一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は1月25日、記者会見を開き、2022年の活動方針などを発表した。ドローンの展示会「第7回JapanDrone」の開催に合わせ、空飛ぶクルマなどを念頭に置いて新たに「第1回次世代エアモビリティEXPO」を併催することを正式に発表した。主催するJUIDAと株式会社コングレは、両展示会の概要説明会を1月28日にオンラインで開く。またJUIDAは日本に関心を寄せる海外事業者に、日本の事業者を紹介する「グローバルビジネスマッチング」事業を4月に始めることも公表した。現在、準備を進めている。このほか、2022年に解禁が予定されている「レベル4」実現への支援や、国際標準化への取り組みに尽力する考えを表明した。JUIDAの鈴木真二理事長は活動スローガンについて「ドローン社会実装元年」を掲げた。
JUIDAは毎年1月、ドローン産業に関わる関係者の賀詞交歓の場として「新春パーティ」を開催している。今年は新型コロナウイルスの蔓延を受けて「新春パーティ」の開催を見送り、かわりに記者会見を開催した。記者会見では、鈴木真二理事長が事業方針や現状について報告し、参加者からの質問に答えた。
現状については、定款の変更、会員数、国際連携などについて報告した。定款変更は昨年7月に行われ、空飛ぶクルマなどを念頭に「次世代移動体システム(AMS)」を活動対象に書き加えた。会員は2022年1月時点で個人、法人、公共団体をあわせて20238件と2万を突破した。国際連携は広がっていて、MOU(覚え書き)の締結先は22か国・地域の32団体に及ぶ。
また2022年度の方針としては、第1回次世代エアモビリティEXPO開催、レベル4実現支援、社会実装、国際標準化支援などを表明した。第1回次世代エアモビリティEXPOは、従来「JapanDrone」の特別企画として設けていた大型ドローンゾーンを拡大、独立させた展示会。28日に概要を説明する予定だ。レベル4実現支援では、国が導入する国家資格について、運用の仕組みや試験などで検討に協力する。
このほか国際標準化支援でも、活動を拡大する。JUIDAは標準化を検討する国際標準化機構(ISO)内でドローンについて検討する委員会「ISO/TC20/SC16」の中で積極的に関与した。特に操縦者、運行管理者の技能確保について話し合う「ワーキンググループ3」では日本を代表する立場で主導的な役割を果たし、国際標準「ISO23665」の発効に導いた。ISOでは現在も標準化の議論が進められており、今後も衝突回避の標準化を検討する「ISO/TC16/AG5」に審議団体として参画し国内の意見調整などに取り組む。
鈴木理事長は2022年のスローガンとして「ドローン社会実装元年」を掲げ「レベル4の制度が整い実装が進むことが展望できる。災害対応での利用についても、平時での実装が拡大することで効果的な対応が可能になることが期待される」と述べた。
ドローンの大規模展示会「Japan Drone」を主催する一般社団法人日本 UAS 産業振興協議会(JUIDA)と株式会社コングレ(東京)は4月8日、千葉市の大型展示場、幕張メッセで開催する「Japan Drone 2021~Expo for Commercial UAS Market」について、概要と出展の説明会を開いた。オンラインなどで海外からのキーマンを招いた講演を充実させるうえ、前回好評だった大型ドローンゾーンを今回も設置する。動きが活発化している自治体の取り組みを紹介するフォーラムを設けるなど、国内の状況を吸い上げ、3日間で会場の直接来場を1万2000人、オンライン参加3000人の、合計1万5000人の参加を見込む。感染対策に力を入れての開催で、5月に来場登録を始める。
説明会は都内の会場で開催され、直接、オンラインを通じた間接をあわせ約120人が参加した。今回のテーマは「ドローンを社会実装するスマート社会実現へ」と制定。JUIDAの鈴木真二理事長は「ドローンの利用は広がり、それぞれで専門化が進んでいます。JapanDroneは分野を超えた展示会を目指しており、ビジネスマッチングが進むことを期待しております」とあいさつした。株式会社コングレの武内紀子社長は「すでに83社の申し込みを頂いており、最終的に150社ほどを見込んでいます。新商品、新技術の発表の場として活用してほしい」と出展申し込みを期待した。
