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  • 2021.9.29

    エアロセンスが、VTOL「エアロボウイング」と有線4Kの「オンエア」を実演 佐部社長、直接解説

    account_circle村山 繁
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     ドローン開発のエアロセンス株式会社(東京)は9月28日、茨城県守谷市でVTOL機「エアロボウイング」と4K中継向け有線給電の回転翼機「エアロボオンエア」の飛行を実演した。エアロボオンエアは光ファイバーなどの複合ケーブルを機体につなぎ、外部電源から電源を受けてバッテリー切れを気にすることなく安定して飛行し、機体のカメラで撮影した4K映像をほぼ遅延なくディスプレイに映し出す高い中継性能を披露した。エアロボウイングは、垂直に浮き上がると、姿勢をかえず高速で水平飛行をし、短時間で広範囲の測量を済ます能力を示した。

    エアロボオンエアの鮮明な4K中継画像に参加者も感嘆

    光ファイバーなどの複合ケーブルにつながれて飛行するエアロボオンエア。ケーブルは自動巻き取り式でたわむと巻き取りが始まる

     実演会にはエアロセンスの佐部浩太郎社長や、技術、営業などの実務担当者が参加。佐部社長は自動航行のミッションをつくるなど作業にあたったほか、集まった関心層、事業者層など約20人の前で、機体の仕様や特徴、運用上の利点について説明した。

     エアロボオンエアは、4ローターの回転翼機。外部電源とケーブルで接続して使う。ケーブルの重量が機体の一か所に集中しないよう、力を分散させる付属部品を取り付けて、飛行に干渉しない設計になっている。ケーブルは約100メートルで、機体は原則、この範囲で稼働可能だ。ケーブルの引き出し口から垂直に上昇すれば地上から100メートルの上空に滞在できることになる。この日も機体を飛行させると、するすると安定して上昇し、上空50メートルで安定して静止する様子を見せた。

     特筆すべきは、機体から送られてくる映像の品質だ。4Kカメラからの映像はケーブルを通じて、ディスプレイに鮮明な映像を映し出す。独自に開発したジンバルが機体の揺れを吸収し、映し出された映像には揺れがまったくみられない。ドローンに撮影されたさいに手を振るなどをすると、目の前のディスプレイの映像がほぼ遅延なく映し出されることが確認できる。この日の実演でも映像に「これはきれい」「安定してますね」などと言いながら参加者がディスプレイをのぞき込む姿がみられた。すでに音楽イベントやスポーツイベントの中継などで活用実績がある。

     2020年3月には全面刷新し、機体に搭載している電源降圧モジュールの小型化などで630gの軽量化と、耐風性能の7m/sから10m/sへの向上を果たした。防滴防塵性能も「IP43」に引き上げており、災害時の状況を時間の経過をたどりながら確認するさいに頼れる。

     建設などの無人化施工現場で、建設機械の操作に必要な映像機材としても活用されている。建設機械を遠隔操作するオペレーターに、現場のなめらかな映像を届けることで、従来課題とされている建設機械の動きの確認や、周辺確認を可能にした。

     佐部社長は「外部電源を使えるため被災地の推移を見守り続けることができる。その様子は鮮明な映像でリアルタイムに確認でき、カメラを動かしたり、ズームにしたりすることができます。災害頻発エリアなどの防災対策にお役に立てるとも考えています」と話した。

    エアロボオンエアから送られた映像は遅延なく鮮明だ

    荷物も搭載可能、マルチスペクトルもOK エアロボウイングのマルチミッションぶり披露

     エアロボウイングは、流線形の固定翼に5つの回転翼が取り付けられているVTOL機。4つのプロペラが浮上を可能にし、尾翼部分のプロペラで水平飛行の推進力を得る。バッテリー2本を搭載し約40分飛べる。時速70~75㎞が巡行速度で、1回の飛行で最大約50㎞飛べる。翼が脱着式で専用のボックスに入れて持ち運ぶことが可能だ。使用時には翼、回転翼などを取り付け、電源を入れる。

     機体の動きは予めミッションをセットアップして定める。機体側のセンサーが正確に作動するよう準備をすれば、あとは始動の指示を出せば、離着陸も含めて自動で離陸し、指示した所定の高さまであがると水平飛行にうつる。飛行は滑らかで、この日は飛行エリア上空を8の字を描いた。広範囲の測量や、地形確認、3Dモデル作成などに有効だ。機体の重心に荷物を収納することもできるほか、マルチスペクトルの複眼カメラを搭載し大規模圃場での精密農業などの用途も想定する。

     この日の実演では飛行エリアを8の字を描くように飛行するミッションを設定。飛行前のセンサーの働きを調整するキャリブレーション作業のさいには、佐部社長が、「今はGPS、加速度センサー、ジャイロ、地軸計、気圧計といったセンサーをすべて統合して自分の位置を把握することができるよう、お互いをチェックしあう照合作業をしています。これでOKとなれば、自律で飛ばせることになります」などと解説。調整し終えると、機体は4つのプロペラで垂直に離陸し、高度40メートルで静止し、水平飛行に移ると、一気に加速して滑るように安定飛行を見せた。

     佐部社長は、「2.4GHzの通信で接続されていて、オンボードの映像はこちらに表示しています。このように周囲の状況を確認しながら飛行できます」「LTEモジュールも搭載していまして、両方同時に使うことができます」などと説明をすると、取り囲んだ参加者たちが頷きながら、空を見上げていた。

     エアロセンスは今後もデモフライトなどを通じて機体とシステムの有効活用を模索し、中継、監視、災害、点検、農業など各産業への貢献する方針だ。

    滑空するように飛ぶエアロセンスのVTOLエアロボウイング
    エアロボウイングの飛行を見守る参加者
    エアロボウイングの機体を説明するエアロセンスの佐部浩太郎社長(左)
    フライト前の確認作業をするエアロセンスの佐部社長(パソコン前)
    ケーブルにつながったまま上昇するエアロボオンエア
    エアロボオンエアのケーブル接続部。ケーブルの重さや引っ張る力が飛行に影響を与えないよう留め具がついている
    安定した飛行を披露したエアロボオンエア

    AUTHER

    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。
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