空間で約400%向上したという。
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丸紅株式会社(東京)は7月8日、大阪・関西万博でデモフライトを披露する計画を公表している英ヴァーティカルエアロスペース社(Vertical Aerospace Group Ltd.)開発の5人乗りAAM「VX4」について実施を「見送る」と発表した。英国で行われているVX4試験機での有人飛行試験で判断したという。
丸紅は発表の中で「現在英国で行われているVertical社製VX4試験機による有人飛行試験の進捗状況から、大阪・関西万博でのデモフライトへの対応を見送ることとなりました」と伝えた。VX4のキャビンを再現したモデル空間は予定通り万博会場に出展し、8月から搭乗体験を実施する予定という。
また丸紅が万博で飛ばすもうひとつの機体、米LIFT AIRCRAFT社(以下、「LIFT社」)製の1人乗り機「HEXA」については、デモフライトを近く再開させる方向で調整中だ。HEXAは4月26日のデモフライト中に部品が落下したためデモフライトを中断して原因究明を続けている。
その結果「モーター搭載箇所の部品について、サプライヤーが仕様と異なる素材の部品を誤って供給していたことが判明」したと説明し、「当該部品の交換およびその他重要部品の再点検を完了した上で、再発防止策として、LIFT社において部品の受領・品質管理について包括的な監査を実施し、必要な工程について改善したことを確認しました。関係機関の許可を以て、今後大阪・関西万博でテストフライトを実施し、十分に最終確認を行った後、安全を最優先として関係機関および関係各社と協議・判断し、デモフライトの再開に関しては改めてお知らせいたします」と伝えている。
丸紅は大阪・関西万博でのAAM運航事業者4グループのひとつだ。
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英ロックバンド、オアシスの再結成後初のコンサート会場となるウェールズの首都カーディフのプリンシパリティ・スタジアムで現地時間7月2日、ドローンで形作られた「OASIS」のロゴが浮かび上がった。ツアーは7月4日に始まり、11月まで世界各国をまわる。ツアー初日を翌々日に控えたドローンの演出はオアシスの公式アカウントで公開されている。
ドローンのロゴは公演開始前に上空に描かれ、オアシスの再結成ツアー開催を祝福し、喜ぶファンの気分の高揚に貢献した。
オアシスは1991年にマンチェスターで結成され、7000万枚以上のアルバムを売ったロックバンドだ。2009年に解散したが昨年2024年に再結成した。再結成後初のコンサートツアーが7月4日にはじまり、北米、南米、オーストラリア、韓国など各地をまわる。2025年は11月23日のサンパウロ公演で幕を閉じる予定だ。日本公演も10月に予定されている。チケットはいったん予定枚数の販売を完了したが、機材席の解放による追加販売が決定し、7月12日正午に抽選の受付を開始する予定だという。
音楽シーンとドローンとは、MV撮影、ライブ映像撮影、演出としての屋内ドローンショーなどの例があるなど縁があり、今後も活用の幅が広がる可能性がある。
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AAM開発の米ジョビー・アビエーションは6月30日、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイでパイロットが搭乗し、垂直離着陸の固定翼飛行を実施した。ジョビーは「2026年に最初の乗客を運ぶ」と2026年のサービス開始を目指している。ジョビーは開催中の大阪関西万博で「運航事業者」にもなっている。
ジョビーによるドバイでの飛行は、「piloted, vertical-takeoff-and-landing wingborne flights」で、パイロットが乗り、垂直離着陸をしたうえで、機体の固定翼で移動した飛行で、「eVTOL分野では初めての取り組み」としている。ジョビーはこの飛行を通じて、ドバイ地域での商用市場準備の取り組みを開始したことも明らかにした。ジョビーは直接運航、航空機販売、地域パートナーシップを商業化戦略の3本柱と位置付けていて、今回の試験飛行が「重要な一歩」と話している。
試験飛行はドバイ道路交通局、ドバイ民間航空局、UAE民間航空総局と連携して実施された。またドバイ道路交通局長官兼理事会会長のマタール・アル・タイヤー会長が立ち会った。
ジョビーは、ドバイ国際空港(DXB)、ペルシア湾の人工島であるパーム・ジュメイラ、現在建設が進められている世界第2の面積の人工のマリーナであるドバイ・マリーナ、超高層ビルブルジュハリファで知られるドバイ・ダウンタウンでの商業サービス導入を目指している。バーティポートはすでに建設が進められている。
ジョビーはDXBからパーム・ジュメイラまでをエアタクシーサービスで移動した場合、移動時間は12分で、45分かかる車での移動時間が大幅に短縮されると見込んでいる。
ジョビーがエアタクシーサービスで使う機体は電動で、パイロット1人と最大4人の乗客を乗せ、最高時速200マイル(約320km)で輸送できる設計と説明していて、ジョビーは「短時間の通勤、小旅行、地域間のシームレスな移動のために、より速く、より静かで、より便利な空の旅を提供します」と話している。
ジョビーの発表はこちら
東京株式市場グロース市場で7月2日、ACSL株がストップ安となった。午前9時29分にいったん1187円で寄り付いたがその後も売りが殺到し、再び取引の成立したない売り気配で推移した。ACSLは前日の7月1日、前CEOによる不適切取引判明を発表していて嫌気を誘ったとみられる。
ACSL株は取引き開始前から売り注文を集めていて、取引開始がはじまったしばらく値が付かないまま推移した。午前9時29分に値幅制限いっぱいいの、前日終値比300円安のストップ安となる1187円で取引が成立したが、その後も売りは止まらず、再び取引が成立しない展開が続いた。
ACSLが7月1日に発表した「お知らせ」はこちら