測量などの現場作業で、ドローンはもはや定番の道具だ。千葉・幕張メッセで5月25日に開幕した「第4回建設・測量生産性向上展」(主催、建設・測量生産性向上展実行委員会)では多くのブースで陸、海、空のドローンを出展し、そのことを証明している。展示会では中国の水中ドローンメーカーCHASINGの「CHASING M2 PRO MAX」やラトビアのメーカーFIXARの「FIXAR 007」が初めてお披露目されるなど、この日にあわせて公開を準備してきた技術も多い見ごたえがある。定番化した道具は今後、技術の高さや使い勝手のよさを競うことになりそうだ。
株式会社スペースワン(福島県郡山市)は水中ドローン「M2 PRO」の進化版として登場したばかりの「CHASING M2 PRO MAX」を公開した。一般向けに公開されるのはこの展示会が初めてだ。として展示した。知床の観光船「KAZU1」が曳航中に再沈没した深さ180mを超える水深200mまでの最大潜航能力を持ち、8つのスラスター(水中用のプロペラ)はそれぞれ大きくなり、モーター出力も前モデルと比較して30%向上。前後左右、チルト、横回転など水中で360度の移動ができる。稼働半径は最大400mだ。
太陽光の届かない水の中での活動に欠かせない照明も強化された。ひとつ4000ルーメンの明るさを持つLEDフィルライトを2つ外付けする。本体から腕が伸びたように設置することで照らす角度を最適化し、本体のカメラが映し出す映像にか、水中のプランクトンなどが反射する悪影響を軽減する。アクセサリーを取り付けやすくしたドッキングステーションが内蔵されるなど操作性も向上した。
株式会社World Link&Company(京都市)は、ドローン開発が盛んなラトビアの回転翼(プロペラ)と固定翼の融合型の機体、「FIXAR 007」を公開した。同社に「一週間ほど前に届いたばかり」で一般には初公開だ。回転翼で浮上し、上空で水平飛行に切り替わるVTOL(またはSTOL)で、プロポ操作による操縦を前提としない自動航行機だ。
最大の特徴は機体の構造がシンプルなこと。翼に機械的な稼働部がなく、回転翼、固定翼ともチルト(角度をかえる機構)がない。回転翼は地面に向けて真下ではなく、角度をつけてとりつけられていて、離陸時には角度をつけて飛び上がる。このため垂直に飛び上がることを前提としたVTOLに分類するより、STOLではないか、と言われることもある。ただし既存STOLのように離陸のために滑走設備は不要だ。
「既存機の半額」「セッティングに2分」「ミッション設定が3Dで可能」など多くの特徴を持つ。プロポの附属はなく必要に応じFUTABAなどを使うことになる。ペイロードが2㎏なので用途は限定的で「広範囲の飛行が必要な測量などに向いていると考える。セッティングが手軽なので日本市場で受け入れられやすいでのではないでしょうか」と担当者は話している。
同社のブースにはACSLのPF―2、ソニーのAirpeak S1などの話題機も展示されている。
展示会では株式会社ジュンテクノサービス、金井度量衡株式会社、株式会社Ace-1ほか多くのブースでドローンや、ドローンを活用したソリューションの展示、説明が行われている。展示会は27日まで。