ドローンの大規模展示会「Japan Drone 2020」を主催する一般社団法人日本 UAS 産業振興協議会(JUIDA)と株式会社コングレ(東京)は、9月29、30日に千葉市の大型展示場、幕張メッセで開催する「Japan Drone 2020」の「概要発表会&出展者説明会」を開催した。感染対策を重視し、人が集まりやすい開会式や、ネットワーキングパーティーを取りやめ、講演はオンライン聴講を併用する。感染者が発生した場合や、いわゆるソーシャル・ディスタンスの確保が困難に状況になった場合などの開催中止基準も策定し、安全確保に最善を尽くして開催に臨む。展示では今後、大型化が予想される中で初の「大型ドローンゾーン」を設置し、会期中に8000人の来場を見込む。
「概要発表会&出展者説明会」は7月21日にオンラインで開催され、JUIDAの鈴木真二理事長が「新型コロナウイルスの感染拡大対策に最善の努力をし、新たな展示会を開催」、コングレの武内紀子代表取締役社長が「いい事例としての展示をしたい」と、感染症リスクが顕在化する中での催事のありかたを目指す考えを示した。
会期は9月29、30日の2日間で、当初3月に開催を予定していた計画の3日間から短縮する。120組の出展を予定しており、説明会開催時で104組の申し込みを受けている。来場者は2日間で8000人(登録ベース)を見込む。当初計画の2万人より少ないものの、講演、セミナーなどの「コンファレンス」に2000人のオンライン参加(同)を見込むなど非接触での開催効果拡大を模索する。
入場には準備、搬入時間などを目的とした立ち入りも含めて、出展者、関係者、来場者を問わず全員に事前登録を義務付ける。このため入場料について、公式には「入場料2000円(税込)。事前来場登録により無料」と案内されているものの、無料になる事前登録が義務化されていることから、入場料2000円が聴取されるケースは事実上、存在しないことになる見込みだ。事前登録は8月上旬に開始する。
開催内容は「国際展示会」と呼ぶ展示、デモフライトなどのショー系と、「国際コンファレンス」と呼ぶ講演、シンポジウム、セミナーなどトーク系とに分けられる。
展示では今回初めて「大型ドローンゾ-ン」が設けられる。すでに5団体の出展があるという。デモフライトゾーンも設け、機体、機器の動きを肉眼で確認できる。展示会場と同じホール内に375跡のコンファレンスルームを用意し、153を着席可能とする。100席を設置し46を着席可能にするオープンステージも設け、出展者によるワークショップを開催する予定だ。飲食の提供は見送る。
「国際コンファレンス」は、「有料」、「無料」があり、それぞれインターネットで同時中継する。「有料」コンファレンスは、会場で聴講する場合に1本あたり前売り1500円、当日3000円。インターネットで聴講する場合は1000円だ。8月上旬から公式ページで事前登録のうえ購入する。有料コンファレンスを会場で聴講する場合、正規料金は1本あたり3000円だが、9月18日までにチケットを購入すれば半額での1500円が適用される。9月19日以降には正規料金となる(9月16日追加)。
このほかか出展者と来場者などを結ぶビジネスマッチングサービス「オンライン商談予約システム」を無料提供し、商談機会の獲得を支援する。公式WEBサイトでは、出展者が動画を埋め込めるようにするほか、有料オプションとして商品を掲載できる機能も設けた。
説明会は出展者向けの連絡事項や、注意事項、感染対策などへの質疑応答などが行われた。
説明会では、「感染拡大に万全を」「しっかりと感染拡大対策」と感染拡大対策に尽力する姿勢を居趙した。参加者からの質疑に応え、来場者次第では、入場規制を行う考えのあることを明言した。会場内ではスタッフが見回り、マスク非着用者、ソーシャルディスタンスルールなどの非遵守者の有無を確認する方針などが示された。
主催者は今回のイベントにあたり、一般社団法人日本展示会協会がとりまとめたガイドライン、会場である幕張メッセのまとめたガイドラインに沿った運営を行うと表明。
万が一の事態にも備え、開催の可否を判断する基準も策定した。判断基準は行政判断や会場の危険度など5項目で構成され、1から3のいずれかに該当した場合、または、4、5のいずれかに該当した場合には、会期中でも中止を判断する。
