自律航行ドローン開発の株式会社ACSL(東京)は1月20日、第三者に割り当てる新株、無担保転換社債型新株予約権付社債、新株予約権の発行による資金調達を決めたと発表した。割当先は投資ファンドCVI Investments, Inc.(ケイマン諸島)で、1月20日付で買取契約を結んだ。ACSLの調達額は権利が行使された場合で約35億6000万円(費用をのぞくと34億円強)になる。調達した資金は研究開発などに充て戦略実現を加速する。
資金調達についてACSLは研究開発に従来水準の投資をする方針である一方、現金と現預金の合計額が前年度に比べて14億円減っていて、「戦略の実現を加速させるための資金調達が必要である」と判断したと説明している。新株は1株あたり1539円で、ACSLは東京証券取引所での2022年12月20日から2023年1月19日の終値の単純平均の10%割り引いた価格にあたり、発表直前である2023年1月19日の同社株の終値(1654円)の93%にあたると説明している。
調達資金の使い道は①用途特化型機体及びプラットフォーム機体の開発・評価などの研究開発(約19億円)②海外事業拡大のための研究開発費を含めた運転資金(10億円)③ドローンの自律飛行のための地上局向けTAKEOFFソフトウェアの開発(5億円)で、それぞれ2023年2月から2024年12月までを支出予定時期としている。新株予約権が支出予定時期までに行使されず、調達額が予定に届かなかった場合には、使い道の優先順位に応じて活用する一方、自己資金の充当、別の資金調達を模索したうえで、支出額を調整する。
新株発行を伴う資金調達は既存株主の財産価値を希薄化する効果を持つことから、ACSLは、株式への転換が分散化される可能性のある方法を選択しており、希薄化の影響を抑制することを念頭に置いている。調達した資金が業績向上をもたらせば、株価上昇を通じて株主価値向上につながる。
またACSLは1月13日、約4億880万円の特別損失を計上したことを発表した。投資先企業の収益力低下にともなう評価損を計上することにしたためで、集計中の2022年12月31日で締めた決算について、2022年11月に公表していた業績予想の当期純利益を、21億5000万円の赤字から、25億5800万円の赤字に下方修正した。