NTT東日本グループは、多彩な取り組みを紹介する年次イベント「NTT東日本グループ地域ミライ共創フォーラム2026」をNTT中央研修センター(調布市<東京都>)で開催した。会場にはグループ各社のイノベーション人材が地域で課題解決や利便性向上に取り組むプロジェクトの展示ブースが設置され、担当者が来場者に直接、説明した。展示内容はドローンパイロット育成、e-Sports教育、ベニザケなどの陸上養殖、夏秋イチゴ、ボリュメトリックビデオシステムの新たな価値創出など多岐にわたり、各ブースでは来場者が実演に見入ったり、説明に聞き入ったりする姿がみられた。
設定されたテーマは「地域の未来を切り拓くソーシャルイノベーション人材」で、NTT東日本グループの多様な取り組みとともに、それを率いる人材やNTT東日本グループとしての人材育成にもスポットライトをあてた。
「ドローンパイロット育成×ICT活用を通じたDX人材の育成」のブースにはドローンの実機が置かれ、パイロット育成方針などがパネルで展示されていた。担当者は同社グループで500人規模のドローンパイロット育成する方針を持っていることや、競技会の開催などを通じた育成スキームなども紹介していた。NTT東日本グループは、グループにドローンの開発製造、運用受託、スクール事業などを担う株式会社NTT e-Drone Technology(朝霞市<埼玉県>)がある(4社による設立)などドローンの活用に積極的だ。
「NTT e-Sports高等学院・フリースクール開校」のブースでは、eスポーツに関心のある高校生に教育の場を提供するNTT e-Sports高等学院が、eスポーツのスキルアップのため、1人1台のゲーミングPCを備えるほか、教室が照明の切り替えで競技場になるなどの打ち込める環境をアピール。同時にゲーム制作や動画編集などのデジタルスキル、インターンシップ、業界研究などのキャリア教育ものカリキュラムを融合して提供する取り組みをパネル展示した。不登校問題の解決、協調性、戦略的思考を育み社会との接点を意識した教育方針も伝えている。2025年12月には中等部を設置。2026年6月には全国オンラインコースも開設する方針だ。このプロジェクトには元eスポーツプロ選手も関わっている。
「スマートシティ長井2.0の実現に向けたデジタルツイン活用」では、長井市(山形県)に非常勤職員として派遣されたNTT東日本ビジネス開発本部営業戦略推進部の小倉圭氏が、RFIDでバスの乗降データを取得しバス停や時刻表ダイヤを改善するなど行政のDX化で課題解決と利便性に取り組んでいる事例が紹介された。有害鳥獣対策にもデジタル機器を活用している。
「陸上養殖で切り拓く未来の水産業」では、NTTアグリテクノロジーの越智鉄美さんが、都農(つの)町(宮崎県)で取り組む陸上養殖事業を紹介した。海や河川ではなく陸上の閉鎖循環システムでICT技術の活用で塩分濃度や水温などの条件を魚種ごとに調整し最適な環境を提供する取り組みを進めている。養殖しているのはベニザケや高級魚とされるタマカイなどで、ベニザケは一般の2倍、タマカイは3倍の速さで成長すると報告した。ふるさと納税の返礼品にも「つのタマカイ(鍋用・ぶつ切り)2~3人前」などのラインナップがある。
ボリュメトリックビデオシステムの新たな活用シーン創出に向けた技術検証としてダンスパフォーマンスをリアリタイムで、自由な視点で鑑賞できる体験を公開した。NTT東日本は地域ミライ共創フォーラムの開催当日にキヤノン株式会社と「All-Photonics Connect powered by IOWNを活用したボリュメトリックビデオシステムの新たな活用シーンの創出に向けた協業」を発表していて、この日はキヤノンの川崎市(神奈川県)にあるスタジオとフォーラム会場とを遠隔接続した。ダンサーは川崎のスタジオでパフォーマンスをし、フォーラム会場で自由な視点で鑑賞することで価値創出の可能性を確認した。
このほか、本田技研工業製の一人乗りの次世代モビリティ「UNI―ONE」にARグラスを装着して乗車することで、グラスのナビゲーションで周囲を移動できる体験をデモンストレーションし、西松建設株式会社(東京)とは同社の栃木県にある重機を、約200㎞離れたフォーラム会場にある操作用コクピットから遠隔操縦して、ディスプレーに栃木県の重機が砂利を救う様子がうつるデモンストレーションが披露された。IOWNのオール・フォトニクス・ネットワーク(APN)とローカル5Gを活用して遅延は約100㍉/秒だという。秋田県湯上町で夏秋に収穫できるイチゴを生産する取り組みをすすめ、産地形成とブランド化に取り組む様子もインパクトがあった。
このあと、澁谷直樹代表取締役社長による基調講演
やパネルディスカッションが行われ人の果たす役割などについての議論を深めた。










建設機械大手のコベルコ建機株式会社(東京都品川区)と業務自動化支援を手掛ける株式会社センシンロボティクス(東京都渋谷区)は4月26日、建機の遠隔操作を可視化するシステム開発で協業することを発表した。コベルコ建機は、建設現場の生産性向上を目指すi-constructionの取り組みの一環として、建設現場のテレワークシステム「K-DIVE CONCEPT」の開発を進めており、センシンがドローンやロボティクスで培った情報の可視化技術との融合を進める。
協業では、センシンロボティクスが手掛けているドローンやLiDARを活用したデータ収集技術、解析技術を持ち寄り、3D点群マップでの測量結果表示、水流シミュレーションの3D図面表示技術の構築、クレーンやショベルなど建設機械のコックピットへのリアルタイム伝送などについて、システムの構築や実装を、コベルコ建機と共同で進める。
センシンロボティクスは高精度なオンライン情報解析技術を持つスキャン・エックス株式会社(東京)と、3D点群データの自動フィルタリング、高度解析、データ共有のシステム構築を共同で進めており、この取り組みの成果も活用する。
この技術がK-DIVEに実装されることで、稼働している建設現場の情報を、現場から離れたオペレータが把握することができる。機械周辺の状況、埋設物の有無、土の形状、体積など操縦に必要な情報をオペレータが把握することで、遠隔地から効率的な運用が可能になる。安全に、安心して働ける遠隔施工現場が実現するうえ、「現場状況の確認や作業指示などに利用することで、現場関係者のコミュニケーションが飛躍的に高まるものと考えています」とコメントしている。
コベルコ建機は鉄鋼大手、株式会社神戸製鋼所の100%子会社で、無限軌道で移動できるクレーンであるクローラークレーンでは世界シェア5割、油圧ショベルでは国内3位と建設機械や建設現場に影響力を持つ。同社は生産性向上の取り組みの一環として、ICT建機の開発に2016年から取り組んでおり、2018年以降、実機に搭乗しているような臨場感の再現を目指す次世代遠隔操作システム「K-DIVE」の開発を加えた。K-DIVEはクラウドマッチングシステムと建設機械の遠隔操作を融合させ、特定の人、特定の場所、特定の時間などの制約なく建設現場での施工を可能にするシステムで、同社はこの導入で建設現場のテレワーク化を目指している。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、非接触が推奨される中、“現場リモート”などと呼ばれるこうした取り組みがさらに加速している。
コベルコ建機とセンシンロボティクスは、「遠隔操作現場の高度な見える化を実現させることで、『働く人を中心とした、建設現場のテレワークシステム』の価値を高めていけるよう連携を進め、相互に協力してまいります」とコメントしている。