<開催可否の判断基準> (1)東京都、千葉県での感染者が増加し、政府関係機関、自治体からの開催自粛要請が 出た場合 (2)業界団体である日展協ガイドラインに沿った運営体制が組めない (3)開催期間中にコロナ感染者が出てしまった場合 (4)県をまたぐ参加者の行き来ができない状況 (5)開催期間中であっても参加者同士の距離が充分取れない場合→ソーシャル・ディスタンスの確保が不充分
JapanDrone2020は、感染リスクが収束しない中、非接触の可能性を追求しながら、産業振興を後押しする催事となる。
建設設備大手の三機工業株式会社(東京)は7月11日、グループ会社、有限会社キャド・ケンドロ(仙台市)と共同で狭小空間ドローン開発の株式会社リベラウェア(Liberaware、千葉市)のドローンとレーザースキャナを併用した既存設備の3Dモデル化するデジタル化手法を確立したと発表した。Liberawareも同日、三機工業に「IBIS2」を「導入した」と発表した。
三機工業は設備更新や模様替えなどのさいに、現場を3Dモデリングし、現状を把握してから取り組む。完成後の更新や追加工事で現状が図面通りになっていないことが多く、作業の妨げになるおそれがあるためだ。しかし天井裏などでダクトや配管が込み入っている場合に、すべての設備にはレーザーが届き切らずに十分な3Dモデルができあがらない場合がある。こうした課題を乗り越える手法の開発を進めているところ、今回、ドローンとレーザースキャナを併用してデジタル化する手法を開発した。
同社が実施した実用化検証では、IBIS2とレーザースキャナを併用した場合、従来の3Dスキャン手法と比べ、機械室などの天井の無い空間の場合、認識できた建築部材が約135%、天井の一部が解体された天井裏空間で約400%向上したという。
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丸紅株式会社(東京)は7月8日、大阪・関西万博でデモフライトを披露する計画を公表している英ヴァーティカルエアロスペース社(Vertical Aerospace Group Ltd.)開発の5人乗りAAM「VX4」について実施を「見送る」と発表した。英国で行われているVX4試験機での有人飛行試験で判断したという。
丸紅は発表の中で「現在英国で行われているVertical社製VX4試験機による有人飛行試験の進捗状況から、大阪・関西万博でのデモフライトへの対応を見送ることとなりました」と伝えた。VX4のキャビンを再現したモデル空間は予定通り万博会場に出展し、8月から搭乗体験を実施する予定という。
また丸紅が万博で飛ばすもうひとつの機体、米LIFT AIRCRAFT社(以下、「LIFT社」)製の1人乗り機「HEXA」については、デモフライトを近く再開させる方向で調整中だ。HEXAは4月26日のデモフライト中に部品が落下したためデモフライトを中断して原因究明を続けている。
その結果「モーター搭載箇所の部品について、サプライヤーが仕様と異なる素材の部品を誤って供給していたことが判明」したと説明し、「当該部品の交換およびその他重要部品の再点検を完了した上で、再発防止策として、LIFT社において部品の受領・品質管理について包括的な監査を実施し、必要な工程について改善したことを確認しました。関係機関の許可を以て、今後大阪・関西万博でテストフライトを実施し、十分に最終確認を行った後、安全を最優先として関係機関および関係各社と協議・判断し、デモフライトの再開に関しては改めてお知らせいたします」と伝えている。
丸紅は大阪・関西万博でのAAM運航事業者4グループのひとつだ。
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英ロックバンド、オアシスの再結成後初のコンサート会場となるウェールズの首都カーディフのプリンシパリティ・スタジアムで現地時間7月2日、ドローンで形作られた「OASIS」のロゴが浮かび上がった。ツアーは7月4日に始まり、11月まで世界各国をまわる。ツアー初日を翌々日に控えたドローンの演出はオアシスの公式アカウントで公開されている。
ドローンのロゴは公演開始前に上空に描かれ、オアシスの再結成ツアー開催を祝福し、喜ぶファンの気分の高揚に貢献した。
オアシスは1991年にマンチェスターで結成され、7000万枚以上のアルバムを売ったロックバンドだ。2009年に解散したが昨年2024年に再結成した。再結成後初のコンサートツアーが7月4日にはじまり、北米、南米、オーストラリア、韓国など各地をまわる。2025年は11月23日のサンパウロ公演で幕を閉じる予定だ。日本公演も10月に予定されている。チケットはいったん予定枚数の販売を完了したが、機材席の解放による追加販売が決定し、7月12日正午に抽選の受付を開始する予定だという。