展示について、コングレの大椛洋一氏は、「現時点ではドローン事業のほか、AI、IT、ドローンの周辺事業、材料メーカー、部品メーカーなどからの引き合いが旺盛」と述べた。
また講演、シンポジウムなどのカンファレンスは、有料、無料を含めて21本を用意。スマート点検、物流、デジタルツイン、国際標準化、空飛ぶクルマ、災害対策、森林整備、オープンソース化など馴染みのテーマを深堀するセッションや、水中ドローンの講演を開催。米AUTERION社VPのロメオ・ダーシャー(Romeo Dursher)氏、フィンランドVTTのPetri Mononen氏を招くほか、米国事業のセッションも予定し、現在登壇者を調整している。海外からの登壇はオンラインでの開催となる公算だ。
このほかワークショップ27枠、デモフライト18枠を設定し、申し込みを受け付けている。
JapanDroneの開催は今回が6回目。5回目の前回は、新型ウイルス感染対策のために例年は3月開催を9月に延期、会期も3日間から2日間に短縮、懇親会を取りやめ、カンファレンスについてはオンラインでの聴講も可能にするなど、“コロナシフト”を鮮明にした。
今回も、感染対策に注力し、コロナ対策を手厚く実施する。入場は事前登録が必要で、入場者数が収容人数の5割に達した場合には入場を制限する。オンラインを併用し、講演などはインターネットを通じて参加が可能だ。前回とりやめたネットワーキングを目的とした懇親会は開催の方向で調整。専門化、広域化が進むドローン関連産業の交流拡大の機会の提供を模索している。
参加登録は5月に開始する予定だ。
公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構(f福島県福島市)は3月18日、19日に、同機構が管理するロボット開発実証拠点、福島ロボットテストフィールド(福島県南相馬市、浪江町)で、ドローンやロボットの実演展示イベント「ロボテスEXPO 2021」を開催する。入場には料金はかからないが、事前登録が必要だ。
「ロボテスEXPO 2021」では、プラントや災害現場などを再現したRTFの実証環境をいかして、ドローンやロボットのほか、企業、研究機関などが開発した技術の実演が行われる。一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)が後援で、JapanDrone運営委員会が特別協力でそれぞれ名を連ねている。日刊工業新聞社が事務局を務めている。
実演内容は現在、参加企業、団体などと調整している。現時点では災害支援を目指した衛星通信を活用した長距離ドローンや、水素燃料電池ドローンの飛行デモ、ドローンを活用した橋梁点検ソリューションの実演、プラント点検ライセンスの紹介などが行われる見通しだ。
またそれ以外の企業、団体によるパネル展示、ブース出展もある。なお会場となる福島ロボットテストフィールドと最寄りのJR原ノ町駅の間には、開催期間中にシャトルバスの運行が予定されている。イベント紹介ページはこちら。
■ロボテスEXOP 2021概要 名 称:ロボテスEXPO 2021 会 期:2021年3月18日(木)~19 日(金)10:30~16:30 会 場:福島ロボットテストフィールド (福島県南相馬市原町区萱浜字新赤沼83番 南相馬市復興工業団地内) 主 催:(公財)福島イノベーション・コースト構想推進機構 後 援:(一社)日本UAS産業振興協議会 特別協力:Japan Drone運営委員会 入場料:無料(事前登録制・抽選)
一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は1月21日、インターネットを通じてオンライン記者会見を開き、2021年の抱負や重点事業の説明、最近の活動などについて説明した。プラント点検や森林など業種別の専門操縦技能での人材育成、地方事業などに力を入れる。また鈴木真二理事長は毎年恒例になっている新年のスローガンとして、2021年を「災害活躍元年」と表明した。
