• 2022.5.29

    つくば市で楽天、パナ、西友のUGV配送スタート 初日は開始前の午前9時に“売り切れ”!

    account_circle村山 繁

     楽天グループ株式会社、パナソニックホールディングス株式会社、株式会社西友は5月28日、茨城県つくば市で自動走行ロボット(UGV)を使った無人配送サービスを開始した。初日の5月28日は、サービス開始の午前11時より2時間前の、午前9時過ぎの時点ですべての時間枠の予約が埋まった。配送では対象エリア内では最長距離となる拠点から道のりにして約1㎞の利用者の自宅前に注文通りに荷物を届けた。配送中にはロボットを見かけた通行人が写真に納めたり、子供たちが手を振ったりと好意的に受け止められている様子が見られ、早くも町の風景に溶け込んでいることを印象付けた。サービスは原則として7月30日までの毎週土曜日に、つくばエクスプレスのつくば駅を中心とした約1000世帯を対象に提供される。110円の手数料がかかる有料サービスだ。担当者は「今後エリアの拡大、サービスのさらなる充実で期待に応えていきたい」と話している。

    7月30日までの土曜日に実施子供が手を振るなど早くもつくば市の町の風景に

    自動配送ロボットを見かけ道路の端に寄ってすれ違う風景も=5月28日

     配送サービス初日の5月28日は、予約が可能となる当日午前0時過ぎに最初の予約が入った。その後も断続的に予約が入り、午前9時にはすべての予約枠が埋まった。受けつけた予約は順調にこなし、すべての買い物配送を無人で届けた。システム上は、注文者が思い立ったときに申し込み、最短30分で届けるオンデマンド配送を組み込んでいるが。この日はオンデマンド配送の出番はなかった。

     対象エリアであるつくば駅周辺には、商店や飲食店が集積し、マンションや住宅も多い生活機能充実エリア。ロボット配送サービスが提供される週末は、駅前広場にキッチンカーが繰り出すなど賑わいが増す。配送ロボットは時速4㎞の、人々がおしゃべりしながら歩く速度で賑わいのなかを進む。配送ロボットが通ると、居合わせた人々が指をさしたり、スマホで撮影をしたりと好意的な反応がみられた。とくに子供たちは、ロボットをみつけると話しかけたり、手を振ったりと、関心を引いた。ペットの犬が振り向いたり、吠えたりと反応を示したこともあった。

     配送用ロボットはパナソニックが開発したUGV「X-Area Robo(クロスエリアロボ)」。市の中心街にあるスーパー、西友つくば竹園店のわきが待機スペースで、注文にあわせてスタッフが買い物の荷物を積み込む。ロボットは常温、冷蔵、冷凍の三温度帯に対応し、注文者は生鮮食品、お弁当、日用品など2000品目以上から選べる。注文は楽天が開発したアプリで完結する。店舗は注文が入ったことを楽天の開発した店舗向けシステムで確実に把握できる。また自宅で買い物の到着を待つ注文者も、ロボットの自宅への接近や到着をショートメールやサイトなど複数の方法で通知を受けられるなど、受け取り漏れを防ぐ工夫がこらされている。

     「今回の対象地域でない場所にお住まいの方からも問い合わせを頂くなど関心をお寄せ頂いています。技術的にはさらに離れたエリアへの配送も可能なので、今後エリアを拡大したり、サービスのさらなる充実をしたりと、期待に応えていきたいと思っています」と話している。

    注文の品物を自動配送ロボットに積むスタッフ。このあと自動で動き出す=5月28日
    すれ違う子供の関心をひく配送ロボット=5月28日
    町の風景に溶け込んでいる=5月28日
    橋をわたり配送先から帰還=5月28日
    その場での方向転換を可能にするタイヤ。狭い場所で配送を可能にする
    町のひとびとと橋を渡る配送ロボット。すでに風景に溶け込んでいる印象=5月28日

    手数料は無料ではなく110円 楽天・向井GM「実用化に近づいた形」

    自動配送の取組を説明する楽天Gの向井秀明ジェネラルマネージャー、パナソニックHDの東島勝義モビリティソリューション部部長、楽天Gの牛嶋裕之UGV事業課シニアマネージャー=5月26日

     5月26日には楽天グループ株式会社コマースカンパニーロジスティクス事業ドローン・UGV事業部ジェネラルマネージャーの向井秀明さん、同事業部UGV事業課シニアマネージャーの牛嶋裕之さん、パナソニックホールディングス株式会社テクノロジー本部モビリティソリューション部部長(兼)モビリティ事業戦略室エリアサービス事業戦略担当の東島勝義さんが、つくば市の多用途交流拠点「co-en(コウエン)」で説明会を行い、集まったメディアにむけて実演を披露した。

     楽天はこれまでにも自動配送を実証実験などの形で取り組みを積み重ねてきた経緯がある。楽天の向井ジェネラルマネージャーは今回の取組の意義を「手数料110円と有料にして実際の形に近づきました。これまで扱えなかった冷蔵、冷凍品も扱えるようになりましたし、注文アプリには『いますぐ配送』とオンデマンド機能を追加しました。注文をしてから最短30分でご自宅に届きます。少子高齢化社会の中で、配送員は減り、配送ニーズは増えます。運ぶコストの上昇が見込まれる中でも、UGVを使うことで最終的には人よりも安く運べるようにしたいと考えています。まずは実際に体験いただいて、こうしてほしい、といた声をいただいて改善を続けていきたいと。安価で便利な配送サービスをつくることが今回のミッションです」と話した。

     パナソニックの東島部長は「X-Areaロボはフレキシブルであり、かつ、機能安全に関する国際規格に適合したユニットを搭載した安全自律走行プラットフォームです。万が一システムが不安定になっても絶対にとまります。いわば、自由度をもってサービスにとけこみ、それでいてぶつからないロボットです。運用面でも、現場の事業者が容易に運用できるほか、複数エリアを東京の1か所で集中管理してより実用化に近づけました」と実用化に向けた工夫を説明した。

     楽天の牛嶋シニアマネージャーはデモンストレーションの概要を説明。自動配送ロボットが通るルートや、店舗スタッフが注文を受けてから店内で荷物をピックアップし、ロボットに乗せ、利用者が通知を受けて、受け取るまでの流れを説明した。5月28日の配送初日も、運用現場で配送状況を見守った。

     UGV配送については2022年3月4日に道路交通法の改正案が閣議決定され制度化が進む見込みとなった。2022年2月18日には一般社団法人ロボットデリバリー協会が、楽天やパナソニックのほか、川崎重工業株式会社、株式会社ZMP、TIS株式会社、株式会社ティアフォー、日本郵便株式会社、本田技研工業株式会社の8社で発足、その後、正会員、賛助会員が加わるなど勢力を拡大し、実装へ向けた環境が整いつつある。

    説明する楽天・向井氏、パナソニック・東島氏、楽天・牛嶋氏(左から)
    楽天・向井氏
    パナソニック・東島氏
    楽天・牛嶋さん
    報道陣に囲まれて進む配送ロボット=5月26日
    つくば市で行われた配送ロボットの実演では報道陣の多さが注目度の高さを示した=5月26日
    自宅前に到着した配送ロボットに通知された暗証番号を入力する=5月26日
    暗証番号を入所kすると荷物が取り出せる
    店舗側のスタッフが荷物を積み込む様子

    AUTHER

    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。
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