一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は1月21日、インターネットを通じてオンライン記者会見を開き、2021年の抱負や重点事業の説明、最近の活動などについて説明した。プラント点検や森林など業種別の専門操縦技能での人材育成、地方事業などに力を入れる。また鈴木真二理事長は毎年恒例になっている新年のスローガンとして、2021年を「災害活躍元年」と表明した。
会見は鈴木理事長が説明し、その後、参加者からの質問に応じる形で進んだ。説明の中で鈴木理事長は2021年の重点事業を、新市場創出、雇用創出、地方創生、国際展開、社会貢献の5点に整理。新市場創出はJUIDAが「応用教育」と呼ぶ「専門操縦士証明証」の発行が柱で、すでにプラント点検について運用を初め、森林測量についても運用準備に入っている。鈴木理事長は「スクールの力も借りて広めたい」と説明した。対象領域の拡大の可能性については、「国の制度設計とかみあう必要がある。トレーニングする動きが出てくれば可能性がある。物流や点検などで可能性があると感じる」と話した。
またジュニア世代向けのドローンを活用してプログラミングの知識を身に着ける「ドロミングラボ」を監修したことにも触れ「若い方々に親しんで頂ければと考えている」と述べた。
雇用創出では、専門操縦士証明証を取得した操縦士向けのビジネスマッチングや、6月の開催を準備している大規模展示会「JapanDrone2020」の活用などを検討していることを明かした。
そのほか、地方創生ではJapanDroneスタイルの展示会の地方開催、国際展開では、認定スクールの海外展開、社会貢献で自衛隊と締結した包括災害防災協定の活動強化などをあげた。国際展開の中では、操縦トレーニングの国際標準化に向けた活動が紹介された。
毎年年頭に公表しているその年のスローガンについて、鈴木理事長は「2021年は災害活躍元年、としてみました」と発表。「豪雨、豪雪などの中でいかに活用するか。一部ではすでに災害対策が始まっており、実際に本格的に活用する年になってほしい。コロナも災害。災害時に人を明日けるドローンであってほしいと考えている」と述べた。
質疑応答では、レベル4環境の整備について、鈴木理事長は「ドローンがフレキシブルに飛ばせるようになることがメリット」と指摘。環境の一環として国家資格となる操縦ライセンスについては「どのような方策がよいか検討しているところ」と述べた。一方、実際に有人地帯を目視外での飛行が実現するかどうかについて「国と進めているのは、(レベル4飛行の)制度をつくること」と述べ、具体的な機体の飛行については「個人的には2022年には難しいのではないかと思う」と、実際の飛行は数年先ではないかと予想した。
新型コロナウィルスの感染が広がる中でのドローンの役割については、各国で啓蒙や消毒液散布などにドローンが活用されている事例を紹介し、「物流面でも自治体主導で出始めており事業として成長されるのではないか」と期待した。
JUIDAは例年、例年1月に「新春パーティー」を開催し、会員や関係者があいさつを交わし情報交換をしている。2021年は新型コロナウィルスの蔓延による感染拡大対策を徹底するために、開催を見送り、それに代わり新年の記者会見を開催した。