音楽シーンとドローンとは、MV撮影、ライブ映像撮影、演出としての屋内ドローンショーなどの例があるなど縁があり、今後も活用の幅が広がる可能性がある。
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AAM開発の米ジョビー・アビエーションは6月30日、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイでパイロットが搭乗し、垂直離着陸の固定翼飛行を実施した。ジョビーは「2026年に最初の乗客を運ぶ」と2026年のサービス開始を目指している。ジョビーは開催中の大阪関西万博で「運航事業者」にもなっている。
ジョビーによるドバイでの飛行は、「piloted, vertical-takeoff-and-landing wingborne flights」で、パイロットが乗り、垂直離着陸をしたうえで、機体の固定翼で移動した飛行で、「eVTOL分野では初めての取り組み」としている。ジョビーはこの飛行を通じて、ドバイ地域での商用市場準備の取り組みを開始したことも明らかにした。ジョビーは直接運航、航空機販売、地域パートナーシップを商業化戦略の3本柱と位置付けていて、今回の試験飛行が「重要な一歩」と話している。
試験飛行はドバイ道路交通局、ドバイ民間航空局、UAE民間航空総局と連携して実施された。またドバイ道路交通局長官兼理事会会長のマタール・アル・タイヤー会長が立ち会った。
ジョビーは、ドバイ国際空港(DXB)、ペルシア湾の人工島であるパーム・ジュメイラ、現在建設が進められている世界第2の面積の人工のマリーナであるドバイ・マリーナ、超高層ビルブルジュハリファで知られるドバイ・ダウンタウンでの商業サービス導入を目指している。バーティポートはすでに建設が進められている。
ジョビーはDXBからパーム・ジュメイラまでをエアタクシーサービスで移動した場合、移動時間は12分で、45分かかる車での移動時間が大幅に短縮されると見込んでいる。
ジョビーがエアタクシーサービスで使う機体は電動で、パイロット1人と最大4人の乗客を乗せ、最高時速200マイル(約320km)で輸送できる設計と説明していて、ジョビーは「短時間の通勤、小旅行、地域間のシームレスな移動のために、より速く、より静かで、より便利な空の旅を提供します」と話している。
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東京株式市場グロース市場で7月2日、ACSL株がストップ安となった。午前9時29分にいったん1187円で寄り付いたがその後も売りが殺到し、再び取引の成立したない売り気配で推移した。ACSLは前日の7月1日、前CEOによる不適切取引判明を発表していて嫌気を誘ったとみられる。
ACSL株は取引き開始前から売り注文を集めていて、取引開始がはじまったしばらく値が付かないまま推移した。午前9時29分に値幅制限いっぱいいの、前日終値比300円安のストップ安となる1187円で取引が成立したが、その後も売りは止まらず、再び取引が成立しない展開が続いた。
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株式会社ACSLは7月1日、今年4月30日に退任した鷲谷聡之前代表取締役CEOが不適切な取引を行っていたとして、全容解明のため外部の弁護士と社外取締役の4人で構成する特別調査委員会を設置したと発表した。ACSLは業績に与える影響は精査中で、過年度業績への影響はないと見込んでいる。特別調査委員会7月中旬をめどに最終報告書をまとめる見込みだ。
ACSLによると前CEOによる「個人的な経済状況に関する懸念」が3月に浮上し、4月に社内調査に着手した。調査で「(前CEOが)代表取締役の立場を個人的に悪用して、2025 年3月から、一部業者との間で実態のない不適切な取引を行っていた事実が判明」したという。ACSLは全容解明、厳正な対処、再発防止策構築を目的に7月1日の取締役会で特別調査委員会設置を決議した。
ACSLは「特別調査委員会による調査に全面的に協力し、早急に調査を進めてまいります。また、特別調査委員会による調査の結果、明らかとなった事実関係等につきましても、受領次第速やかに開示いたします」とコメントしている。
ACSLの発表はこちら。