会見は鈴木理事長が説明し、その後、参加者からの質問に応じる形で進んだ。説明の中で鈴木理事長は2021年の重点事業を、新市場創出、雇用創出、地方創生、国際展開、社会貢献の5点に整理。新市場創出はJUIDAが「応用教育」と呼ぶ「専門操縦士証明証」の発行が柱で、すでにプラント点検について運用を初め、森林測量についても運用準備に入っている。鈴木理事長は「スクールの力も借りて広めたい」と説明した。対象領域の拡大の可能性については、「国の制度設計とかみあう必要がある。トレーニングする動きが出てくれば可能性がある。物流や点検などで可能性があると感じる」と話した。
またジュニア世代向けのドローンを活用してプログラミングの知識を身に着ける「ドロミングラボ」を監修したことにも触れ「若い方々に親しんで頂ければと考えている」と述べた。
雇用創出では、専門操縦士証明証を取得した操縦士向けのビジネスマッチングや、6月の開催を準備している大規模展示会「JapanDrone2020」の活用などを検討していることを明かした。
そのほか、地方創生ではJapanDroneスタイルの展示会の地方開催、国際展開では、認定スクールの海外展開、社会貢献で自衛隊と締結した包括災害防災協定の活動強化などをあげた。国際展開の中では、操縦トレーニングの国際標準化に向けた活動が紹介された。
毎年年頭に公表しているその年のスローガンについて、鈴木理事長は「2021年は災害活躍元年、としてみました」と発表。「豪雨、豪雪などの中でいかに活用するか。一部ではすでに災害対策が始まっており、実際に本格的に活用する年になってほしい。コロナも災害。災害時に人を明日けるドローンであってほしいと考えている」と述べた。
質疑応答では、レベル4環境の整備について、鈴木理事長は「ドローンがフレキシブルに飛ばせるようになることがメリット」と指摘。環境の一環として国家資格となる操縦ライセンスについては「どのような方策がよいか検討しているところ」と述べた。一方、実際に有人地帯を目視外での飛行が実現するかどうかについて「国と進めているのは、(レベル4飛行の)制度をつくること」と述べ、具体的な機体の飛行については「個人的には2022年には難しいのではないかと思う」と、実際の飛行は数年先ではないかと予想した。
新型コロナウィルスの感染が広がる中でのドローンの役割については、各国で啓蒙や消毒液散布などにドローンが活用されている事例を紹介し、「物流面でも自治体主導で出始めており事業として成長されるのではないか」と期待した。
JUIDAは例年、例年1月に「新春パーティー」を開催し、会員や関係者があいさつを交わし情報交換をしている。2021年は新型コロナウィルスの蔓延による感染拡大対策を徹底するために、開催を見送り、それに代わり新年の記者会見を開催した。
日本経済団体連合会(経団連)、日本商工会議所(日商)、経済同友会の経済3団体は2021年1月5日に東京都内で共同開催を予定していた新年祝賀会と記者会見を中止することを決めた。3団体の幹事である経団連が12月28日に発表した。新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえた。経済団体の動向に影響を与えるとみられる。ドローンの業界団体、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)も、新春パーティーの開催を取りやめる。
経団連、日商、経済同友会の経済3団体共催の新年祝賀会は経済界の新年祝賀行事として定着しており、首相、関係大臣ら政財界の要人も集う大規模集会だ。大手メディアも取材にかけつけ、首相のあいさつや、経済3団体代表のあいさつ、参加経済人の発言などをこぞって取り上げることが慣例で、新年の経済の始動を印象付ける役割を演じてきた。
2021年の祝賀会について、3団体は新型コロナウイルスの蔓延に伴うリスクを考慮して縮小開催で調整していた。た経済団体側の参加を3団体の幹部に限定し、飲食をとりやめたうえで、療養中の中西宏明経団連会長(日立製作所会長)にかわり、経団連副会長の経験も持つ日本商工会議所の三村明夫会頭(日本製鉄名誉会長)が、3団体代表としてあいさつをする段取りなどを想定していた。また3団体による共同記者会見にも、日商の三村会頭、経済同友会の櫻田謙悟代表幹事(SOMPOホールディングスグループCEO取締役代表執行役社長)とともに、経団連審議員会議長の古賀信行氏(野村ホールディングス特別顧問)が登壇する方向で調整していた。
