教育用ドローン教材「DRONE STAR」シリーズを展開する株式会社ORSO(東京)は11月8日、同社の「DRONE STAR プログラミング」に新機能「WithAI回答機能」を搭載したと発表した。ユーザーが「円を描くように飛ばしたい」などの指示をフォームに入力すると、AIがビジュアルプログラミング用のブロック構成を自動で生成する。数秒でプログラムが完成し、「約30秒後には実際にドローンを飛ばせる」という。AIが生成したプログラムをもとに構造を学ぶ「逆引き型の学び」を提案し、教育現場での成果実感獲得支援や導入ハードルの引き下げを目指す。提供開始時期は今後正式に発表される見通しだ。
ORSOによると、新たに搭載した「WithAI回答機能」は、ユーザーが自然文で入力した指示をAIが解析し、最適なブロック構成を自動生成する機能。ユーザーはコードや命令文の意味を一つずつ覚えなくても、AIが生成したプログラムを即座に実行してドローンを飛ばせる。たとえば「ゆっくり上昇して円を描いて着陸して」と入力すれば、その指示をもとにしたブロックプログラムをAIが数秒で組み上げる。学習者はその構成を確認しながら、どのブロックがどの動作に対応しているかを考察したり理解したりできる。
DRONE STAR プログラミングは、命令を表すブロックをドラッグしてタイムライン上に配置する「ビジュアルプログラミング」方式を採用している。直感的な操作でプログラムの流れを学べる点が評価されている。一方で、学校の授業で使う場合に生徒がブロックの意味や順序を理解するまでに時間がかかり、初回授業でドローンを飛ばすまで30分以上を要するケースもあったという。新機能「WithAI回答機能」の搭載により、この「飛ばすまでの時間」を数分から数十秒に短縮でき、学びの入口をより体験中心に変えることができる。
ORSOは「AIが生成したプログラムを教材化する」ことで、従来の積み上げ型学習に加え、AIの回答例をもとに構造を理解する「逆引き型学習」を提案する。これにより、初心者でも短時間で成果を実感でき、学習意欲を高めながらプログラミングの基礎理解へと自然に進める新しい教育モデルの確立を目指す。
DRONE STARブランドは、2016年にORSOと株式会社エルの共同プロジェクトとしてスタート。国家資格の操縦練習機「DRONE STAR TRAINING」や、試験環境を再現した「トレーニングマット」など、ドローン教育に特化した教材群を展開してきた。プログラミング教材はその中核に位置づけられ、小学校から専門学校まで幅広く利用されている。今回のAI機能は、同社が推進する新事業「WithAIプロジェクト」の一環で、AI研究者・清水亮氏(UEI代表)をアドバイザーに迎えて開発が進められた。
ORSOは今後、WithAI技術の応用領域を拡大する計画で、初期クライアント企業を5社限定で募集している(問い合わせ、相談はこちら)。教育分野にとどまらず、業務支援やクリエイティブ領域でのAI連携も視野に入れており、AIを「人の学びや創造を支える伴走者」として位置づける方針だ。
ドローン、プログラミング、AIの技術を組み合わせた今回の取り組みは、教育とテクノロジーの接点に新たな方向を示す可能性がある。AIが作ったプログラムを使うことで終わらせず、それを理解し、改良していく学びのプロセスは、次世代の教育現場の可能性を広げそうだ。

