観光振興の増強に力を入れる静岡県が6月4日、県職員や民間の観光事業者、県内各地の観光関係者を対象にセミナーを開催し、株式会社ドローンエモーション代表の田口厚さん、ドローンパイロットでモデル、ライターとして活躍する“絶景トラベラー”はぴさやさん(髙橋早矢歌さん)とともに、DroneTribuneの村山繁も登壇してまいりました。平日の昼間の県庁庁舎内の開催で、アルコールもカラオケもないのに、会場は出席者の地元愛とドローンへの好奇心とで大いに盛り上がりました。
静岡県でのドローンセミナーの開催は、昨年11月に続き2度目。「ドローンセミナー&トークPIT 旅の魅力を倍増!ドローン空撮による絶景体験セミナー」がテーマでした。静岡は日本を代表する観光名所、観光資源を豊富に抱えていますが、その魅力をさらに高めることができるのではないだろうか、そのほかにも魅力を発掘できるのではないだろうか、という問題意識があり、それにドローンの活用が解決策を提示できる可能性があるのではないか、と思い立ったことが、このセミナーの開催のきっかけでう。県庁関係各課のほか、県内自治体職員、県内の観光関連企業、団体などから25人ほどが参加されました。
セミナーでは、前回開催をきっかけに行われた空撮イベントが報告され、地域魅力化の取り組み事例として、コスト感まで含めて示されました。この日のメインスピーカーである田口さんが企画したイベントで、SNS上で活躍するインフルエンサーがドローンを使って場所の魅力を発信した成果が紹介されました。
それに続いて登壇した田口さんは、ドローンを飛ばして、いつもの風景を、日常生活ではみることのできない視点から見直すことで、新たな風景にみえることや、魅力が高まること、それが絶景と感じる可能性があることが伝えれました。ただし、ドローンを飛ばすうえでは、その場所やその場所にいる人々への配慮が不可欠で、ルール上は航空法や民放などの制約があることも伝えられました。そのうえで、いくつもの煩雑な手続きを踏まずに手軽に撮影手続きをすませる仕組みとして、「そらチケ」を創設したことを説明。パッケージにしてツアーの参加をつのることなどの事例を示し、活用を呼びかけました。
このほか、憧れられている影響力のある人が発信した映像や、知人・友人の投稿に大きな力があること、灯台で有名な場所でその近くにあるキャベツ畑の映像が話題を集めるなど、すでに有名な場所とは異なる場所に絶景候補地が隠れている可能性があること、撮影者は風景の美しさを壊さないよう映像にうつらないよう工夫するものの、旅行を楽しんでいる人、または旅行中の自分を風景にとけこませ、自分を風景にする方法も有効であることなどをについて、事例をふまえて紹介しました。この中で影響力あるインフルエンサーらを「絶景トラベラー」と位置づけ、彼らの拡散力が強いことを強調。旅行者にはこのほか財力のある「おぢさん」、行動力のある「旅行大好き女子」などに分類でき、それぞれの特性を理解するとツアー商品の狙いが定まることを伝えました。
また、各地の魅力を発信しているはぴさやさんは、風景で着ていく服を選ぶことを説明。出会える景色の中の自分のうつりかたを想像して、服を選んでいると話し、セミナーのときに持ち寄ったスーツケースをあけて、実際の荷物を説明しました。ドローンのパイロットでもあるため、小さいドローンをいつもポーチにいれて持っていくという習慣も披露しました。
村山もこれまでの取材経験から地域にドローンがもたらした効果などについていくつかの事例を紹介しました。
セミナーのあとには、参加者をグループ分けして、絶景トラベラーにおすすめするポイントをプレゼンするワークショップを実施。7つの班にわかれて戦略を練り、途中、他の班の検討経過をさぐれる「偵察タイム」を設けるなどして交流もはかりながら、参加者同士で地域の魅力化と、それにドローンを持ち込む可能性について活発な意見交換を行いました。
終了後、講師をつとめた田口さんは、「参加者の参加意欲が高く手ごたえが大きかった。これをきっかけに具体的な活動がはじまるように思えました」と話していました。DroneTribuneはドローンが適切に運用され、日常的な選択肢として溶け込む「ドローン前提社会」の実現を応援しています。今後もこうした機会があれば、講演、シンポジウムなどの企画に関わってまいります。