しかし、感染力の強い新型コロナウイルスの変位種に日本人感染者が確認され、政府がすべての国・地域からの新規入国を一時停止するなど感染対策を強化したことなどから、集会そのものの開催を断念した。新年祝賀会の開催中止は、記録をさかのぼれる1970年以降では例がない。
またドローンの業界団体であるJUIDAもすでに、毎年1月中下旬に開催している新春パーティーの開催取りやめを決定している。新春パーティーには経済産業省、国土交通省、総務省など関係する中央省庁幹部、自民党無人航空機普及・利用促進議員連盟(通称ドローン議連)幹部のほか、事業者、研究者らが参加し挨拶を交わしている。JUIDA理事長の鈴木真二氏が新年のスローガンを披露するなどの恒例行事も行われているが、開催を見送る。鈴木理事長による新年のスローガンについては、別の機会を模索している。
なお、ドローンの大規模展示会「JapanDrone」をJUIDAとともに主催している株式会社コングレは、武内紀子代表取締役社長が経団連で古賀審議員会議長のもとに21人いる副議長の1人に名を連ねている。JapanDroneは従来、毎年春先に開催されてきたが2020年は当初の3月から9月に延期して開催した。2021年は開催の準備期間確保などのため、6月開催を発表している。
一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)と展示会運営の株式会社コングレは、ドローンの大規模展示会「Japan Drone 2021」を2021年6月14日~16日の3日間、千葉・幕張メッセの展示ホール、国際会議場で開催する方針を決めた。11月中旬に出展の募集を始める。
「Japan Drone 2021」は引き続きJUIDAが主催し、コングレが共催する。同展示会にとって6回目の開催となる。開催期間は3日間と第4回までの期間に戻す。カンファレンス専用会場も展示会場とは独立して確保する。新型コロナウイルス感染症の流行状況もにらみながら、対策を講じることになるとみられる。300組の出展と15,000人の参加登録を見込んでいる。
開催の概要や方式は今後検討する。オンライン参加の対応なども今後検討する。新型コロナウイルス感染症の動向次第ではあるが、レセプションの開催も模索している。事前登録者や招待券持参者は入場が無料になる。
国内のドローン産業をとりまく環境は、居住エリア上空も肉眼確認なしで飛行させられる「レベル4」の実現への具体的準備に入り、第5世代移動通信システム(5G)活用や携帯電話の上空利用など電波利用環境の変化を見据えることになり、法的定義のない「ドローン」について無人移動ロボット全般を含んだとらえ方が浸透するなど解釈の広域化が進んでいる。空飛ぶクルマやエアモビリティなど人を運ぶことも想定した動きも具体化し、ドローン活用の議論も従来の専門家中心から急速に広く社会を構成する各層に広がり、「社会受容性」など浸透させるための議論が活発化するなどの変化も目覚ましい。
第6回の開催にあたっては、①ドローンを取り巻くこうした環境変化や産業内の構造変化に応じた展示環境の提供の可否、②第5回開催から8か月半の準備期間での出展需要、来場需要、参加意欲の掘り起こし、③新型コロナウイルス感染の動向に応じた対応、④海外勢の招聘ーなどが、注目点となりそうだ。
9月29、30日には、5回目となる「Japan Drone 2020」が開催された。新型コロナウイルスの感染対策に神経を使う逆風下で、期間を2日間に短縮したものの、出展は減ったとはいえ100組以上、来場者も8078人(登録ベース)を集めた。オンラインカンファレンスも併用し911人が利用した。会場内では来場者、出展者が情報収集、近況報告に笑顔をみせ、「同窓会のようだ」と、開催を決断した主催者の英断を称える声が聞かれた。初日の開幕前には数十人が列を作り、開催を待ちわびる関係者の姿勢も目立った。
主催者はすでに第5回の参加者、出展者からアンケート、ヒアリングなどを通じて情報を収集しており、改善要望の収集も進めている。DroneTribuneが第5回の出展者、来場者に確認したところ、準備期間中の問い合わせや相談などへの対応改善要望や、情報提供方法の改善要望、オンライン環境の充実要望などが挙がっている。今後こうした点もふまえながら開催の概要を積み上げることになるとみられる。