ドローン開発、製造の株式会社ACSL(東京)の株価が、急回復している。ACSL株は4月5日の東京株式市場で続伸し、一時、前日終値比147円高の2339円を付けた。3月24日の上場ら安値である1319円から6週間足らずで77%超上昇した。それまでの悪材料の出尽くしや懸念材料の一服に加え、話題の新型機「SOTEN(蒼天)」の出荷開始、ACSL機をベースにした物流専用機「AirTruck」の受注開始などが買い材料になったとみられる。4月4日に東京株式市場の再編に伴ってスタートした東証した東証グロース市場の銘柄として同市場の成長をけん引することになりそうだ。
ACSL株は4月5日、前日K終値比58円高の2250円で寄り付いたあと堅調に推移し、一時2339円をつけた。後場に利益確定売りに押し戻されたものの前日終値比129円高の2321円で取引を終えた。
ACSLは、情報漏洩対策が強化された小型空撮機SOTENの出荷を3月18日に開始した。SOTENは昨年12月7日に受注を開始、3月18日の出荷開始時点で初期ロットの600台を超える受注を抱えていて、追加生産が決まっている。
また3月17日には、新物流専用ドローン「AirTruck」の受注を開始している。AirTruckは、物流専用機ACSLと株式会社エアロネクストが共同開発した機体で、ACSLの機体をベースに、飛行時に荷室が傾かないエアロネクストの重心制御技術「4D GRAVITY」を搭載し、荷物配送に必要な機能を装備させた機体で、山梨県小菅村や新潟県阿賀町など各地の課題解決に寄与する取り組みとともに、機体性能の実証を重ねてきた。ACSLは中期経営計画の中で用途特化型機体に注力することを明言しており、今回、物流特化型機体の量産化実現したことになる。
ACSL株は、ウクライナ危機、欧米の金利引き上げ観測と実施、半導体不足などの地合いの悪さに巻き込まれたうえ、ACSLが2月14日に決算と同時に発表した減資(無償)について悪材料視されたことも重なり、2月以降ほぼ一本銚子で下落。3月24日には一時、2018年に上場して以来の安値である1319円を付けていた。
政府はすでにドローンや空飛ぶクルマ事業を重視する方針を打ち出しているほか、とりわけ日本で生産される機体に期待を寄せていると伝えられていることから、悪材料に見舞われたACSLは、足下では追い風をうけて事業を進めることになりそうだ。