産業創造支援のSUNDRED株式会社 (東京都渋谷区) 、株式会社自律制御システム研究所(ACSL、東京都江戸川区)、株式会社センシンロボティクス(東京都渋谷区)など6社は2月9日、ドローン技術の確実な社会実装を実現させるための「人生100年時代に人々を幸せにするドローン作り『Take Off Anywhere』プロジェクト」(ToA)を2月22日(月)に発足させると発表した。
6社はSUNDRED、ACSL、センシンのほか、PHB Design株式会社(大阪府大阪市北区)、VFR株式会社(東京都千代田区)、株式会社理経(東京都新宿区)。各社の専門性や知見を持ち寄り、金銭的、時間的な負担を分け合って、社会実装に必要となる、効率的運用を可能にするシステムを構築する。またその過程で浮き彫りになった課題は公開し、その課題解決に必要な技術も開発する。
この日は発足に参画した6社が東京で会見を開き、SUNDRED代表取締役の留目真伸、ACSL代表取締役社長COOの鷲谷聡之氏、VFR執行役員COOの湯浅浩一郎氏、センシンロボティクス代表取締役社長の北村卓也氏、株式会社理経代表取締役社長の猪坂哲氏らが登壇し、趣旨や背景、展望、抱負について説明したほか、参画企業同士のパネルディスカッションで意見交換をした。
この中でACSLの鷲谷COOは、従来の労働力の需給バランスが崩れ始めた「変極点」にあると分析。「ドローンは空飛ぶロボティクスとして屋外、屋内を含めた3次元移動、遠隔操作、自動化が可能。ドローンの活用で変曲点を乗り越えたい」と述べた。またVFRCOOの湯浅氏はプロジェクトの進行について3段階に分けて説明。「フェーズ1でワンオペ、フェーズ2で無人化、フェーズ3でドローンが生活の一部となる。2023年までにこれを実現し、ドローンを誰もがどこでも必要な時に活用できる社会になることを目指す」などと述べた。
また質疑応答では、プロジェクトの前提である「個社を超えた連携」が生み出す参加各社の投資回収見込みについてACSLの鷲谷氏は「個社にとってリターンは重要」と前置きしたうえで、「この実証のためのプロジェクトではなく、社会実装のプロジェクト。実装できれば循環型社会が実現する。個社にとっても採算性が見込める前提」と回答した。
説明会で紹介された開発途中の機体について、トリビューンが仕様、完成予定時期、価格などを質問したところ、説明会後に「現時点では非公開。今後、随時情報を発信する」と回答が寄せられた。有力な活用場面のひとつである遠隔医療に伴う医薬品配送の、ドローン運用の担い手についても同様に質問したところ、「薬局自身で担う方法、専門業者に委託する方法の2パターンが検討されています」の回答が届いた。
プロジェクトは参画、協力を募っているという。発表当日現在で、加賀EFI株式会社、東京ドロウイング株式会社、VAIO株式会社、マナブデザイン株式会社、株式会社g、菱洋エレクトロ株式会社が協賛パートナーに名を連ねており、関心ある企業、団体などの連絡を歓迎している。連絡は「ToAプロジェクト事務局」まで。
【プロジェクト概要】
■名称 :「人生100年時代に人々を幸せにするドローン作り『Take Off Anywhere』プロジェクト」(略称:ToAプロジェクト)
■発足日:2021年2月22日(月)
■内容 :
①ドローンの確実な社会実装に向け、ドローン技術の可能性および課題の明確な発信とパブリックの知識醸成、パートナーシップ構築
②社会実装をしていくために必要な共同で実施可能な周辺技術の開発
■参画企業と役割
<SUNDRED> : 新産業共創プロセスを活用したエコシステム共創の推進によるドローン産業発展のリード
<ACSL>: ローン機体開発、離着陸制御及び自動航行制御の制御システム開発、 機体技術面から見た、ドローンの可能性と課題の発信
<センシンロボティクス>: 全自動ドローン基地のソフトウェア開発 経済面、ユースケースからみたドローンの可能性と課題の発信
<PHB Design>遠隔医療を完成させる薬局の持つべき物流機能の提案と検証
<VFR>: ドローン機体開発 、全自動ドローン基地のハードウェア開発、 製造面、経済面からみたドローンの可能性と課題の発信
<理経> : 仮想現実空間を利用したドローン開発環境の構築