建設機械大手のコベルコ建機株式会社(東京都品川区)と業務自動化支援を手掛ける株式会社センシンロボティクス(東京都渋谷区)は4月26日、建機の遠隔操作を可視化するシステム開発で協業することを発表した。コベルコ建機は、建設現場の生産性向上を目指すi-constructionの取り組みの一環として、建設現場のテレワークシステム「K-DIVE CONCEPT」の開発を進めており、センシンがドローンやロボティクスで培った情報の可視化技術との融合を進める。
協業では、センシンロボティクスが手掛けているドローンやLiDARを活用したデータ収集技術、解析技術を持ち寄り、3D点群マップでの測量結果表示、水流シミュレーションの3D図面表示技術の構築、クレーンやショベルなど建設機械のコックピットへのリアルタイム伝送などについて、システムの構築や実装を、コベルコ建機と共同で進める。
センシンロボティクスは高精度なオンライン情報解析技術を持つスキャン・エックス株式会社(東京)と、3D点群データの自動フィルタリング、高度解析、データ共有のシステム構築を共同で進めており、この取り組みの成果も活用する。
この技術がK-DIVEに実装されることで、稼働している建設現場の情報を、現場から離れたオペレータが把握することができる。機械周辺の状況、埋設物の有無、土の形状、体積など操縦に必要な情報をオペレータが把握することで、遠隔地から効率的な運用が可能になる。安全に、安心して働ける遠隔施工現場が実現するうえ、「現場状況の確認や作業指示などに利用することで、現場関係者のコミュニケーションが飛躍的に高まるものと考えています」とコメントしている。
コベルコ建機は鉄鋼大手、株式会社神戸製鋼所の100%子会社で、無限軌道で移動できるクレーンであるクローラークレーンでは世界シェア5割、油圧ショベルでは国内3位と建設機械や建設現場に影響力を持つ。同社は生産性向上の取り組みの一環として、ICT建機の開発に2016年から取り組んでおり、2018年以降、実機に搭乗しているような臨場感の再現を目指す次世代遠隔操作システム「K-DIVE」の開発を加えた。K-DIVEはクラウドマッチングシステムと建設機械の遠隔操作を融合させ、特定の人、特定の場所、特定の時間などの制約なく建設現場での施工を可能にするシステムで、同社はこの導入で建設現場のテレワーク化を目指している。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、非接触が推奨される中、“現場リモート”などと呼ばれるこうした取り組みがさらに加速している。
コベルコ建機とセンシンロボティクスは、「遠隔操作現場の高度な見える化を実現させることで、『働く人を中心とした、建設現場のテレワークシステム』の価値を高めていけるよう連携を進め、相互に協力してまいります」とコメントしている。